ある講演会があって、久しぶりに日曜日の銀座へ出かけた。「歩行者天国」、なんだか懐かしいような名称だが、まだやっていた。
むかし、この歩行者天国が始まった頃は、どこの銀座通りも、みな東京の歩行者天国に影響され車はストップ、家族連れが車道を歩いていた。その当時学生だった僕は、決して車道を歩くことはなく、いつものように歩道を歩いた。ほんの小さなレジスタンスだった。
久しぶりの銀座、40年ぶりの歩行者天国だった。まわりから聞こえてくる言葉は、フランス語、英語、スペイン語、中国語、あとはわからない外国語ばかり。もっとも。日本語でも最近の人の日本語は、外国語のように聞こえてくる。
僕は車道の中央を歩いた。あのときのこだわりはなかった。横断歩道を直角に歩く。お茶の水カルチェラタンを思い出した。手をつなぎ、道いっぱいに広がって歩いたあのデモ。でもあの頃の熱い心は今はもうない。