生き物好き気象予報士&理科教員、公認心理師・金子大輔(金兵衛)のブログ~通り雨の旅路~

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目指せ!雹(ヒョウ)マニア!!初夏は雹にご注意

2017-04-30 | 天気・気象

この春は上空に強い寒気が流れ込むことが多く、雷雨が多い。
夏にかけて雹(ヒョウ)が降ることも多いのではないか、
と推測しています。

雹のメカニズムですが、
上昇気流があるところに、雲は発生します。
十分に成長した雲からは雨粒が落下してきます。

しかし、落下途中に強い上昇気流に会うと、
雨粒は再び上空高くに舞い上げられます。

上空の高いところは気温が大変低く、夏でも-30℃~-60℃。
舞い上げられた雨粒は、凍って「あられ」になります。
このあられは再び落下しながら、
周りの水分を凍りつかせながら大きくなっていきます。

そこで、また強い上昇気流に会い、舞い上げられ……。

これを繰り返すのです。
しまいに、強烈な上昇気流でも支えきれない
大きな「雹粒」となって落下してくるのです。

ですから、雹が降ってくる時には猛烈な上昇気流があると言えます。
雹が夏の激しい雷雨に伴って降るのはこのためです。


大学院で修論を書いたときから、関東の降雹について研究しているが、
東京、神奈川、千葉を中止に、私が把握している事例を集めてみました。
(埼玉、茨城まで入れると事例が大幅に増えてしまう)

ご覧の通り、雷雨の中でも特にシビアな状況のときに
降雹に見舞われていることがわかります。

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【1980年以降の首都圏での降雹事例集】

2017年4月13日:新宿区など。
日本海には、500hPaで-35℃の寒気を伴う寒冷渦、不安定。

2016年7月14日:水戸では午後4時過ぎに直径25ミリの雹。
上空500hPaで-6℃以下の寒冷渦がほぼ停滞。
茨城県と千葉県では非常に激しい雨、雹を伴う。

2016年3月28日:新宿、世田谷、練馬など。
21時前後、東京都心でも激しい雷。東京地方に大雨洪水警報。
寒冷渦(500hPaで-28℃以下)が本州を通過し、
東日本を中心に大気の状態が不安定

2014年6月24日:東京都三鷹市や調布市の住宅街にて
豪雨とともに雹が降り、道路が一面流氷のような状態に。
30センチ程度積もったところも。

2014年6月13日:上空の寒気と日射による昇温で
大気の状態が非常に不安定に。
正午頃には東京・立川市や国立市などで
直径1~2センチのひょう。
栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、東京都、竜巻注意情報

2014年5月9日:東京で8ミリのひょう。
東京都、茨城県、千葉県、埼玉県、栃木県に竜巻注意情報。
埼玉県や茨城県などで、停電も相次いだ。

2013年7月23日:東京中央区、品川区、新宿区、渋谷区、世田谷区など。
都心付近も気温が35℃を超える猛暑日。
一方で、上空のマイナス4~5℃の寒気に加え、
湿った空気が流れ込んだ影響で、午後から大気の状態が非常に不安定に。
東京や神奈川、埼玉などで雷雲が非常に発達し、一部で雹を伴った。
世田谷区や目黒区では、レーダー解析で1時間に100ミリの雨。

2013年7月14日:東京都(葛飾区)、千葉県(松戸市)・神奈川県など。
関東南部では35℃近くまで気温が上がり、大気の状態が不安定に。
風向が東成分を持っていたためか、南部で雷雲が発達した。
東京と千葉の県境付近で発生した雲は、多数の落雷と共に雹を降らせた。

2013年7月8日:東京都荒川区、足立区、北区、江東区など。
2~3センチ程度。東京をはじめ、各地で猛暑日。
埼玉県で発生した雷雲が南下し、東京23区東部で最盛期に。
23区東部に大雨洪水警報が発令され、
きわめて激しい落雷とともに、一部に雹をもたらした。
上空の寒気はそれほどでなく、典型的な熱雷、動きは少ない。

2012年5月6日:東京、神奈川・千葉の広範囲。
1センチ以上、一部ゴルフボール大。
上空5500メートル付近でマイナス20℃以下の寒気が入ってくる。
一方で、南風が強まって各地で地上気温が25℃を超え、大気の状態が不安定に。
東京世田谷区や多摩地方、神奈川県座間市、千葉県などはげしい降雹。
茨城県内では、広範囲でゴルフボール大の雹も目撃される。
茨城や栃木などで大規模な竜巻が発生し、1人が死亡。
被害をもたらしたのは、スーパーセルと思われる。

2011年1月25日:千葉中央、埼玉県南部など。
上空5500メートル付近でマイナス30℃以下の寒気が入ってくる。
大気の状態が不安定で、関東南部で局地的に雷雲が発生。
 
2008年10月27日:千葉市など。直径0.5センチ前後 。
上空5500メートル付近でマイナス20℃以下の寒気が通過。
大気の状態が不安定で、全国的に不安定な天気に。
関東でも午後突然雷雲が発達し、千葉市で1時間に15.5ミリを観測。
 
2008年3月25日:神奈川県、東京多摩北部南部など。
南北に伸びるシアにより、雷雲が関東地方で発達。
南関東の所々で強い雷雨となり、雹を伴った。
 
2007年12月30日:神奈川県、埼玉県、千葉県。
0.6~0.7センチ。上空5500メートル付近で-36℃近い寒気。
一方、地上気温は15℃近くまで上がって大気の状態が不安定に。
所々で雷雨となり、ひょう・あられを伴ったところがあった。
 
2007年5月31日:神奈川県川崎市~東京大田区
世田谷区など1センチ前後の雹。
上空5500メートルで-18℃以下の強い寒気が流れ込み、
大気の状態が不安定に。
日中は雲間から日差しがこぼれるが、午後から各地で強い雷雨。
23区や神奈川で雹が降り、一時道路が白く「雹化粧」した所も。
シアも形成されて雷雲が停滞したため、雨量が多かった。
レーダー解析で川崎市中原区や高津区付近で1時間に90ミリ。
町田市や海老名市付近もそれに近い雨量が推定される。
落雷による負傷事故や交通障害、浸水などの被害も。
 
2007年2月10日:東京都23区、千葉北西部など。0.5センチ前後 。
夜遅く、関東平野の所々で雷雲が発達。
所々でひょうを伴った雷雨となり、道路が白くなったところも。
日中は、雲が多いながら気温が15℃近くに上がったところへ
上空には-30℃以下(コアは日本海中部で-36度程度)
の強い寒気が入ったため、大気の状態は不安定に。
関東では、消え残っていた雲とシアも引きがねになったようだ。
 
2006年7月15日:東京都多摩南部北部など1~2センチ。
地上気温が36℃を超え、
850ヘクトパスカルで345Kクラスの超暖湿気流が流れこむ。
上空の寒気はそれほどではないものの、大気の状態が不安定。
雲取山付近で生まれた雷雲が東京中央部で最盛期になり
13時過ぎに、活発な落雷と降雹をもたらした。
典型的な熱雷だったようで、移動距離は短くすぐ消えた。
 
2006年7月3日:東京都多摩南部など。
上空にシアを伴った寒気が通過。
下層では梅雨前線に向かって非常に湿った空気が流入。
大気の状態が不安定で、午前中から内陸で雷雨多発。
午後には一部が平野部になだれ混み、
14時過ぎ、多摩南部などで雹を伴う激しい雷雨となった。
 
2006年6月28日:埼玉県熊谷市・さいたま市など3~6センチ。
上空に寒気が入り、大気の状態がやや不安定に……
夕方、埼玉北部で発生した雷雲が、急発達しながら南東進。
埼玉県南中部・南東部には大雨洪水警報。
熊谷地方気象台で径38mmの雹を観測したのをはじめ、
市内では直径5~6センチの雹が目撃される。
ガラス・街灯が随所で損壊し、自動車も凸凹になるなどの被害。
一時的には、雪化粧したような風景になったという。
この雷雲は南下し、まさに東京―埼玉県境を
跨ごうという時点で、力尽きて消えた。
 
2005年5月15日:東京都八王子市、千代田区大手町、霞ヶ関。
神奈川県相模原市、横浜など0.5~2センチ位の雹。
上空に寒気が入り、午前から雲が多く、ときおりにわか雨。
15時過ぎ、都内で突如強い雷雲が発生!
雷雲の中心は八王子市付近と東京23区付近の2つあったようである。
八王子では、突風とともに直径1~2センチの雹が降り、一時路面が真っ白に。
また、都心でも5年ぶりに直径0.5センチの雹を観測した。
その他、横浜市などでも豪雨に雹が混じったらしい。
 
2005年3月24~25日:東京23区、茨城南東部など1センチ以下の雹。
日本海からポーラーローが接近、
同時に関東付近にも低気圧が発生し、大気の状態が不安定。
全国的に雷雨となり、東京都内や茨城県、大分県などで雹が降った。

2004年7月11日:神奈川県横浜市、茨城県水戸市など0.5~3センチの雹。
500hPaで-9℃の寒気。神奈川や茨城中心に激しい雷雨。
東名高速の横浜~厚木では、ボンネットに窪みができるなどの被害も。
 
2004年4月28日:東京都内
寒気が流れ込み、大気が不安定。雷雨でひょうも降ったらしい。

2002年5月27日:神奈川県藤沢・横須賀、千葉県千倉町など。
寒冷渦が通過し、関東全域で雷雨が続いた。
首都圏でも所々ひょうを伴ったらしい。

2002年5月13日:神奈川県厚木市など。
大豆大の雹。狭い範囲で強い雷雨。雹は音を立ててすごかったらしい。
 
2002年3月31日:東京都町田市・神奈川県相模原市など。
強い雷雨。東京ー神奈川境付近で、物が壊れるほどの降雹。

2001年5月11日:千葉県内で降雹との情報。

2000年7月4日:東京都心1センチの雹。
スーパーセル型の超巨大雷雨。
都心1時間に82ミリの降水を記録(史上2位)。
落雷数も10000発を越えるという事態。

2000年7月3日:東京都千代田区大手町。
23区中心の激しい雷雨。都心で7年ぶりに雹を観測した。

2000年5月24日:千葉県北東部~南部。
スーパーセル型の超巨大雷雨。今世紀最大クラスの大雹害。
千葉県ー茨城県の広範囲でミカン~グレープフルーツ大のひょうが降った。
骨折・打撲といった負傷、建物損壊など被害甚大。
 
2000年4月24日:千葉県内で降雹との情報。

1997年5月?日:東京都江戸川区、千葉県など。小豆大の雹。
雷雨を繰り返し、夜東京に大雨洪水警報。

1996年7月3日:千葉県内で雹害発生。

1995年6月1日:千葉県内で降雹との情報。

1993年6月21日:東京都千代田区・江戸川区・千葉県市川市など小豆大の雹。
都心では直径12ミリ。巨大雷雨。関東全域に大雨洪水警報。
都心で1時間に22ミリ記録し、激しい雷と共にひょうを伴った。

1993年4月1日:千葉県内で降雹。
活発化した寒冷前線が通過し、広範囲で激しい雷雨。

1992年5月?日:神奈川県鎌倉市など。
寒冷渦の連続攻撃で雷雨が続いていた。鎌倉付近でひょうが降ったらしい。

1992年5月22日:千葉県内で降雹との情報。

1992年?月?日:東京都千代田区大手町など1センチの雹。
非常に活発な寒冷前線通過で、明け方都心でも雹を伴う雷雨。

1991年8月23日:千葉県松戸市稔台など。
雷雲が発達し、激しく雹が降ったという。その後も豪雨が続いた。

1991年6月28日:千葉県内で、激しい熱雷に伴う降雹と思われる。落雷被害も。

1990年12月11日:千葉県南部など激しい降雹。
スーパーセル型の超巨大雷雨。
千葉県茂原市で日本史上最大(F3~F4)の竜巻起こる(茂原竜巻)。
その前後、茂原市や鴨川市でミカン大の雹が降ったという。
85軒が全壊、局地的には壊滅的な被害も。

1989年8月28日:東京都、神奈川県内。
都北西の平野部辺りで雹が降ったという。

1989年5月26日:千葉県内で降雹との情報。

1989年4月26日:東京都品川区など。激しい雹を伴う雷雨。

1988年5月29日:千葉内で降雹との情報。

1986年10月13日:神奈川県内で降雹との情報。

1986年6月26日:東京都北部、千葉県で降雹。

1983年7月27日:千葉県内で降雹。竜巻や豪雨被害も大きかった。

1983年6月10日:千葉県内、神奈川県内で降雹。
落雷や、豪雨による浸水も発生。

1983年6月9日:千葉内で降雹との情報。
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※以下、拙著もよろしくお願いいたします!







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油彩画三枚目!スーパーセル!!

2017-04-06 | 絵画



ようやく、人生で三枚目の油彩画が完成しました~アート
三枚目でも、ひょうきんな絵ではなく、
自然の凄まじさを伝える絵を目指しました雷

アメリカなどで発生する「スーパーセル」をモデルにしています。

スーパーセルとは、地球最恐の積乱雲げっそり
何万発も落雷させ、グレープフルーツ大以上のヒョウを降らせ、
壊滅的な竜巻(トルネード)を起こす雲です。

日本では、スーパーセルはほとんど発生しません。
(発生したとしても、ミニスーパーセルです)。

スーパーセルに比べれば、
日本のゲリラ豪雨が可愛く思えるほどです。

日本で大地震を恐れるように、
アメリカではスーパーセルを大変恐れ、
避難用の地下シェルターがあると聞きます。


そして、「ぴかぴか(新しい)恐ろしいものは美しいぴかぴか(新しい)」もまた自然の摂理です。
スーパーセルは、スズメバチの巣やイグアスの滝にも似た
得も言われぬ美しさがあります。

アメリカでは、「ストームチェイサー」と呼ばれ、
スーパーセルを追いかけて動画や写真を撮る人がいるのも頷けます。


人間社会の儚さを痛感してしまう、恐ろしくも美しいスーパーセル。
いつか、この目で実物を見たいものです目がハート

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