2007年4月30日 白山(東面台地)
前日の飛騨沢ワンデーで疲労困憊。温泉に入るのもやっとこさ。身体は食事を受け付けず、高山で蕎麦をツル~っといただくのがやっと。
新穂高から平瀬まで3度も車を停めて仮眠。やっとやっとで22時前にゲート前に到着した。
自転車を車外に下ろしてシュラフに入る。チャックも締められずにそのまま寝てしまった。
朝3時。近くに車が止まり目を覚ます。そろそろ早い入山者は自転車を漕ぎ出す頃か。目は覚めたが気分はどんより。
4時頃、また別の方が自転車で出発されるのをシュラフの中からお見送り。
やはり体調不良。モチベーションゼロ。自分への言い訳を見つけて今日はこのまま帰ろうかと思っていた時、車の窓をノックする音。
ドアを開けると、なんと昨日槍ヶ岳を御一緒いただいたHさんの姿。
「ご一緒しませんか?」のお誘い。
もちろん「是非!お願いします!」
不思議なもので体内のボルテージがキュイーンと上昇する。大慌てで準備開始。
5時00分。
モタモタしている僕を気長に待っていただき、漸く出発。
ペダルを漕ぎ出すと意外と身体は動くようだ。要は気持ちの問題か。
5時10分。
飲料水を車に忘れてきたことに気付く。
ダッシュで車まで取りに戻る。
無駄な時間をロスしてしまい、大変なご迷惑をおかけてしまった。
5時20分。
持ってきた飲料水をザックに詰め直し、白水湖を目指して再出発。ゲートから13キロの自転車漕ぎは所要2時間ほどらしい。
道は概ね川沿いで全舗装なので辛くは無い。むしろこんな天気の良い朝に自転車+山スキーが楽しめて…と前向きに考えてみた。
あの白き峰の頂きまで…ペダルを漕ぎ行くHさん
7時00分。小白水谷にかかる橋の先のカーブを曲がったポイントに到着。
7時20分。道端の斜面に取り付いて籔漕ぎ開始。辺りには雪は殆ど無い。小さな尾根の裏手に雪があるとは俄かに信じ難い状況。
それでも100m程余分に進めば雪が現れた。
こんなところHさんに導いてもらわなければ、僕一人ではきっと彷徨するに違いない。
雪は所々で切れており、籔を避けながら前進。
標高1,500mの先、急斜面を乗り越えれば植生が変わり、岳樺の疎林が現れてくる。
東面台地に乗っかったイメージ。落ち葉やブッシュも無い快適な雪面歩行に気持ちが楽になる。
前日の槍行きの歩き出しが氷点下の冬山モードだったのに対し、今日の白山は太陽が照りつける東斜面。汗は噴き出し喉が渇く。二人とも飲料水が不足がちで、雪をすくってペットボトルの水を増す。
転法輪谷と小白水谷に挟まれた広い台地の左側にルートを取り、標高1900mの平原に出る。
9時45分。標高1,910m地点。
スキーを脱いで大休止。前方の谷の中に先行者お一人の姿あり。
雪原にゴロンと横になって骨休め。
谷は広くて静か。シュルッシュルッとシールの音。
白山主峰の御前峰へはこのまま転法輪谷上部を詰めて御前峰の南のコルへ上がるルートを選択。
直射日光で雪が緩み歩きづらいが、谷の斜度は怖さを感じるものではない。クトーなしでコルまで登りつめた。
11時30分。標高2,490mコル到着。
少し霞みがかかっているが北アルプスの全山眺望。
御前峰へはコルから山腹を少し西側に巻いて直ぐに直登ルートを選択。
これがなかなかハード。ザクザクの雪に板が滑り、急斜面での登高はシールの限界。
最も勾配のきつい所は堪らず板を脱いだ。
標高2,490mコルから見上げた御前峰。左手のスカイラインを回り込んだ斜面を登った。
急斜面を乗り越せば、ラストは緩やか。白い雲が美しい。
12時25分。御前峰山頂到着。
今日は風も穏やかで周囲を見渡す余裕あり。
大汝山。
別山。
それでも、普段に比べれば周囲の山へ注意が向かない。
写真も雑。やはり余裕は無い様子…
13時10分。
結構山頂に長居したようだ。久しぶりにワックスを塗って滑走開始。
まず山頂から2,490mコルまで滑走。ザラメ雪が気持ちよい。
その下ボール状の大斜面。遮るものはありません。
Hさんのスーパーターン。
快適なザラメ雪。少し上手くなった気分にさせてくれる。
途中から台地方面へ大きくトラバース。
御前峰と剣ヶ峰の山体がどっしりと立ち上がる景観は迫力満点。
二つのピークに挟まれた中央の凹地が直登ルートか。
僕が今日登らせてもらったルートに比べて斜度も雪の状態もワンランク上とのこと。
そんな斜面には一本のシュプールが描かれていた。
輝き放つ白山東面
僕たちが滑った谷も午後の光を浴びてきらめいていた
のびやかで優しいラインが好き
台地上の滑走は緩急を繰り返していくらでも楽しめる。
こんなに登ってきたのかな?と思う程滑走距離は長い。
Hさんに置いていかれながらも、何度も何度も振り返る。
背中に目が欲しい…
もう少し早い時期なら、白い雪と点在する木々との競演も素敵だろう。
標高1,450m地点まで下ったあたりからブッシュが目立ち始める。
雪を追ってそのまま下っていると、登りルートから逸れて籔の罠にはまってしまった。
地図上1,407m付近で雪が切れたため、急斜面からスキーを放り投げて籔漕ぎ。子供の頃近所の山での探検ごっこを思い出す。
標高1,350~1,300mのダイラは籔ランド。蔓と小枝が板に絡まってイライラする。
最後は林道に向けて尾根を登り返すだけだが、昨日と同様ノックアウト。
14時40分。林道到着。
林道に下りた時はそのまま座り込んでしまった。
14時45分。自転車でダウンヒル開始。
今日は舗装道路なので楽ちんだ。
ガードレールのない崖から転落したら命は無いので安全に下る。
下まで下りてくると大白川渓谷の水の流れと新緑のコントラスト。儚げな山桜も色を添えて美しさを引き立てる。
15時15分。ゲートに無事到着。
一人ではとても山頂に達するモチベーションはなく、何よりルート選択の判断が無理だったと思う。
無事白山東面台地を楽しませていただけたのはHさんのおかげです。ありがとうございました。
そして昨日から2日間、お天道様がプレゼントしてくれた最高のお天気。ありがとうございました。
自転車を車に積んで、Hさんと別れ、158号線を南進。荘川桜はまだ見頃を迎えていなかった。
何かお腹に入れなければと思ったが受け付けるのは蕎麦くらい。今日も荘川蕎麦をいただいた。
一杯のなめこ汁が五臓六腑に染み渡る。熱いお椀を抱えるようにありがたくありがたくいただいた。
前日の飛騨沢ワンデーで疲労困憊。温泉に入るのもやっとこさ。身体は食事を受け付けず、高山で蕎麦をツル~っといただくのがやっと。
新穂高から平瀬まで3度も車を停めて仮眠。やっとやっとで22時前にゲート前に到着した。
自転車を車外に下ろしてシュラフに入る。チャックも締められずにそのまま寝てしまった。
朝3時。近くに車が止まり目を覚ます。そろそろ早い入山者は自転車を漕ぎ出す頃か。目は覚めたが気分はどんより。
4時頃、また別の方が自転車で出発されるのをシュラフの中からお見送り。
やはり体調不良。モチベーションゼロ。自分への言い訳を見つけて今日はこのまま帰ろうかと思っていた時、車の窓をノックする音。
ドアを開けると、なんと昨日槍ヶ岳を御一緒いただいたHさんの姿。
「ご一緒しませんか?」のお誘い。
もちろん「是非!お願いします!」
不思議なもので体内のボルテージがキュイーンと上昇する。大慌てで準備開始。
5時00分。
モタモタしている僕を気長に待っていただき、漸く出発。
ペダルを漕ぎ出すと意外と身体は動くようだ。要は気持ちの問題か。
5時10分。
飲料水を車に忘れてきたことに気付く。
ダッシュで車まで取りに戻る。
無駄な時間をロスしてしまい、大変なご迷惑をおかけてしまった。
5時20分。
持ってきた飲料水をザックに詰め直し、白水湖を目指して再出発。ゲートから13キロの自転車漕ぎは所要2時間ほどらしい。
道は概ね川沿いで全舗装なので辛くは無い。むしろこんな天気の良い朝に自転車+山スキーが楽しめて…と前向きに考えてみた。
あの白き峰の頂きまで…ペダルを漕ぎ行くHさん
7時00分。小白水谷にかかる橋の先のカーブを曲がったポイントに到着。
7時20分。道端の斜面に取り付いて籔漕ぎ開始。辺りには雪は殆ど無い。小さな尾根の裏手に雪があるとは俄かに信じ難い状況。
それでも100m程余分に進めば雪が現れた。
こんなところHさんに導いてもらわなければ、僕一人ではきっと彷徨するに違いない。
雪は所々で切れており、籔を避けながら前進。
標高1,500mの先、急斜面を乗り越えれば植生が変わり、岳樺の疎林が現れてくる。
東面台地に乗っかったイメージ。落ち葉やブッシュも無い快適な雪面歩行に気持ちが楽になる。
前日の槍行きの歩き出しが氷点下の冬山モードだったのに対し、今日の白山は太陽が照りつける東斜面。汗は噴き出し喉が渇く。二人とも飲料水が不足がちで、雪をすくってペットボトルの水を増す。
転法輪谷と小白水谷に挟まれた広い台地の左側にルートを取り、標高1900mの平原に出る。
9時45分。標高1,910m地点。
スキーを脱いで大休止。前方の谷の中に先行者お一人の姿あり。
雪原にゴロンと横になって骨休め。
谷は広くて静か。シュルッシュルッとシールの音。
白山主峰の御前峰へはこのまま転法輪谷上部を詰めて御前峰の南のコルへ上がるルートを選択。
直射日光で雪が緩み歩きづらいが、谷の斜度は怖さを感じるものではない。クトーなしでコルまで登りつめた。
11時30分。標高2,490mコル到着。
少し霞みがかかっているが北アルプスの全山眺望。
御前峰へはコルから山腹を少し西側に巻いて直ぐに直登ルートを選択。
これがなかなかハード。ザクザクの雪に板が滑り、急斜面での登高はシールの限界。
最も勾配のきつい所は堪らず板を脱いだ。
標高2,490mコルから見上げた御前峰。左手のスカイラインを回り込んだ斜面を登った。
急斜面を乗り越せば、ラストは緩やか。白い雲が美しい。
12時25分。御前峰山頂到着。
今日は風も穏やかで周囲を見渡す余裕あり。
大汝山。
別山。
それでも、普段に比べれば周囲の山へ注意が向かない。
写真も雑。やはり余裕は無い様子…
13時10分。
結構山頂に長居したようだ。久しぶりにワックスを塗って滑走開始。
まず山頂から2,490mコルまで滑走。ザラメ雪が気持ちよい。
その下ボール状の大斜面。遮るものはありません。
Hさんのスーパーターン。
快適なザラメ雪。少し上手くなった気分にさせてくれる。
途中から台地方面へ大きくトラバース。
御前峰と剣ヶ峰の山体がどっしりと立ち上がる景観は迫力満点。
二つのピークに挟まれた中央の凹地が直登ルートか。
僕が今日登らせてもらったルートに比べて斜度も雪の状態もワンランク上とのこと。
そんな斜面には一本のシュプールが描かれていた。
輝き放つ白山東面
僕たちが滑った谷も午後の光を浴びてきらめいていた
のびやかで優しいラインが好き
台地上の滑走は緩急を繰り返していくらでも楽しめる。
こんなに登ってきたのかな?と思う程滑走距離は長い。
Hさんに置いていかれながらも、何度も何度も振り返る。
背中に目が欲しい…
もう少し早い時期なら、白い雪と点在する木々との競演も素敵だろう。
標高1,450m地点まで下ったあたりからブッシュが目立ち始める。
雪を追ってそのまま下っていると、登りルートから逸れて籔の罠にはまってしまった。
地図上1,407m付近で雪が切れたため、急斜面からスキーを放り投げて籔漕ぎ。子供の頃近所の山での探検ごっこを思い出す。
標高1,350~1,300mのダイラは籔ランド。蔓と小枝が板に絡まってイライラする。
最後は林道に向けて尾根を登り返すだけだが、昨日と同様ノックアウト。
14時40分。林道到着。
林道に下りた時はそのまま座り込んでしまった。
14時45分。自転車でダウンヒル開始。
今日は舗装道路なので楽ちんだ。
ガードレールのない崖から転落したら命は無いので安全に下る。
下まで下りてくると大白川渓谷の水の流れと新緑のコントラスト。儚げな山桜も色を添えて美しさを引き立てる。
15時15分。ゲートに無事到着。
一人ではとても山頂に達するモチベーションはなく、何よりルート選択の判断が無理だったと思う。
無事白山東面台地を楽しませていただけたのはHさんのおかげです。ありがとうございました。
そして昨日から2日間、お天道様がプレゼントしてくれた最高のお天気。ありがとうございました。
自転車を車に積んで、Hさんと別れ、158号線を南進。荘川桜はまだ見頃を迎えていなかった。
何かお腹に入れなければと思ったが受け付けるのは蕎麦くらい。今日も荘川蕎麦をいただいた。
一杯のなめこ汁が五臓六腑に染み渡る。熱いお椀を抱えるようにありがたくありがたくいただいた。