命のカウントダウン(健康余命3605日)

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在宅での放置による死亡が増加しています。

2022-02-10 23:52:42 | 新型コロナウィルス
現在、新型コロナ感染の主流となっているオミクロン株、多くの場合軽症で済みます。

年少者の幼稚園児や小学生などは喉風邪程度で、インフルエンザよりも軽いなと感じる事も多いです。でも、年長者やお若くても喫煙、糖尿病、肥満、喘息などの呼吸器疾患を持たれた方など、重症化因子を持っている方は危ないです。生命に関わることも十分にある危険な疾患だと認識してください。弱いものにはきつい病気です。

先日、桜井市の西にある朝倉台という高級住宅街から電話をいただきました。
http://asakuradai.com/
「5日前に新型コロナ感染だという診断をされたが、その後何処からも何の音さたもない。息苦しくてしんどくて、どうしたら良いのか分からない。もともと気管支喘息、糖尿病、高血圧、高脂血症で通院している診療所があるのだが、往診は出来ないと言われた。妻も糖尿病でインスリン治療中であり、微熱が出たので、感染が心配。」との事でした。
70代の男性であり、奥様も60代後半と重症化因子目白押しのご夫婦でした。

土曜日の午後で、仕事はあけていたので、往診させていただきました。
「どうして、坂根医院をお知りになられたのですか?」と、問うと、どうやら保健所に誘導されて当院に行きついた様でした。奈良県のHP上では、坂根医院が新型コロナ患者さんに対して訪問診療をしているとは出てこないんです。
出しても良いよと言う申請を1週間以上前にしたのですが、手が回っていないとの事で、HPにはまだ出ていません。でも、実際には動いています。
HP上に出たら、強烈なことになりそうだなとは感じております。

でも、今回往診させていただいた方、放置していたら、数日のうちに生命の危機に直面されていたと思います。

訪問時、男性のサチュレーションは、SPO2:93%でした。93%以下は、中等症Ⅱにあたり、入院加療が必要なのです。でも、奥様が軽度の認知症がある糖尿病患者であることもあって、出来れば入院せずに在宅で何とかならないかと言う希望を持っておられました。

奥様は微熱があるだけで自覚症状はありませんでしたが、抗原検査をすると、数秒で陽性と判明してしまいました。

旦那さんが陽性と判明してから、誰も来られなかったからでしょうか、奥様、妙になついて来られて、逃げる私にまとわりついて来られるのです。挙句には、茶菓子とコーヒーを入れていただいて、「どうぞ、遠慮なさらないで」と、おっしゃるのですが・・・・


遠慮いたしました。

訪問させていただいた当日にに、男性には在宅酸素療法を開始し、お二人ともにラゲブリオも処方しました。

これ、本当はダメなのです。ラゲブリオは軽症の方で発症後5日以内の方で重症化因子を持っている18歳以上にしか投与できません。

男性は、重症化因子はしこたまお持ちですし、高齢でもあるし、発症後ギリギリ5日目ではありましたが、軽症ではなく、中等症Ⅰの上の中等症Ⅱ相当でした。酸素療法を開始するという事はそれの証明にもなるので、嘘をつくことにしました。酸素療法は、往診の次の日から開始したことにしました。こんなことをネットで公開して大丈夫かどうかは分からないです。公開が後悔を生むことになるのかもしれませんが、仕方がないとも思っています。

患者さんは、そのあと2日は快方に向かっておられたのですが、本日、症状が悪化している様だと言われました。酸素を吸わないと、酸素飽和度が91%になっているとの事でした。そして本日になって漸く保健所から電話があって、「療養先を探してる」と、言われたとの事でした。療養先??サチュレーション91%で療養先はないやろ!!入院先やろ!!!と思ったのですが、今後の展開は、また報告させていただきます。

兎に角、今できる事として、デカドロンを6㎎内服で処方し、処方薬局に届けていただきました。レムでシビルの点滴も考えたのですが、患家で30分以上待機する危険性を考えると、デカドロンに期待して、ダメなら入院という方向で考えようと思っています。

その患者さんが「先生にたどり着かなければ死んでいたかもしれません、本当に感謝しています」と、おっしゃいました。嬉しいですが、でも、システム的に何とかならないものかと思ってしまいます。

もう少し、システムを効率化しないと、在宅で取り残された 行き場のない患者さんの死亡例が増えてしまうのではないかと危惧しています。

お近くの患者さんなら何とかお力になりたいと思ってはいますが・・・・