6月23日の毎日新聞の記事です
登場する人たちに、こんなに身近な方が多い新聞記事は初めてです。
コロナ国内初感染、そのとき保健所は… 「初動の7時間」奈良の事例を探る
毎日新聞2020年6月23日 19時00分(最終更新 6月23日 19時08分)
空港も海もない奈良で、なぜ――。新型コロナウイルスで国内初の「ヒトからヒト」への感染例は、奈良県在住のバス運転手の60代男性だった。
覚えておられますか?
時は本年1月25日土曜日の事でした。まぁ、記事を読んでください
患者さんは、1月17日金曜日に当該診療所を始めて受診をされています。この時にその60代のバス運転手さんは咳、発熱等の感冒様症状を呈されていたのですが、経過観察するしかない 普通の風邪レベルの症状だったとの事です。でも。武漢からのツアー客を乗せたので心配していると、ご本人が言われたとの事でした。
それで、胸部レントゲン写真を撮影されています。異常はなく、経過観察しましょうと患者さんに説明し、帰宅していただいたそうです。
この辺りは、記事に書いてありませんが、当該診療所医師から詳しくお聞きしたので間違いないです。
2度目に受診されるまでに、当該診療所の医師は、その運転手さんの新型コロナ感染を疑っておられました。それで、2回目、25日の受診時は、診療所に入って来られてすぐに診療所から出ていただき、乗ってこられたご本人の車に戻ってもらい、他の患者さんの診察が終わってから診療所内に入ってもらって診察されたそうです。、他の患者さんたちの濃厚接触者はゼロ、万全を期されたので、患者さんは勿論、クリニック関係者からも2次感染者は出ませんでした。
まだ、武漢からのチャーター便も帰って来る前の出来事であり、特定感染症にも指定されていませんでした。
最上の対応をされたと思います。
そして、患者さんの関節痛、咳の悪化などから、いよいよ新型コロナ感染を疑い、管轄の中和保健所に電話を入れたそうです。新型コロナ感染を強く疑っていることを伝えられたのは勿論です。
しかし、当時、厚生労働省が21日に定めたばかりの新型コロナの「疑い例」の定義は、37・5度以上の発熱と呼吸器症状があることに加え、2週間以内に武漢への渡航歴があるか、「発熱・呼吸器症状かつ武漢に渡航歴がある人と接触」した場合だった。
男性に2週間以内の渡航歴はなく、12日にバスに乗せた武漢からの観光客に症状があったかもわからない。疑い例に該当しないと判断し、田中操・保健予防課長は「通常診療の中で経過を追ってほしい」と伝えたそうです
普通なら、ここで、諦めて患者さんを帰宅させますよね。保健所が経過観察せよと言っているのですから。
でも、彼は胸部レントゲン写真を撮影しました。すると、両肺にすりガラス状の肺炎像を認めたそうです。新型コロナ感染症。彼の気持ちは強い疑いから、確信に変わりました。そして、何としてでも入院させないと、この運転手自身も、周囲をも危険にさらすことになる 固い決意をもって2度目の電話を中和保健所に入れました。彼の確信がさすがに腰の重い保健所をも動かしたようです。
記事では簡単に書かれていますが、前例のない「日本初」の症例にたいして役所を動かすのは相当に困難だったようですよ。
そのあとのことは記事を読んでくだされば、県の動きは分かると思います。
当該診療所の医師は、PCR検査の結果が出る前から診療所を臨時休診とし、その理由を書いた文書を張り出しました。
それから、大騒ぎが始まって驚いた・・・と、言っておられました。TVの中継車は医院の前にここが話題の診療所だと言わんばかりに停まっていたとか・・・
当時は新型コロナに関して、医療機関に保健所への届け出義務はなく、患者の入院に強制力もなかった。手探りの中、決め手となったのが「診療所の機転と、それを受けた保健所と医療機関の迅速な連携だった」(山田所長)。と言われています。
それはそうなのだけれど、その割合は8:1:1くらいだという事は、私のこの文章を読んでいただけたら理解していただけるのではないでしょうか。
この診療所の先生、そのあと、別の新型コロナ患者を診察して、ここもしばらく休診された先生のお二方を含めて、先日ZOOM会議を開いて、色々なお話を聞きました。私に、お二人の様な最上の対応が出来るとは思えませんが、可能な限り努力を積み上げたいと思っております。
奈良県の新型コロナ感染は、現在入院加療者ゼロ、最近の患者発生もゼロです。これからも今の状態が継続できるよう、多方面の関係者と協力していきたいと思っています。
この先生に何人の人が助けられたかわかりませんね。