茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

花押

2010年10月17日 | Weblog
これは栄西禅師のサインです。
「西」という字です。
草書に崩した「西」を
反転して、
次に90度反時計回りに回転させて、
さらに三角形の型に整えたものであるとか。
三角形の型というのは、
「当時の流行り」なのだそうです。

半紙を前に正座した栄西さん、
筆をいろいろに走らせてサインを考案していたのかしら。
「栄」より「西」がよかったんですね。
反転したり横にしたりするより、
一気に崩して書いた方が
まねできないような気がするのですが、
花押は
ちょっと前衛的な香りがかっこよかったのかも?

栄西さんのこのサインがみつかったのは、
ほんの最近のこと。
2002年に名古屋の大須観音寶生院で
直筆の手紙が発見され、
そのうちの5通にこのサインがあったのだそうです。

もともと栄西さんの直筆の署名は少なく、
国宝の『誓願時盂蘭盆一品経縁起』などに
みられてはいましたが、
様々なご研究によると
このサインは晩年の筆跡といいますから、
だんだん
「これは自分が記したものである」ことを
しっかりと示す必要がでてきた
ということなのでしょうか。

入唐上人様として
多くの弟子に慕われた栄西さんですが、
批判をする人も多くありました。
そんな時、
栄西さんは『改偏教主決』とか『教時義勘文』などを記して
反論していました。
しっかりと文章で書いて反論するというスタイルに
憤りの大きさと冷静な知性が感じられます。

そういえば、
『喫茶養生記』も
お茶の効用を軽んじる医者どもに
どーんと書き示した
反論の書でありました。

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