昨日は、新型コロナの呼吸不全患者さんを綱渡りで入院していただきました。
今日は、心不全患者さんの綱渡り的な在宅での点滴治療の報告です。
三尖弁狭窄、閉鎖不全、腎不全の超高齢患者さんです。四肢浮腫著明で、ここ数か月で10数㎏体重が増えているそうです。食欲は不振気味ですので、実際には痩せが進行していて、10㎏以上の水分が浮腫として体にたまっているのだと思われます。
全身状態は超不良でして、血圧は殆ど測定できません。触診で40から50程度かなあ? ほとんど触れないのです。四肢浮腫は著明で、睾丸周囲の浮腫も著明です。本日も四肢からの点滴、特に浮腫が比較的マシな上腕からの点滴を試みましたが、全く歯が立ちませんでした。
私達は、強心剤の持続点滴で、事態を何とか改善させたいと思っています。現在、心不全、腎不全が進行していて、尿が全く出ていません。
患者さんは入院拒否、透析は以前から全く拒否の方なのですが在宅での医療行為は受け入れていただけます。2日前の土曜日に初めて往診したときにすぐに在宅酸素だけは入れました。そして、今日月曜日に物品、薬剤がそろったので、医師、訪問看護師、訪問薬剤師がそろって時間を合わせられた夜8時に集合して、静脈からのドブポン持続注入の施行をするべく、静脈ラインの確保を試みました。
しかし、浮腫が著明で、四肢のどこからも全く点滴不可能でした。心不全で怒張している上前胸部の静脈からもライン確保を試みましたが、一旦血管には入るのですが、ベニューラ針を押し進めると、血管が破れて黒く腫れあがりました。最後に、外経静脈を穿刺することにしました・・・が・・・左側では何故か血液が帰って来ませんでした。3回穿刺したのですが・・・血管に入っている様に見えるのですが、血液が帰って来ませんでした。
これがだめなら腹部に皮下注入するしかない!!なむさん!!
と、右頸動脈を穿刺!何とか一発で入りました。
と、右頸動脈を穿刺!何とか一発で入りました。
それがこれです。写真の上が上頚部、下が鎖骨上窩、右が右肩に向かう下頚部です。
35年ほど医者やっていますが、こんなところから抹消静脈を確保したのは初めてです。ここから、ドブポンという強心剤を最初は2γと言う単位から初めて、状態を見ながら徐々に増やしていきたいと思っています。
全身状態が改善すると良いのですが・・・・どうなるか、手探りの状態です。
全身状態が改善すると良いのですが・・・・どうなるか、手探りの状態です。
この辺りの事情に詳しい方がおられたら、ご指導いただけたら幸いです。