あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

新しいマーケットの創出

2005-04-28 13:14:30 | マスコミ関連
火曜日、あるコンサルの人と飲みました。

いろんな話が出て面白かったのですが、印象的だったのは“マーケット規模”というコトバです。

「○と×を融合させ、そのマーケットの全体人口が○○○人ですよね。上位を狙う戦略にしても、上位5%で○○○人のマーケット人口があります。しかもこの層は○○方面にもいずれつながっていくので、新しいビジネスのチャンスも生まれる可能性が高いんですよ。」

こんな感じでした(笑)。

マーケットには、既存のマーケットと新たに創出されるマーケットの2種類があります。

前者は当然ライバルがたくさんいて、価格競争に巻き込まれる可能性があります。

当然事業で利益を上げるためには、競争の少ないビジネスフレームで新たにマーケットを創出した方が有利なわけです。

そこには、特別な技術や特許、巨大な流通網といった参入障壁を作る必要があります。

リクルートの営業利益率の高さ、それは常に新しいマーケットを創出してきたからこそ可能でした。

「とらばーゆ」も「じゃらん」も「カーセンサー」も全て、「こんなのがあったら、いいよね」という社員一人一人のアイディアから生まれました。

優秀な社員を採用し、社員全員で新しいメディアのアイディアを募り、実現化していく。

そんな新しいマーケットを創出する一番の目的は、“価格決定権の支配”です。

世界で高い利益率を実現している企業は、特許と価格決定権を所有している会社なのです。

アイディアとは、とても価値があるものなのだという企業が、日本にはまだまだ少ない気がします。

今一番求められるのは、長時間働く人ではなく、新しい価値を見つけ、それをマーケットの中で利益に変える構造を実現できる人だと最近特に感じます。

究極の求人広告

2005-04-26 16:14:51 | マスコミ関連
アナタが今までで、心に一番残るキャッチコピーって何ですか?

そう聞かれれれば、僕は迷わずこのキャッチコピーを紹介します。


 求む男児。

 至難の旅、わずかな報酬、暗黒の長い昼…
 生還の保証なし。
 
 成功の暁には、名誉と賞賛。


これは1900年、南極の探検家として知られるアーネスト・シャクルトンが、当時の新聞紙上に発表した南極隊員公募のコピーです。

この広告が掲載された後、南極探検隊への応募者が殺到したそうです。
とてもわかる気がします(笑)。

このキャッチコピーを、広告論的にちょっと分解してみましょう。

◆ターゲット/「求む男児」
→男性ですが、男児と表現しているところに青年にさらに絞り込んでいます

◆仕事内容・条件/「至難の旅」、「暗黒の長い昼」、「生還の保証なし」
→南極探検の厳しさを極めて短い単語で、かつ明確に伝えています
→命の保証がないことを伝えることで、これを見た人間に覚悟を求め、セグメントしています

◆仕事のヤリガイ/「成功の暁には名誉と賞賛」
→人間の欲望の一番高い次元は、“名誉欲”です。そこに強烈に訴えています。

仕事の条件は最悪で、命を落とすかも知れない。
しかし、成功した者には他では決して得られないモノが与えられる。

この広告は、人間のプライドに訴えた最高の作品ではないかと思います。

そして、独特のロマンを感じさせてくれます。

余談ですが、アーネスト・シャクルトンは応募で集めた隊員と南極に向かいましたが、南極の氷に閉じ込められて船は大破。

しかし、隊員は救命ボートで脱出し、全員が生還したそうです。

ある意味、この作品は“究極の求人広告”です。

アーネストは究極のクリエイティブで、ベストな人材を集め、ベストなチーム(組織)を作ったメディアプロデューサーでもあったのです。

電通某社長のコトバ

2005-04-25 23:05:46 | マスコミ関連
久しぶりに部屋を片付けていたら、懐かしいメモが出てきました。

電通の某社長の「今、広告マンに求められる力」についてのコトバです。

以下、要約します。

広告会社にとってクライアントに対する基本的な機能と役割は、クライアントのコミュニケーション活動に“効率的”でかつ“創造的な”コミュニケーションサービスを提供していくことである。

すなわち的確にクライアントのニーズに応えて、クライアントの営業活動、事業の繁栄に貢献し、合わせて消費者へのコミュニケーションを行い、生活の向上に寄与していくということだ。

その意味で電通の営業マンは、マーケティング能力、クリエイティブへの理解、そしてクライアントの課題を解決するビジネス能力を持たなければならない。

電通マンの条件としては、以下の4つが重要だ。

◆コミュニケーション能力
→自分の意志や考え方を伝えていく能力。ビジネスとしては、広告という情報に転換して伝えていく能力。

◆プランニング能力
→問題解決する時に、発想やアイディアを企画の形にして提案できる企画力。これを絶えず養わないと、クライアントの問題解決ができない。

◆クリエイティブ能力
→常に新しい視点をもって物事にあたり、そこから営業していく能力。

◆プロデュース能力
→総合してまとめ上げてビジネス化していく能力。

非常にわかりやすく、かつシンプルですよね。

特に最後のプロデュース力は、ビジネス上一番重要だと前から感じていたことなので、“やはり、そうか!”の思いを強くしました。

電通は世界最大の広告代理店ですから、そこの人材に求められる要素を身に付ければ、世界中どこでも通用する人材になれるということです。

そういう意味では、この4つの能力には普遍性があると思います。

広告勉強会

2005-04-23 19:51:42 | マスコミ関連
昨日、デジットセミナールームでプロジェクトスタッフ学生向けの広告の勉強会を行いました。

目的は、5月28日に実施予定のデジット主催インターンシップキャリアサミットイベントの広報のスキルアップです。

具体的には、以下の流れで行いました。

1、世界のCMに見るトップクラスのクリエイティブ
→ナイキ、GAP、リーバイスなどの有名作品をスクリーンで見せ、感動のメカニズムを探る

2、広告は人だ/好きになってもらう仕掛け
→モノを言うスタンス、キャッチのポイント、綺麗なフォーマットは優しさにつながる

3、広告の構造とは/誰に、何を、どう伝えるか
→ターゲット設定、コンテンツ、表現の3大要素について考える

4、“伝える”と“伝わる”の違い/3秒の視覚伝達実験
→2種類の広告をそれぞれ3秒だけ見て、デザインと記憶の相関関係を検証する

5、ターゲットメディアとしてのブログ戦略
→自分のブログを以下の要素を設計し、明日から実行してみよう
・ターゲット像→読む雑誌は?見るテレビ番組は?好きなタレントは?
・コンテンツ案
・表現案

4のブログ戦略については、何人かの学生さんに目の前でプレゼンしてもらいました。

みんなそれぞれ、ターゲットをイメージした工夫があってかなり興味深いものでした。

人間は常に自分の世界でしか、メディアは作れません。

しかし、ターゲットを想定することで、コンテンツを作る努力が生まれ、メディアとともに自己成長できるものだと思います。

いわゆる“ネタ探し”“心を動かす表現工夫”のスパイラルが、自己研鑽に昇華するわけです。

日々の自分のブログを見てくれた人数の数字は、メディアの支持率であり、その努力に対する成績表でもあります。

この原理を面白いと感じる人は、メディアビジネスに向いてると思います。

勉強会の後は、早稲田の広告研究会の学生さんと代々木の美味しいインド料理AMAで、学生出版企画について打ち合わせをしました。

彼は、ロレアルのマーケティングプランコンテストで順調に勝ち進み、また大手広告代理店出身のプランナーのミーティングにも、先日同席させてもらったとのこと。

自分も学生時代は、マガジンハウスでアルバイトをしながら、プロの編集者の仕事ぶりを目の前で見て、必死でそのワザを学んだ時代がありました。

フロアで交わされる会話、原稿用紙の下書き、企画書のボツ原稿…。
今から思えば、それらは最高の教材であり、フロアは最高の授業の場でした。

マスコミに入る学生は時代に関係なく、普遍性があることを強く感じた夜でした。

人が知らない事を見つける力

2005-04-21 23:20:04 | マスコミ関連
メディアの求心力の一つに、“人が知らないこと”があります。

人間は、自分の知らないことに興味を持ちます。

メディア関係の仕事に就いている人は、世の中の人が知らないことを引っ張り出して見せることで、その存在意義を証明しているわけです。

人が知らないスポット、人が知らない企業間の取引、人が知らない有名人の秘密…。

元フライデーの編集長だった人の実話です。

以前彼は、三井物産マニラ支店の支店長だった若王子さんの誘拐事件のスクープを取ったことがあるそうです。

そのスクープとは、人質状態を示す写真の中で、指を切り取られたように見えている若王子さんの指は、実は切られているのではなく、曲げられているというもの。

このスクープの発端は、たまたま行った病院で前年に指をつめたやくざを5人も治療した医師に出会った(笑)ことだそうです。

彼はその医師に、若王子さんの人質写真を見せました。
するとその医師は、こう言ったそうです。

「人間は、指を切られたらこういう形には決してならない。これは、曲げているだけだ。」

この医師のコメントが根拠になって、スクープは生まれました。

世の中のいろんな現象を、先入観で見るのではなく、どんどん専門家に聞いてみる。

よく映画やドラマで優秀な刑事が、現場の証拠をもとにいろんな専門家に聞くシーンがありますね。アレです(笑)。

専門家はその道のプロですから、実に科学的な見解を話してくれます。

科学は、真実性が高い。科学は、ブレがないんです。

専門家にどんどん聞いて、真摯に耳を傾ける。

そしてそういった“価値ある情報”は、必ず“人の中”にあります。

だから、いろんな人とすぐ仲良くなれるということは、メディアに携わる人間にはとても重要な資質なんですね。

編集と広告収入の熱い関係2

2005-04-20 19:59:18 | マスコミ関連
今日は、一日中雨ですね。

昨日のブログを見た人の数が、前日の倍を記録しました。
こんなことは、初めてです。

最近、広告、映像、雑誌といったメディア関連のコンテンツに絞って書いているせいか、ブログのヒット数がじわじわと上がってきました。

このブログは、メディアに関するあらゆる知識が学べるものにしたいと考えています。

さて、今回は前回の人気編集長がいよいよ女性誌に進出した時の話です。
男性誌で成功を収めると、彼は女性誌の創刊に取り掛かりました。

このキッカケが、なかなか面白いのです。

前回お伝えした、かなり濃いテイストの男性誌の読者の15%が、実は女性だったそうです。
そして、「こういった女性誌を作って欲しい。」という声が編集部に届くに及んで、女性誌創刊の流れは一気に加速しました。

この雑誌のターゲットは、年収800万~1,000万の30歳以上の女性です。

そのターゲット心理のヨミが、また面白いんです。

「この年代の女性は、もう自分は若くないんだというコンプレックスがある。

知識も教養もあって、プライドも高い。でも別れた男は、22、23の若い女のところに行く。

そんな女性に、30代ならではのテクニックを身に付けるべきだという提案をしたい。

30代には、30代しかない魅力があるべき。欧米の女性は、30代でもモテル女性はたくさんいる。

アナタが本来目指している方向はどっちなの?を問い続けていきたい。」

当然そのライフスタイル提案には、若い女性には不可能な“消費が動き”ます。

20代の女性が二泊三日の香港旅行で買うルイビトンのバックではなく、イタリアのトスカーナ地方の皮革職人が作った東京で10個しかない高級バックなわけです(笑)。

知的プライドと価値観をくすぐりながら、消費の欲望をあおる。

そして、雑誌発売後、その編集記事がマーケットを動かす。
今売れる編集長は、クリエイティブとビジネスセンスに長けたマーケッターなのです。

ターゲットメディアとしての雑誌に限らず、“アナタだからこそ”は、今後のマーケティングのキーになってくると思います。

編集と広告収入の熱い関係

2005-04-18 23:53:27 | マスコミ関連
最近、中年男性雑誌が売れています。
その流れを作ったのが、いつも表紙に濃いイタリア人が掲載されているあの雑誌です。

ラテン系の大阪出身のその雑誌の編集長は、最初別の出版社に在籍していました。
そして今の出版社に移った時、社長にこう言われたそうです。

「うちはマガジンハウスと比べて販収は1桁多いが、広告収入は1桁少ない。これを、キミに何とかして欲しい。」

彼は、担当になった雑誌の編集を徹底的に検証します。

そこで浮かび上がってきたのは、メーカーの広報部から渡された資料、招待された様々な機会に甘んじて、ただの提灯記事を掲載している実態でした。
言わば、カタログ作りしかなされていなかったのです。

彼が追求したのは、その雑誌しかない“オリジナリティ”でした。
そして、以下の作戦で部数を伸ばしていきます。

◆2枚目・ハンサムではないモデルを起用する
◆2枚目半でモノを語っていく
◆おやじとハゲのモデルを使っていく
◆ミドルエイジの金持ちターゲットの雑誌でいく
◆編集企画はターゲットの精神風土をくすぐるオリジナルなモノで攻める
◆雑誌のタイトルは、強引なまでの体言止めで表現

その編集長のロジックは、こうです。

「10年前の50歳の人々の原体験は、食べるのがやっとの時代だった。しかし今の50歳の人々は、小さい頃電気機関車遊びをし、物的快感の解を知っている。そこが、ビジネスチャンスになる。」

この雑誌の部数は当時6万部ですが、読者の購買力は非常に大きいことが判明しています。

雑誌で特集したイタリア製のバックが、雑誌が書店に並んだ瞬間、東京中からなくなったというエピソードもあるくらいです。

ここに、広告主が出稿したくなるこの雑誌の力の源泉があります。

いかに購買力のある読者の心を捕まえるか―それはある意味、雑誌の生命線なのです。

売れてる雑誌の意味

2005-04-17 23:56:47 | マスコミ関連
今日は、お天気良かったですね。
目の前の代々木公園も、かなりの人出でした。

さて、今回は売れている雑誌について考えたいと思います。

実は“売れている”という言葉には、見る方角によって様々な意味があるのです。

◆一般の人が考える売れている雑誌

週刊文春○万部、週刊SPA○万部など、いわるゆたくさん売れている雑誌のことですね。

◆書店の考える売れている雑誌

この場合、たくさん売れていること以外に“実売率の高い”ことを指します。
書店さんにとって返品の多い雑誌は、手間がかかって利益につながならないため、嫌がられることが多いのです。

ちなみに実売率の合格ラインは、週刊誌で80~85%と言われています。

◆広告代理店の考える売れている雑誌

この場合は、そこそこ売れていることに加え、“魅力的な読者を獲得”している雑誌のことを指します。
購買力のある読者の心を掴むことは、広告収入につながり、それが雑誌のブランディングにもつながっていくのです。

◆広告主(クライアント)が考える売れている雑誌

この場合は、そこそこ売れていることに加え、“広告効果の高い”雑誌のことを指します。

◆出版社の社長が考える売れている雑誌

この場合は、“利益額の大きい”雑誌のことを指します。

どうですか?

普段何気なく本屋さんに並んでいるたくさんの雑誌は、全てテレビの視聴率競争のようにこのような数字を競い合っているのです。

明日は、お金を儲けるための編集制作の役割について記したいと思います。 

広告の天才片岡敏郎

2005-04-16 23:57:42 | 広告の歴史
広告の歴史を勉強すると、大正中期に活躍した片岡敏郎という人物に出会います。

彼は最初電通に入ってぶらぶらしていましたが、その後森永製菓の宣伝部に誘われ、その才能を開花させます。

そしてその活躍ぶりに目をつけた寿屋(現サントリー)の鳥井社長が、宣伝部長にヘッドハンティングするのです。

彼の代表的なキャッチコピーを、紹介しましょう。

「不景気か?不景気だ!赤玉ポートワインを飲んでるかネ?飲んでない!そうだろう!」

「お前の家によったらナ お母さんが心配しててナ ちとこれでも飲んだらどうやちうてナ もたしてかえしたゼ」

「出たオラガビール 飲めオラガビール」

彼は当時の殆どの広告が広告主の視点から見ていた商品を、当時の庶民の目線で描くことで、大衆表現としての広告手法を確立した最初の人です。

そして何と言っても彼の代表的な作品は、スモカ歯磨の1,000点を超える広告です。

当時ライオン歯磨のような大手企業が新聞一面を使って派手な広告を打つ中で、スモカは10センチ四方くらいな小さなスペース広告で、カウンターパンチを浴びせ続けたのです。

「なんとまアおきれいなお歯…と逢う人ごとにほめられて スモカ使うの わたしもういやッ」

「スモカで磨いた三日目の 朝はわざわざもって見せて 旦那!お歯お歯お早う!」

「吸ったタバコのニコチンで 腹は黒いが歯は白い スモカ仕立ての男前 ムハ ムハハハハ」

これらのコピーのそばには当時活躍していた画家達のイラストがついていて、非常にユーモラスな広告に仕上がっています。

また表現の切り口が、歌舞伎調あり、モダン風あり、駄洒落ありと本当に幅が広いんです。

そして、最後には商品に必ず着地しています。

片岡敏郎の作品の魅力―それは、一つ一つが広告というものの原点を教えてくれる点なのです。

学生出版企画スタート!

2005-04-15 15:03:12 | マスコミ関連
今日は、お天気いいですね。
こんな日はオフィスの裏手の新宿御苑の芝生の上で、サンドウィッチでも食べたい気分です。

さて、昨日ついに学生出版企画が動き出しました!

コトの発端は、メディアプロデュース講座で『週末起業マニュアル』『ブログで始める超速起業入門』などのヒット作を飛ばしている、明日香出版の小早川氏の学生出版企画講座を開催したところから始まりました。

この時、非常に多くの学生さんから出版企画の応募があり、その中から優れた企画を私が選んで小早川さんにお送りしたところ、検討しましょうということになったわけです。

今回の企画の提案者は、慶應義塾大学商学部2年の草川さん。

書籍のタイトルは、『アレルギー・アトピーの女の子のためのコスメブック!』です。

草川さんは三重県津の出身で、大学進学を機に上京。
生まれ育った空気と水の綺麗な環境が大幅に変わったせいか、アトピーの症状にかかり、かなり悩んだそうです。

そういった同じ悩みを持っている女の子に、「具体的な対処法からメンタルケア、スタイル提案まで伝えたい!」という自己体験に基づいた想いが、今回の企画を動かしました。

ゴールデンウィ-ク明けには企画書を完成させ、各出版社へアプローチを開始する予定です。

実際に書籍を出版できるところまでいけるかどうかわかりませんが、この模様は随時お伝えしたいと思います。

学生の“アイディア力”と“行動力”。

それは、沈滞する出版界に刺激を与える、大きな存在になり得ると考えています。

政治宣伝の天才ヒットラー

2005-04-14 22:15:45 | 広告の歴史
昨日書いたレニ・リーフェンシュタールは、天才カメラマンでした。

しかしその才能を見抜き、プロパガンダに最大限利用したのは、あのヒットラーです。

彼は、政治宣伝の天才でした。

彼にはゲッペルスという参謀がいましたが、ゲッペルスももともとはヒットラーの街頭演説に感化され、ナチスの運動に参加したのです。

ゲッペルスは、こう語っています。

「彼の演説は、最初はためらいがちで、はにかんでいるようだった。

それはまるで、思想が偉大すぎて、普通の思想の枠に収まらず、ぴったりな言葉を手探りで探し求めている―そんな感じだった。

それから、だしぬけに言葉が響きを持ち始めた。

それにつれて聴衆は次第に興奮状態になり、こぶしをふりあげる者や泣き出す者も現れた。

私は凍えとほてりを交互に感じ、そして気が付くと、我を忘れて万歳を叫んでいた。

と、はるか壇上に立っていたヒットラーが、一瞬私を見た。

彼の青い目は、炎のように私の目を焼いた。神の声だ!

その瞬間、私は自分の進むべき道を知ったのである。」

ヒットラーの著書「我が闘争」を読むと、実は人を感動させるようなものは何もありません。

彼は大衆を動かすのは“論理”ではなく、“感情”であること、“言葉”よりも“音楽”であることを熟知していました。

そして、演説の中身を精査するのは、一握りのインテリに過ぎないことを見抜いていました。

演説の直前、彼は鏡の前で何時間も練習をし、演説が終わった後、彼の体重は3キロ減っていたそうです。

広告のメカニズムを研究する上で、ヒットラーは避けて通ることのできない存在です。

レニ・リーフェンシュタール

2005-04-13 23:58:34 | 広告の歴史
「意思の勝利」という映画があります。

第二次世界大戦時、ナチスドイツがプロパガンダに利用した映画です。

この映画を撮影したことで知られるレニ・リーフェンシュタールの自伝映画「レニ」を見ました。

戦後ナチスに関わった罪に問われたレニは社会生命を抹殺されますが、彼女の創作意欲は衰えず、アフリカのスーダン南部のヌバ族と一緒に生活しながら、写真集を作ります。

そこに着く途中、レニは車が崖から転落して4日間も生死の境をさまよったりします。

この時、レニは60歳近い年齢でした。

この行動力。この創作意欲。

実在の人物の話だけに、リアリティの迫力が違います。

クリエイティブパワーの真髄を見せつけされた映画でした。

今、求められるセンス

2005-04-12 23:06:46 | マスコミ関連
今、どの業界でも“プロデューサー”的な人材が求められています。
それは、マスコミ業界も同じです。

◆“新しく、面白い企画”を立てる。
◆それを、“斬新なクリエイティブ”で表現する。
◆市場で流通させ、“利益を上げる”ところまで見届ける。
◆それらのプロセスにおける各種データを管理・検証し、次なる戦略を立てる。

簡単にまとめると、こんな感じでしょうか。

企業にしてみると、これだけ変化のスピードの速い時代ですから、内部に抱え込む人的リソースはできるだけ少ない方が、リスクは少ないわけです。

クリエイティブとビジネスの両方がわかる人へ。
それを、このメディアプロデュースは目指しています。

近日中に、その勉強会の告知をしますので、お見逃しのないように!

日産のV字回復の真理

2005-04-11 11:25:12 | 活躍するビジネスマン
不良債権に潰された日本経済の切り札として登場した、産業再生機構(IRCJ)。

その代表取締役専務COOで、カネボウやダイエーの経営再建に奔走する冨山和彦氏が鋭い指摘をしていました。

彼は、今の日本は“偉い人ほど雇用が保証されるアンフェアな社会”と言い切っています。

そして危機感の薄い企業を再生するには、“部課長を飛ばした仕組み”を作る必要があると。

日産のV字回復は、ゴーン氏が日産の社内に組織横断型のクロスファンクショナルチームを作り、実績を出したことは知られています。

そこで氏は、こう指摘しています。

「ゴーン改革の先兵となったクロスファンクショナルチームのモチベーションの強さは、彼らは上司や先輩達がどんどん首を切られていく様子を、目の当たりにしたことだ。」

当時の日産は、工場で働く組合員は雇用が保証されていましたが、管理職であるクロスファンクショナルチームのメンバーは、非常に危ない状態でした。

だからこそ、短期間であれほどの成果を出せたのです。

日産のV字回復という現象には、様々な経営のヒントが隠されていると思います。

事実、上記の話はゴーン氏の著書「ルネッサンス」では触れられていません。

仕組みだけでなく、その時の状況を踏まえた本質を理解しないと、優れた手法でも決して機能しないということを痛切に感じました。

偶然の再会

2005-04-10 23:41:17 | マスコミ関連
本日地下鉄で、偶然以前ガイドの表紙モデルをやってもらった学生に会いました。

彼女は現在就職活動中で、Rはインターンシップ経由でほぼ内定状態、Dも順調に選考を通過しているとのこと。

面白かったのは、大手広告代理店のDとHを両方受かる人は少なく、片方しか受からない人が圧倒的の多いという事実です。

確かに私の知っている学生で、両方受かった人は知りません。

おそらく、それぞれの求める人物像が違うんでしょうね。

あと感じたのが、女性の方が会社選びを自己のキャリアの一環として割り切っている部分が強いということ。

それはそれで、たくましさを感じました。

いずれにしても、かつて一緒に働いた学生が誰もが行きたがる人気企業の選考に通過する姿を見るのは、嬉しいものです。