あるマーケティングプロデューサー日記

ビジネスを通じて出会った人々、新しい世界、成功事例などを日々綴っていきたいと思います。

編集と広告収入の熱い関係

2005-04-18 23:53:27 | マスコミ関連
最近、中年男性雑誌が売れています。
その流れを作ったのが、いつも表紙に濃いイタリア人が掲載されているあの雑誌です。

ラテン系の大阪出身のその雑誌の編集長は、最初別の出版社に在籍していました。
そして今の出版社に移った時、社長にこう言われたそうです。

「うちはマガジンハウスと比べて販収は1桁多いが、広告収入は1桁少ない。これを、キミに何とかして欲しい。」

彼は、担当になった雑誌の編集を徹底的に検証します。

そこで浮かび上がってきたのは、メーカーの広報部から渡された資料、招待された様々な機会に甘んじて、ただの提灯記事を掲載している実態でした。
言わば、カタログ作りしかなされていなかったのです。

彼が追求したのは、その雑誌しかない“オリジナリティ”でした。
そして、以下の作戦で部数を伸ばしていきます。

◆2枚目・ハンサムではないモデルを起用する
◆2枚目半でモノを語っていく
◆おやじとハゲのモデルを使っていく
◆ミドルエイジの金持ちターゲットの雑誌でいく
◆編集企画はターゲットの精神風土をくすぐるオリジナルなモノで攻める
◆雑誌のタイトルは、強引なまでの体言止めで表現

その編集長のロジックは、こうです。

「10年前の50歳の人々の原体験は、食べるのがやっとの時代だった。しかし今の50歳の人々は、小さい頃電気機関車遊びをし、物的快感の解を知っている。そこが、ビジネスチャンスになる。」

この雑誌の部数は当時6万部ですが、読者の購買力は非常に大きいことが判明しています。

雑誌で特集したイタリア製のバックが、雑誌が書店に並んだ瞬間、東京中からなくなったというエピソードもあるくらいです。

ここに、広告主が出稿したくなるこの雑誌の力の源泉があります。

いかに購買力のある読者の心を捕まえるか―それはある意味、雑誌の生命線なのです。

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