あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

総合商社の内定を獲った男

2005-04-04 19:31:04 | 就職活動
就職活動戦線も、いよいよピークを迎えようとしています。

そんな中、いつの時代も人気の高い総合商社。

有名大学でもなかなか入れないその狭き門を、マイナー大学出身にも関わらず、見事くぐり抜けた人物がいます。今回は、そんな実話を紹介したいと思います。

彼が通う大学は、偏差値52前後の都内にある私立大学でした。
彼はどうしても青山に本社を構える某総合商社に入りたくて、大学3年になると過去5年間、自分の大学から何人その総合商社に入っているか、調べました。

その結果は、かなりショッキングなものでした。
なぜなら、自分の大学からは過去5年間、一人も入社した人がいなかったのです。

「他人と同じ就職活動をやっていては、人気企業には入れない。」

そう彼は深く認識し、そして就職活動への視点を大きく変えたのです。

「どうしたら総合商社に入れるのだろう」ではなく、「総合商社は、どういう人物が欲しいのか」へ。
そして、彼は一つの仮説を立てます。

「商社は、人が全てだ。商社が欲しい学生とは、情報収集能力と行動力に富んだ学生に違いない。」

彼は、早速自分の就職活動のコンセプトを打ち立てました。
それは、“その総合商社の情報を、一番持っている男になる”ことでした。
 
過去3年分の採用パンフレット、ホームページ、四季報、商社に関するあらゆる書物…。
彼は、それらを全て研究し、その企業に関して公表されているデータは、ほぼ暗記するほど勉強しました。そうするうちに、彼はあることに気づきます。

「まだ世の中に出ていない情報こそ、価値があるのではないか?それを集める力を証明する事が、内定への近道になるに違いない。」

彼は、それから毎日、その総合商社のある青山へ出かけました。時刻はいつも、11時50分。その時間になると、玄関から社員がぞろぞろとランチをしに出てきます。その集団は、大きく3つに分かれました。

一つは、OLのグループ。もう一つは、若手男性社員グループ。そして、年配の管理職グループです。

彼は年配の管理職社員が向かうお店をつぶさにチェックし、比較的話が聞きやすいお店に的を絞りました。それからは、平日のその時間はいつもそこでお昼を取りながら、耳をすませ、克明にメモを取り続けたのです。

そうして出来上がったその総合商社の情報ノートは、3冊に達しました。そして、それを人事の面接官に見せた時の反応は、想像をはるかに超えていました。そこにはその人事さえ知らない、会社のトップシークレット事項が、詳細に記されていたのです。

結果、彼は見事その総合商社の内定を獲得しました。
いや正確に言うと、人事担当者は採用せざるを得なかったのかも知れません。

彼は自分というメディアを、総合商社というターゲットに対し、“一番情報を持っている男”というクリエイティブで、プロデュースしたわけです。

就職活動、それは同じ学生同士の中で、“自分のポジション”をどう位置づけ、どうアピールしていくかが勝負です。

それは、メディアをプロデュースする仕組みと全く同じ構造なのです。