失っているもの

今日、いつもの地下鉄に乗り込もうとして、ふと若いイケメンが目に入った。可愛らしい顔立ちに優しく熱い眼差し。その麗しい表情は、ドア側にもたれて立つ彼女に向けたものだった。彼女もまた、瞳はキラキラ、肌はピカピカ、彼に至近距離で見つめられるに値する清らかさ！
うわぁ、久しぶりに見たなぁ、こういう若くて美しいカップル。さして目立つタイプではなく、ごく平凡な二人なのだが、お互いに恋する気持ちが地下鉄の一角を甘くまぶしく見せる。20代前半だろうか？？私にもかつて、あんな頃があったかな？？中年の私は遠い記憶をたぐり寄せてみる・・・・という間に目的の駅に着いてしまった。カップルも同じ駅のホームに下りて、何か話をしながら自然に手をつないで前を歩いている。とっとと抜かしながらも、何か私までイイ気分だった。