TREK&RIDE

山と自転車!

薬師・黒部五郎/山スキーツアー (第2日 薬師岳)

2007-05-08 | 山スキー
2007年5月4日 (2日目) 太郎平小屋~薬師岳~中央カール2本~東南尾根~右俣~太郎平小屋

夜半、強い風が吹いていた。明るくなるのを待って布団から出る。窓の外には薬師岳の稜線。雲は無く風も収まっている。まだ静かな小屋から外へ出て日の出を待つ。標高が低いためか思ったほど寒くなかった。


今日もまた非日常な一日の始まり。


薄い青からさくら色へ。


ダイヤモンド薬師?


まるで大雪原のなか基地のよう。

朝食のため小屋に戻り、普段の夕食並みに食事をいただく。

7時15分。
太郎平小屋出発。
ご夫婦、単独テレマーカーさん、僕の4人で出発。他にも薬師を目指す方がたくさん。
シールは薬師峠で貼ってもよいが、面倒なので小屋前で装着した。

7時35分。薬師峠。
ここから登りが始まる。
ご夫婦が先行してガンガン登って行かれる。かなり慣れていらっしゃるようでスキーの扱いがスムーズです。
標高2,550mの平原は新雪で化粧直し。振り返ると北ノ俣、黒部五郎が太陽を浴びて真白に輝いている。
平原を直進し、正面の壁を右の尾根へトラバースしようとしたが、アイスバーンの上の粉雪に板が横滑りして前進困難。堪らずクトーを装着した。
テレマーカーさんも難儀されている様子。アイゼン歩行に切替られた。
ここは夏道が右側の尾根を迂回するように、スキーでも尾根寄りにコースを選択すべきだったようだ。

標高2,650mで休憩していると雷鳥が現れる。
白く小ぶりな姿でチョコチョコと横断してハイマツの中へ逃げ込んでいった。


雷鳥1号。

尾根からは東側の右俣の大きなボウル斜面が覗き込める。
遠くから見ると壁のように見えたが、意外と斜度は緩そうだ。これなら然程怖くない。


薬師沢右俣。帰りに滑ったのは正面右側の沢。

8時35分。標高2,680m。
上部から2人のスキーヤーが滑り降りてくる。随分お早いなぁと思っていると…
なんとH達人とF名人ではないですか!
辺りの「ギャラリー」を圧倒する強烈なオーラを放ちながら颯爽と滑り降りて行かれた。

8時55分。薬師岳山荘。
ご夫婦はかなり先を快調に歩かれているようで姿見えず。

9時36分。避難小屋。
強風。薬師岳山頂までスキーで行くのは不安なので板とザックはデポ。
空身で山頂を目指すことにした。
アイゼンを着けて準備をしているところへ、下からHさん登場!
速っ!黒五小屋からですよね…?


強風なのでスキーはデポしてアイゼンで山頂へ。

9時52分。
Hさんもご一緒にテレマーカーさんと3人で空身で山頂へ。
一足先に頂上を極められたご夫婦と稜線の途中ですれ違う。強風で会話しづらい。

10時02分。薬師岳山頂。
風が強くて景色を楽しめない。
記念撮影をして、カールの偵察。
丁度、金作谷へ滑り込んだ二人組さんが登り返してこられた。
様子をお伺いすると表面の新雪の下の雪は硬いもよう(他の表現を使っておられましたが不勉強なため理解できず…)。ビビッてしまって金作谷はあっさり断念。

隣の中央カールの方がエントリーも緩斜面なので僕でも大丈夫そう。
避難小屋にスキーを置いてきたことを後悔。まだ時間もあるのでとりあえずスキーを取りに戻ることにした。

避難小屋に戻ると、Hさんから「ここから中央カールに滑り込んだら?」とアドバイスをいただく。「1本付き合うよ。」と仰っていただいたので、「それではよろしくお願いします!」と早速準備。


いよいよ中央カールへ滑り込みます。

カールへのエントリーはそこそこ急斜面。最初の2ターンは腰が引けた。
ここで、後から来るテレマーカーさんを確認しなかったため、テレマーカーさんは東南尾根を滑降してしまい、登り返していただく羽目に。確認を怠ったためにテレマーカーさんにもHさんにも大変ご迷惑をお掛けしてしまいました。

10時57分。中央カール滑降。
カールの底には既に滑り終えたご夫婦が小さく見える。
では行きます!
雪は適度に硬く滑りやすい。巨大ボウルの底に向けて暴走気味にショートターン。
もっと丁寧に滑らないと折角の斜面が勿体ない。
標高差200mは僅か60秒のお楽しみ。


大斜面に優美なテレマークターン

カールの底で全員集合。
ここでHさんは右俣経由で黒部五郎方面へ引き返すため、東南尾根に向かって登り返し。
僕たちはHさんから右俣のコースと太郎小屋への帰着ルートを教えていただいたうえで、もう一本中央カールを滑ることにした。

今度は中央カール北側の尾根を狙う。
東南尾根の頭から滑り込んだみんなのラインが光を浴びて輝いている。



滑降ライン

12時00分。
薬師岳山頂南の稜線到達。
山頂から滑るより、ここからダイレクトに滑降した方が面白いとのことなので(ひょえ~)、シールを片付けてそのまま直ぐに滑降開始。行動が素早い。




12時08分。
僕も少し遅れてドロップイン。なるほど適度な斜度が痛快!
カールの中はどこを滑ろうと自由。みんな思い思いに自分のラインを描いてゆく。


大空を羽ばたく鳥のように…

12時10分。中央カールの底
東南尾根への登り返しのため腹ごしらえとアイゼン装着。
風が煩い稜線と違い、カールの中は静かで快適。

12時30分。キックステップで東南尾根へ。


上手い具合に雪庇が切れていた登り返しの到達点。

12時43分。東南尾根到着。アイゼン外して休憩。
13時05分。さて、本日最後の滑降。お待ちかねの右俣です。

今回滑ったのは右俣のうち、東側の沢。
避難小屋直下よりも若干高度は下がる。
滑り出しから斜度は緩い。午後の時間帯でも雪はまずまず。
丁寧に滑ることを心がけてゆっくり目に滑ってみる。
テレマーカーさんに動画を撮って頂いたりしながら、徐々に高度を下げる。
標高2,500mまで下ると斜度も緩く雪がベチャベチャで板が滑らない。


午後ともなると雪が重い…


事前にHさんに登り返しのポイントとして教えていただいた熊の足跡を発見!

13時40分。
このまま右俣を下ってもしんどいので2,400mから薬師平へシールで登り返し。

14時10分。薬師平。
昨日と同様雲行きが怪しい。さっさと小屋に帰りましょう。

14時22分。薬師峠。
小屋までの登り返しのためシールを貼るが、粘着力はそろそろ限界。

14時50分。
太郎平小屋に無事到着。
お疲れ様でした。何はともあれビールで乾杯!
小屋の前で腰を下ろしてグビグビグビッ。あーっ旨い!

小屋に戻って食堂でもう1回プシュッ!
おかげで、夕食はごはん1杯しか食べられず…


夕食のあとの静かな時間。明日も晴れますように。

夕暮れのシーンをカメラに収めて小屋に戻る。
食堂に集まって翌日の作戦会議。
天気予報は下り坂傾向。富山は晴れだが飛騨は曇。夜まで雨は持ちそうだ。
最終日の目標は黒部五郎岳。黒五の頂を踏んでから飛越トンネルに下山するのは少し欲張りか?しかしみんなの意思は固かった。
11時を引き返しのタイムリミットに設定して黒部五郎岳にアタックすることで全員一致。

部屋に戻って、今宵もバーボンをいただく。
贅沢な時間が静かに流れる。

つづく