ケパとドルカス

『肝心なことは目では見えない』これは星の王子さまの友達になったきつねの言葉。

過労死から見える国の未来

2017年08月31日 | 示されたこと
今夜は【祝 日本サッカー ロシアへ決定】という嬉しい日でもあるが、その一方で社会面のニュースに長野県千曲市の運送会社信濃陸送のドライバーが過労死認定された記事があった。
月114時間も残業し、運転しながら食べる、深夜3時に帰宅するなどの多忙で、今年一月配送中に駐車場で倒れ大動脈剥離で死亡。43歳であった。

私も大学卒業後、三年ほど民間会社に勤めたことがあった。その会社は繁忙期には月百時間ぐらいの残業は当たり前だった。当初、まだ体が馴れていない時に風邪を引いてはいたが、頑張って出勤すると、「プロ意識が足りないせいだ』と逆に怒られた。
そして連日真夜中12時過ぎの猛烈な残業が続く。これだけ働き、睡眠時間がどうしても六時間取れないのでとにかく疲れが取れなくなる。結局、ある時点から、体の震えが止まらなくなるなったり、鼻血がドバーッと突然出てしまう症状が出た。幸い最後の1年は営業に回され、それが性に合っていたので回複したのだが、体が悲鳴をあげていたのは間違いない。あのまま生産現場で働いていたら、どこかの時点で私は過労死していたかも知れない。
若かったので、私のその時の経験では、営利会社とは、金に頭を下げて営業しノルマを達成するか、生産現場では時間を切り売りし弱き者はつぶれるか、または去れ、そういう所だと思った。

それで人生を学校教師としてやり直すことにしたのだが、そこでも会社が父親を奪うことで生じる大きな病巣に気づいた。いつの時代でも声が小さい弱い者や子どもたちが犠牲になる。
イスラエルという国では、仕事や労働は五時までと国の決まりである。残業はたった1時間、六時までしか認められていない。なぜなら、父親は家庭に帰って、共に食事をし、律法を教え、子どもを導なければならない使命があるからである。子どもを育てるのは明日を、未来を育てることである。
日本の子どもは世界一、幸福感がない。カンボジアの孤児院へ一ヶ月行ってみて、私は境遇に負けず子どもらしく明るいその笑顔に、日本の子どもが不憫に思えた。これはきっと、単に競争社会、学歴社会と言うだけでなく、夫を取られた妻たちの怨嗟が反映しているに違いないと思った。年頃になった娘たちが、父親を拒否するのは当たり前、では決して無い。それは父親が家庭で異物化しているからだ。健全な家庭は国の根幹である。

長時間労働は、将来の国作りをどう描いているのか、そのビジョンを描けない、無策の結果である。イスラエルは日本と同じ資源がない国だが、セキュリティやAI、コンビュータソフトなど中東で唯一発展している国だ。資源小国でマンパワーしがない我が国が、このまま国際競争の名の下で長時間労働を強い、家庭を消耗し続けるなら、この国に明日はない。

ケパ



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