先日、出かけたついでにある総菜屋へ寄った。前からときどき寄っていた店でおばあちゃんと娘と思われる女性の2人でやっていた。煮豆や煮魚、大根とコンブの煮たものなどおいしそうにガラスケースの中に並んでいた。
その日は煮豆と卯の花を買った。するとその娘と思われる女性が、
「炊けたばかりのオコワは大丈夫ですか?」
僕はその女性が何を言っているのかちっとも理解できなかった。炊きあがったオコワがあるらしい。それが大丈夫かと聞いているようだ。
大辞泉によると「大丈夫」とは、
1 あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。「地震にも―なようにできている」「食べても―ですか」「病人はもう―だ」
2 まちがいがなくて確かなさま。「時間は―ですか」「―だ、今度はうまくいくよ」
とある。
この辞書に照らし合わせてみると、1、そのオコワは安心できるオコワである。あるいは強くてしっかりしているオコワである。2、さらに間違いがなく確かなオコワである。
食品は安心して食べられなくてはならない。オコワとは強飯の女房詞、コワメシにオを付け簡略にしたもの。それでなくても硬い飯なのにさらに強くしっかりしてもらっては食べづらい。そして間違いがない確かなオコワでなくては買った側は困ってしまうことになる。
どうも女性はこの辞書の意味で使っているのではないようだ。ここに炊きあがったばかりのオコワがあるが、あなたがこれを買ってもあなたのお財布は大丈夫かと心配して聞いているのだろうか。でも僕は自分からオコワの状態を聞いた覚えはない。さらに僕はこの女性に財布の中身を心配されるような関係ではもちろんない。よくわからないまま、
「はあ~?」と答えた。
するとこの女性はまた同じことを言った。
このままにしておくとオコワを釜ごと買わされそうだったのできっぱり、
「いりません!」。
最近のこの「大丈夫」は気持ち悪い、ものすごく気持ちが悪い。「~~させていただきます」と同じくらい気持ち悪い。
なんとかしてくれ~。
(写真とは何の関係もありません。)