話の扉

一級建築士 野積基子所長のブログ

2020-08-13 09:57:32 | 今月の本
最近こんな本を読んでいます。



一般的に建築は器とか工作物的な扱いですが
著者の若山さんはそこには物語があると書いています。
歴史的や政治的な背景など踏まえて
上手く分析された内容です。

例えば
築地本願寺の設計をした
建築家 伊藤忠太に関して
大学卒業後自分の研究している法隆寺と
ギリシャパルテノンの関係ルートを検証
するため 中国からインド ペルシャへと3年に
渡り調査旅行をしました。
なんとその旅行をロバに乗ってです。
すごいですね。
著者は伊藤のことを気宇壮大な知的ロマンの快男児と表現しています。

この旅行の時に
浄土真宗の僧侶 大谷光瑞に出会い意気投合します。
このきっかけから築地本願寺の設計をすることになります。
大谷も中国探検隊を結成して数回派遣しています。
なんと日ロ戦争の時、
教団から兵を出し 孫文と会見してその顧問まで務めたとのこと
こちらも快男児ですね

大谷は宗教思想として 忠太は建築思想として
ユーラシア大陸を踏破したのですね。

他にも
東京駅と天皇
吉田茂の大磯もうで
雷門と日本橋
などなど
なかなか興味深い物語が続きます。

ではこの暑い夏をお互いに気を付けて
切り抜けましょう(*^_^*)