O'kashira

うだうだ

初老?

2012-03-13 02:54:19 | 横浜の空の下


 地下鉄に乗った。
 その町の地下鉄は最近建設されたもので駅構内も車内も清潔感にあふれていた。ドアの両脇に2席づつプライオリティシートがある。つまり両側で8席のシートがあり一般席が緑色に対しそのシートは濃紺に色分けされていた。すべてプラスティック製で座り心地はよくない。暑い国なのでこの方がいいのだろうか。
 僕が乗ったときその8席はすべて埋まっていた。3駅ほどで降りるのでそのシートの前のつり革につかまった。すると僕のはす前の一般席に座っていた青年がニコニコしながら立ち上がり、どうぞ座ってくれとゼスチャーをした。いや、「どうぞ」とでも言ったのだろうが僕にはこの国の言葉がわからない。僕はありがたく頭を下げその座席に座った。
 電車の中で席を譲られたのは初めてである。そんなに歳に見えるのかと窓ガラスに映る自分の顔を見た。口ひげもあごひげもかなり白く、これなら年寄りに見られても仕方がないと一人にやりとした。

 自宅から繁華街へでる用事があり私鉄に乗った。僕の前には就職活動をしているようなスタイルの女性が並んでいた。ドアが開くとその女性は一つだけ空いていたプライオリティシートへ行き座った。
 僕はその女性の前に立ちつり革につかまった。窓ガラスにはあの時と同じ白いひげが映っていた。その女性にわかるようにひげを撫でてみた。なんの効果もなかった。

(もちろん写真と文章は何の関係もありません。)