茶の葉の声に耳を澄まして    Tea-literacy

数千年にわたる茶と人とのかかわりに思いを馳せ、今、目の前にある茶の声に耳を傾ける
お茶にできること、お茶の可能性とは

五行棚

2010年10月04日 | Weblog
10月は風炉の最後の月です。
炉に移る前のこのひととき、
今まで点前座の正面左に据えてあった風炉を
少し炉に近い位置に移します。
暑い夏、お客様から遠くにあった火ですが、
秋の風が少し肌寒く感じるようになったので、
火をお客様に近づけるのです。

この中置というスタイルを
今日は五行棚を使ってお稽古いたしました。
私の大好きなお棚です。
焼杉の天板、地板は、
大きな木目が堂々としていて、
その二枚を三本の白竹が繋いでいます。
竹の節は、三本とも違います。
勝手付が3節、客付が2節、向こうが1節です。
これは易を取り入れていて、
主は陽なので陽の数を、
客は陰なので陰の数ををということです。

板の間には、
土風炉が入ります。
風炉の上には金属の釜、釜の中に水です。
天板と地板の間、すなわち、乾坤の中に
木火土金水があるというわけで
五行棚です。

どーして主が陽なのかとか
どーして棚の中に木火土金水を治めなくてはいけないのか
なんてことを考えてはいけません。
何千年も前から
万物は相対すると観てきた思想があり
科学から遠いところで
宇宙の五要素を感じていた目があったという歴史を
味わったらよいのではないでしょうか。

道具が動き、
一服のお茶が点つまでに
遠い時空へと遙かな旅ができるのです。
星を見ながら
みんな
何を想ってきたのでしょう。
人はどこから来て
どこへ行くのでしょう。