TREK&RIDE

山と自転車!

白馬岳大雪渓/山スキー

2007-05-31 | 山スキー
2007年5月27日 白馬岳大雪渓

夜は眩しいほどの月明かりだったのに、朝起きると陰鬱な曇天。
まだ白馬岳の稜線は見えているが、雲に覆われるのも時間の問題だろう。
相変わらず上空の風は強そうだ。

今日はGWの薬師黒五ツアーで御一緒させていただいたKさんが白馬鑓に来られるとお聞きしていた。猿倉の駐車場内で車を探していると…同じく薬師黒五でお会いしたSさんとバッタリ再会。今日は旭岳方面を予定しているとのこと、僕の予定と一緒ですね。今日もよろしくお願いします。
Kさんのお車は確認できず。予定を変更されたのかなぁ?

5時35分。
猿倉駐車場出発。白馬尻に向けて林道をエッチラオッチラ歩く。


お~、牧場はみ・ど・り~♪

6時11分。
林道終点から右手に大雪渓末端が確認されたが、大雪渓入門の僕は下部の状況が不明なのでそのまま夏道を選択。
しかし夏道の方がルートは荒れ気味…雪渓が正解だったようです。

6時30分。
大雪渓に出て暫く進んだところで早速シールの準備。
板にシールを貼っていると背後から「きついねぇー!」と威勢のいい声。
えっ?と思って振り返ると、なんとなんと。
GWの飛騨沢で御一緒させていただいたTさんではないですか!
昨日ご一緒したHさんから僕が大雪渓に入る事をお聞きになっていたようです。
いやビックリ。今日は白馬岳山頂の予定とのこと。
とりあえず稜線までご一緒して、状況を見て白馬か旭岳にアタックすることになりました。


かなり怪しい雲行き。

6時45分。行動再開。
大雪渓前方は灰色の雲。山麓方向を振り返ると青空も覗いているが天候の回復は期待できず。
意外と風は強くないが、数分に一度の間隔で、どどどっと強風が押し寄せてくる。まるで風のダムの放流。山の気象は不思議だ。

雪渓の途中で先行していたSさんと合流。
GW以降の近況などを教えていただきながら歩いてゆく。


今日は籔漕ぎ無しで快適。

8時13分。
標高2,200m。斜度がきつくなる。
今日は早々にシールはギブ。担ぎに切り替えた。


僕はそろそろシール止めます。

今日は横着をしてアイゼンを車に置いてきたため先行者のキックステップを拝借して一歩一歩確実に登る。
高度を上げるに従い雪が徐々に固くなる。つま先しか踏み込めない状況に少々不安。やはり雪山は十分な装備で臨むべきことを改めて痛感。5月の大雪渓をなめていた。

葱平が近くなると、強風がザラメ雪巻き上げながら容赦なく吹き付けてくる。
耐風姿勢でやり過ごすが、姿勢を低くするとザラメが身体を叩き、これが結構痛い。
ブリザードを耐風姿勢で迎え撃つが、頭からしっかりと氷雪の洗礼。散髪したばかりの首筋に雪が積もり脳天がクラッとする。

8時55分。
葱平の雪原。風は一層強い。
前を行くボーダーさんは突風を受ける度に体勢を崩して転倒。見ていて気の毒だったし危険さえ感じた。

Tさんは急斜面をシールで登りきった。この段階ではまだ稜線までは行ける気持ちがあったのでもう少し前進してから撤退を判断することにした。

しかし烈風が前進を阻む。行けないことはないと思うが、稜線から上部の突風を想像すると、これ以上前進することに意味があるとは思えない。

9時20分。
標高2,530m。
Tさんと「撤退」で意見一致。
「今日は山は呼んでいない。」(Tさん談)
岩陰でシールを剥がして滑降準備。


この日の敗退ポイント。上部を目指す方もいらっしゃいます。

9時37分。
未練がましくチラッと上部を振り返り、Tさんに続いて滑降開始。
荒天のおかげで?雪面は固く締まっており、滑降には好都合。


ダイナミックに滑っていきます。

大雪渓上部は急斜面が均一に続く滑り応えのあるバーン。
ただ、下から登って来られるスキーヤーもいるのでここは慎重に。
Tさんが登高途中突風に奪われた手袋を探してから下りるから、と話をしていると偶然傍を登っていた方が「手袋なら下の草地近くにあった」と教えてくださる。なんてラッキーなタイミング!

手袋を探しながら斜面をゆっくり下っていると、上部から声を上げながら軽快に滑り降りてきた山スキーヤー、見覚えのある板。
あれっ?Kさん?

上を見上げると奥さんがいらっしゃる。やはりKさんご夫妻だ!!
まさか大雪渓滑降中に再会できるとは!今日はドッキリ再会が続きます。
白馬鑓狙いのご夫妻は大雪渓経由で鑓を踏んで鑓温泉に下る予定が、荒天のためやはり 葱平で引き返してこられたのだという。
そんな話をしているところへ、Sさんも滑り降りて来られた。
あれあれ、大雪渓の真ん中でGW山行メンバーが集合です。 


下部は風も穏やか。

こんな所で立ち話もなんですが…
偶然の再会に話も盛り上がります。
まぁ、お話しは下山してから駐車場で。
まずは下りましょうか。


ラフな雪面でもガンガン滑るTさん。


今日の山の表情はおどろおどろしい雰囲気。

大雪渓下部は落石だらけ。どこを滑っても板はガリガリ痛めつけられる。

10時27分。
林道到着。板を脱ぐ。道路わきの融雪水で板を洗ったらザックに括り付ける。
あとは猿倉までの林道歩き。
Tさんとこれまでの山スキーのことやシーズン終了後の夏山のことなどを話していると猿倉への道のりもあっという間だ。
ひと時、雨がザーッと通って行った。まるで「今日は引き返して良かったろ」と山が話し掛けてきたようだった。

11時05分。
猿倉駐車場に無事到着。
シーズン最後の山行だけに、天気に恵まれずに撤退となったのは残念。
しかし、GWで御一緒した皆さんにここで再会出来た喜び。
今日も一日すばらしい山の世界を堪能させていただきました。

シーズン終盤、滑るエリアが限定されるからと言ってしまえばそれまでですが、山での出会いには本当に不思議なものを感じます。
また来年、どこかでお会いできればいいですね。


みなさんとお別れして僕も猿倉を後にする。。
山麓は明るい日差しと眩しい緑。
今日も幸福感いっぱいで家路につくことができます(相変わらす運転は辛い…)。


E410の風景モードはコッテリ系。緑はもう少し軽めが理想。


こんな道を家から半日コースで走れれば理想的…いいな信州。