命のカウントダウン(健康余命3605日)

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毎日が綱渡り

2022-02-21 23:41:36 | 心房細動・心不全
昨日は、新型コロナの呼吸不全患者さんを綱渡りで入院していただきました。
今日は、心不全患者さんの綱渡り的な在宅での点滴治療の報告です。
三尖弁狭窄、閉鎖不全、腎不全の超高齢患者さんです。四肢浮腫著明で、ここ数か月で10数㎏体重が増えているそうです。食欲は不振気味ですので、実際には痩せが進行していて、10㎏以上の水分が浮腫として体にたまっているのだと思われます。

全身状態は超不良でして、血圧は殆ど測定できません。触診で40から50程度かなあ? ほとんど触れないのです。四肢浮腫は著明で、睾丸周囲の浮腫も著明です。本日も四肢からの点滴、特に浮腫が比較的マシな上腕からの点滴を試みましたが、全く歯が立ちませんでした。

私達は、強心剤の持続点滴で、事態を何とか改善させたいと思っています。現在、心不全、腎不全が進行していて、尿が全く出ていません。
患者さんは入院拒否、透析は以前から全く拒否の方なのですが在宅での医療行為は受け入れていただけます。2日前の土曜日に初めて往診したときにすぐに在宅酸素だけは入れました。そして、今日月曜日に物品、薬剤がそろったので、医師、訪問看護師、訪問薬剤師がそろって時間を合わせられた夜8時に集合して、静脈からのドブポン持続注入の施行をするべく、静脈ラインの確保を試みました。
しかし、浮腫が著明で、四肢のどこからも全く点滴不可能でした。心不全で怒張している上前胸部の静脈からもライン確保を試みましたが、一旦血管には入るのですが、ベニューラ針を押し進めると、血管が破れて黒く腫れあがりました。最後に、外経静脈を穿刺することにしました・・・が・・・左側では何故か血液が帰って来ませんでした。3回穿刺したのですが・・・血管に入っている様に見えるのですが、血液が帰って来ませんでした。
 これがだめなら腹部に皮下注入するしかない!!なむさん!!
 と、右頸動脈を穿刺!何とか一発で入りました。
それがこれです。写真の上が上頚部、下が鎖骨上窩、右が右肩に向かう下頚部です。
35年ほど医者やっていますが、こんなところから抹消静脈を確保したのは初めてです。ここから、ドブポンという強心剤を最初は2γと言う単位から初めて、状態を見ながら徐々に増やしていきたいと思っています。
全身状態が改善すると良いのですが・・・・どうなるか、手探りの状態です。
この辺りの事情に詳しい方がおられたら、ご指導いただけたら幸いです。

奈良県の現在のコロナ事情

2022-02-21 07:42:11 | 新型コロナウィルス

新型コロナの新規陽性者数、全国ではピークは越えたようにも思えます。ピークの後、予想通りその後「高止まり状態」を、続けていますね。
我が奈良県は、まん延防止等重点措置を発令していないためでしょうか、全体よりも少し遅れていて、「今がまさにピークの頂点」の様です。奈良県の2月20日の新規陽性者数も1,070人と高いレベルで、前週よりも増加しております。そして、県内で5名の死亡者も確認されています。60代1名、70代1名80代2名、90代1名です。若い方にとっては、喉風邪レベルであっても、高齢で余力のない方にとっては、依然怖い病気です、

大きな、問題は、現在の感染者数14,368人のうち、13,470人が在宅療養されている事であり、中でもその在宅療養者に対してフォローアップがほとんどできていない事が一番大きな問題です。
「奈良県では感染者は全員、入院かホテル療養していただきます。在宅医療は不要です。」とおっしゃっておられた奈良県知事。今はどう言っておられるのでしょうか?

先日から、保健所に頼まれる形で、我が診療所とは全く関わりのなかった在宅のコロナ陽性患者さんたちの訪問診療を施行しています。当院の患者さんも次々に新型コロナに罹患しておられますが、今のところ全員軽症の様です。
依頼される患者さんは、中等症Ⅱ程度の在宅患者さんで全員高齢者です。独居の方もおられます。新型コロナ感染に対して、解熱剤以外の薬が処方されていた患者さんはゼロでした。

奈良県のコロナ病床、100% 埋まっているわけではありません。でも、感染病床の73%と言うのは実質的にほぼほぼ満床の様です。新規のコロナ陽性患者の入院は非常に難しいです。往診に行く患者さんの2人に1人は、「苦しくて救急車を呼んだけれど、入院出来る病院が見つからず、「どうする事も出来ません、すみません」と、言い残して救急車が帰っていった。」と言うような経験をお持ちです。そのおひとりは、独居老人(80代女性)でSPO2:86%と、中等症Ⅱの93% 以下を大きく下回っていました。発症後7日経過していました。ラゲブリオの投与は出来ず、デカドロン6㎎、酸素投与を開始しました。現在、デカドロン投与後5日目で、酸素を外してもSPO2:92%にまで回復、食欲も出てきたそうです。

そして、2日前に紹介された患者さんは、はじめは電話でのリモート診療にしました。一家4人のうち、3人が陽性、一人だけ陰性の方は隠れるように暮らしておられるとの事でした。高齢ご夫婦と子供さんの一人が陽性なのですが、お母さんの症状が重く、残りの二人はごく軽症で、無症状になり8日目であと二日で自由の身だそうです。
しかし、70代のお母さんは、38℃台の発熱が一週間以上続いていました。2日前は発熱だけで、SPO2:93%あるとの事でしたので、デカドロン4㎎を開始しました。それで、「調子はどうですか」と、昨日も電話を掛けたのですが、
「しんどいです。昨夜は咳で眠れませんでした。SPO2は83%となっています。息苦しさは感じません」との事でした。
午前のコロナワクチン接種を終えてから急行しました。




看家の近くで道が分からなくなって電話をすると、元気そうな夫さんが、出迎えに来てくれました。出迎えが無かったら、到着しづらい、細くてややこしい道の一番奥が看家でした。先ず、窓を開け、玄関も開けてもらって、風の通り道を作ってから、PPE(個人防護具)フル装備で患者さんの居所に向かいます。これも、ウナギの寝床の様な細長い家の一番奥でした。
診察をして、SPO2を測定すると、82%しかありません。やはり相当に低い。しかし、呼吸困難感の自覚は無いとの事でした。
これは、まずいよねと、保健所に電話「一昨日よりステロイドの様よを開始しましたが、その後も熱が下がらない、しんどい、全身状態が改善しないとの訴えで今現在訪問診療しています。呼吸困難の自覚症状はありませんが、SPO2:82%と、とても低い状態です。急速に悪化している様で、在宅では適応困難と思われます。」と、入院を要請しました。そして、それでも入院出来ない場合に備えて在宅酸素療法を発注、デカドロンの内服量も4㎎から6㎎にアップする様伝えました。
今回は、何とか入院先を見つけてくれました。夕方になって夫さんから「何とか入院出来ました。ありがとうございました。」との電話がありました。入院先は、県内ではありますが、相当に遠い所で、当該保健所の管轄外の病院です。保健所も相当努力してくれたのだと思います。