O'kashira

うだうだ

鯛焼き屋の謎

2014-03-21 22:09:17 | 横浜の空の下
近所のマーケットに鯛焼き屋がオ-プンした。オープン当日の写真がこれだ。


この店舗ができる前の店舗は・・・、鯛焼き屋だった。

 ある日、駅前の会社に勤めている青年がいきなり僕に会いにきた。アポイントもなしでだ。
まあ、僕は暇だからいきなり来られても留守のことは少ないのだが・・・。
 その日は強い雨が降る春の嵐のような日だった。玄関先では気の毒だったので、
「まあ、上がれよ」
家に上がって話しを聞き、彼の用事は済んだ。話しが終わり冗談半分に、
「君なぁ、人の家に来る時は電話の1本もするもんだぞ、で、僕の都合も聞き・・・」
「申し訳ありません。今度からまず電話をしてから会社をでます。」
「いやいや会社をでたら直接家へ来るのではなく、Aマーケットへ寄り鯛焼きを買ってそれか
ら家へ来い。」
 
 その日の夕方、その青年から電話がかかった。
「あの鯛焼き屋が明日で閉店だって知ってました?」
 翌日僕は鯛焼きやへ行った。
顔見知りになっていたおばさんに
「やめるのって本当?どうゆうことよ」
「本当にねぇすいません、会社がそうするって言うことなので。でもまた甘いもの屋さんが出
るようなのでよろしくお願いします。」
「ん・・・?」
なんでこのおばさんが次の店のことをしゃべっているんだろう。同じ会社が業態を変えてまた
出すのかな。いずれにしてもこの店はこの日が最後、鯛焼きを5個買って手を振って鯛焼きと
おばさんに別れを告げた。

 ここの鯛焼きは皮が薄くパリパリであんこがたっぷり入っている。おまけに鯛焼きを作ると
きに出るバリのような出っ張ってしまった皮をいつもおまけに入れてくれ、これがおいしかっ
た。残念な鯛を味わって食べた。

 数日後またこのマーケットへ行った。あの店がどうなったかという興味もあった。遠くから
見ると工事をしているようでもなかった。前の時と同じように営業しているようだった。店の
前には鯛焼きと書かれた旗が立っていた。
 キツネにつままれた気分だった。
 店をのぞくと別れを告げたおばさんがそこにいるではないか。
「どうゆうことよ」
「またよろしくお願いします」
まわりのほかの店員には僕が常連さんだったんですと紹介した。
 真新しい鉄板に鯛焼きがたくさん並んでいた。さらに昔はなかった豆大福やみたらし団子、
ぼた餅などがあった。
 店名が変わり、鉄板は新しくなり品揃えは多少変わったが、店舗はそのまま。
 あのおばさんはあの店の什器だったのかなぁ。