TREK&RIDE

山と自転車!

白馬鑓ヶ岳/山スキー

2007-05-29 | 山スキー
2007年5月26日 白馬鑓ヶ岳

GW山行を終えて山からは遠ざかっていたが、シーズン最後に1回は雪山に出かけて板納めにしたい。そう思っていたところへHさんから「ラストラン」のお誘いをいただきました。

金曜夜。低気圧が通過して激しく雨が降る19号を北上。「黒部ダム大雨通行注意」「県道白馬岳大雨通行注意」の道路情報に不安を抱きながら車を走らせる。
猿倉に着くと星が瞬いているのに雨が降る妙な空模様。まだ車も疎らな駐車場で眠りに着く。

4時30分。
予定通りHさんと合流。今日は飛騨沢山行でお会いしたSさんと3人で白馬鑓をめざします。
夜通し車を揺らしていた風は少し収まったものの、上空の雲の流れは速い。
今日の稜線は厳しいかもしれない。

猿倉山荘から登山道に入る。雪は全く無く新緑の中のトレッキング。
前回白馬鑓を訪れた時は猿倉まで滑って下りられたが今回は雪の欠片も見当たらない。

ブナの新緑が眩しい登山道を抜け、雪が現れたあたりからは籔とのふれあい、いや格闘。
そんな中をHさんはひょいひょいと籔の間をすり抜けてゆく。
驚異的な籔スキーテクニックは何度か拝見していたが、籔歩きまでこのスピード!
Sさんと舌を巻きながら後を追う。


やぶやぶランドも上から眺めれば新緑が美しい。

6時14分。
小日向のコル。ここまでシールはつけず、担ぎでノンストップ便。
飛騨沢を槍平ベースでこなしてしまうSさんも相当足が速いです。
おかげで僕は喉がカラカラです…


ちょいとアンダー。E410を山デビューさせるも使いこなせておりません。

小日向のコルから湯ノ入沢までは雪解けが進んでおり、雪は辛うじて繋がっている状況。
洗濯板と化した雪面に悲鳴を上げつつ、ゴーゴーと水飛沫をあげる沢の間を下ってゆく。

6時47分。
湯ノ入沢。
デブリを渡ったところでシールを貼る。
Sさんに美味しい羊羹をご馳走になる。


さぁ、白馬鑓を目指してシール登高開始。

右手前方に白馬鑓中央ルンゼが見える。
こんな狭くて急峻な溝をスキーで滑る方がいらっしゃるとは…あな恐ろしや。

8時00分。
鑓温泉通過。
ここまでSさん先頭で順調に上がってきました。
温泉に浸かるのは後のお楽しみ。先頭を交代して大出原を目指す。
沢状のルートはデブリで少し荒れ気味。なるべく滑らかな斜面を選んでジグザグ登高。
次第に上部からの風がきつくなってきた。


雪のはだけた鑓温泉下部。

9時35分。
標高2,500m。大出原。
ザックを下ろして大休止。吹き曝しなのであまり落ち着かない。
グワァーと雷鳥が鳴いていた。

9時50分。行動再開。
ここから上部は少し条件が厳しくなるか。
Sさんは稜線を窺うも、ここで引き返しの判断。
先に鑓温泉に下って一足お先に温泉タイム。


前回の敗退ポイント。今日は山頂に立たせてもらえるだろうか。

僕とHさんは山頂を目指す。
稜線への急斜面をシールを履いたまま登ってゆくが、時折突風が体を揺らす。
稜線に近づくにつれ、いよいよ風が強まり身体を持ってゆかれそうになる。
ここでシールは諦め壺足に。半ば匍匐前進の格好で登っていく。


耐風姿勢でジッとしている時は昆虫にでもなった気分。

10時46分。
ようやく標高2790mの稜線に到着。
富山県側から吹き付ける猛烈な風。
これはなかなか経験したことがない強風だ。
山頂までは雪の無い夏道。スキーはデポした。
Hさんに大丈夫かと聞かれるが声も出しづらい。思わず両腕で大きな○を描いて答えていた。

11時00分。
白馬鑓ヶ岳山頂。
前回単独で臨んだ時は大出原で時間切れのため引き返していただけに、山頂に立つ喜びもひとしお。

杓子沢や旭岳の滑降コースを教えていただきながら胸を膨らます。
今年は上部の雪が多いらしく、旭岳もまだまだ雪がたっぷり。
一目見て翌日のコースが決まってしまった。


やはり白馬は別格です。

11時14分。
下山開始。
下りは登りよりも体勢が不安定になる。風に飛ばされないよう慎重にデポ地点までの道を下る。


剱岳も黄砂で霞んでいる。

11時35分。
デポ地点。キジ撃ち希望も強風で断念。
滑降の準備を整えて早く大出原に戻りましょう。


まずはHプロが滑ります。うま過ぎです。

続いて僕も滑ります。固めのザラメ。きれいな雪が気持ちいい。

静かな雪原の上空を二羽の鷹(鳶?)が優美に舞っていた。
這松の辺りを旋回するのは…雷鳥さん気をつけて!

沢に入ると雪が重くなり失速。下るにつれてザクザクの雪で足がパンパン。
鑓温泉まで惰性で滑降。もう楽しみは温泉だけですね。

12時00分。
鑓温泉。
Sさんと合流。お待たせしましてすみません。
お風呂に入る間、もう少しお時間下さい。

温泉には先客が3名。お邪魔します。
熱ッ!「熱い熱い」と独り騒ぎながらお湯に浸かる。
お湯に慣れれば至極極楽。こんな気持ちのいい温泉は無い。
全身の神経を弛緩させて湯船でゆらゆらしていると…
上部でゴロゴロと鈍い音。何かな?と不審に思う間もなく、
突然ブロック状の雪塊がドドドッと文字通り雪崩込んできた。
湯船目がけて波状攻撃で襲ってくるバレーボール大の雪。無防備な姿で逃げ惑う僕たち。

一瞬の恐怖体験。唖然呆然。しかし次の瞬間笑いがこみ上げてきた。
「お湯が熱いもんで薄めてくれましたね。」とHさん。
(えっ?『熱い熱い』」と騒いだせいですか?すみません…)


この時期はスコップだけじゃなくヘルメットも必携?

13時00分。
Sさんお待たせ。あとは猿倉に帰るだけ。小日向のコルへの登り返しが少し面倒。
温泉に入って身体が軽くなったというHさんの滑りは確かに軽やか。
僕はもうかなりガタガタ。

14時00分。
小日向のコル。
またも洗濯板滑降。下ってから台地の上はやぶやぶランド。
これなら夏道歩きの方が気が楽です。
夏道に入ると緑が濃くなり新緑のブナ林を楽しむ。


途中で見つけた夫婦ブナ。

15時24分。
猿倉駐車場に無事到着。
GWに引き続き、今回も楽しい山行となりました。
Hさん、Sさんありがとうございました。

こうして「ラストラン」は無事終了。
しかし翌日には…
Hさんは穂高、Sさんは猫又、僕は大雪渓。
全然ラストじゃありません!


さて、僕は翌日も白馬大雪渓の予定なのでゆっくりできます。
とりあえず八方温泉で汗を流し夕食は白馬飯店で海老チャーハン(ミーハーな僕)。

時間もあるので鬼無里への道。あのトンネルに行ってみた。




静かな夕暮れ。美しい時間の中で暫しの眠りに落ちていた。