手術前で精神的に不安定な子供たちのメンタルサポートを、不定愁訴外来担当の田口が行うことになった。時同じくして、小児科病棟の問題児・瑞人の父親が殺され、警察庁から出向中の加納警視正が病院内で捜査を開始する。緊急入院してきた伝説の歌姫と、厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔も加わり、物語は事件解決に向け動き出す。読者を魅了する、海堂尊のメディカル・エンターテインメント。上巻から2か月近く経ってて愕然とする。
第二部 ナイチンゲール・ラプソディせやせや!
19章
虚飾の歌声
12月20日水曜日 午後8時 城崎邸・レッスンルーム
怒涛のたらい回しの末、丸投げされたジョーカーを引き当てた気分。田口は呟く。
俺は厄介ごと処理のコンビニじゃないぞ。
田口センセは『厄介ごと処理の』デパートなんやで!・・・・・・あれ?
城崎(と酔いどれ冴子)にノコノコついて行った小夜ちゃんは18禁入りま・・・・・・
「これであなたも城崎の歌う人形。あなたとあたしは同類よ」貴女の歌に関心があります(「女」としてはどうでもいい)
「奥さまと別れるまで、城崎はあたしに指一本触れなかった。あたしはそれを誠意だと勘違いしていた。でも奥さまと別れた後も、城崎はあたしに触れようとしなかった」ゲイジツカってこれだから!(?)
城崎は黙り込む。小夜は掠れた声で訊ねる。
「なぜ、なんですか?」
「城崎にとってあたしは特別な存在だから。あたしは世界に一台しかない、美しい音色を奏でる楽器にすぎないの」
「悔しいけれど、城崎は天才よ」それでも~離れられないの~
冴子も自身の「女」の部分が優先ならとっくに離れてる気がするけど。
つまり彼女もゲイジツカなんでしょう(てきとう)
20章恒例のトンビ・・・・・・こいつは仕事してんのか。
小児科外来の異星人
12月21日木曜日 午前10時 本館1F・不定愁訴外来
「病院長からの特命業務? 何だ、それ?」
田口は大袈裟な表情の中に、自分の動揺を隠す。
「小児科入院患者の父親殺人事件の捜査協力を、引き受けたそうじゃないですか」
何だ、そっちの方か。田口は安堵した。それにしても的外れな言いがかりだ。
『そっちの方』じゃない「何か」を、田口センセは抱えています。
「何か」の詳細は「ジェネラル・ルージュの凱旋」を読んでね!
今日も小児愚痴外来よー。
『先頭バッター』は、バッカス友の会会長・ヒデマサ。
「ダメダ、こりゃ。こんなんじゃ会員にできないよ」田口センセ、勉強が足りないですぞー・・・・・・
「同感だね。そんな基本問題にドンゲラスだと即答できないようでは、先が思いやられるね」こ の しゃ べ り は
田口の背後で、底抜けに陽気な声が答えた。田口の全身の血が逆流した。
ヒデマサ対『厚生労働省の変人役人』、ファイッ!
「Bravo! その意気やよし。こういう真当な若者がいれば日本の未来は明るいなあ」この男の辞書に「容赦」という言葉は存在するけど実践はしません。
で、何しに来たの
「ま、理由はありますよ。例によって高階先生が、僕を呼びつけたんです。僕は厄介事処理のコンビニエンス・ストアじゃないと、声を大にして主張したい」ははは、流石師弟
今回は田口センセが関わってる問題とは別件らしいよ。
で、いつ帰るの
「今回は通常の手続きに従い、氷姫を先行潜入させる。彼女は医療現場の実地経験に乏しいので、しかるべき場所でみっちり研修させ、年明け早々桜宮病院に派遣する。僕は氷姫の報告が上がるまで待機。それまで仕事がない。そう言ったら、高階病院長が両手を合わせてこう頼むんです。田口センセが小児科愚痴外来の立ち上げに苦労している。旧交のよしみで、救いの手を差し伸べてやってくれないか、ってね」わー白鳥サンは親切だなー(棒)
そして次の『お子ちゃま』、アツシになぜか白鳥サンが対応。
コイツの能力は何と表現すればいいのだろう。田口は呆然と白鳥を見つめた。『瓦礫の山』登りのプロなんじゃない(てきとう)
そんな楽しい雰囲気の愚痴外来に、さらに別のお客が・・・・・・
21章白鳥サンと加納警視正は学生の頃からお知り合い。
火喰い鳥VS.電子猟犬
12月21日木曜日 午前11時30分 本館1F・不定愁訴外来
「か、加納・・・・・・何でお前がこんなところに?」
加納が片手を挙げる。
「よお、久しぶり。それは俺の台詞だぜ。それにしても奇遇だな」
加納(と玉村)は瑞人の父親の件で、田口センセの協力の下、瑞人の事情聴取に来ました。
「院長が言ってたもう一枚の切り札って、お前のことだったわけ。コイツはいいや」つまり・・・・・・白鳥、m9(^Д^)プギャーwwwwww
それから加納は、白鳥を見ながらにやにや笑う。
「実は昨日、高階院長から、強力な助っ人の用意があると聞かされていてね」
とにかく次は瑞人の番。
「知ってるんですか? 大臣官房って役職?」瑞人の先制攻撃!白鳥、m9(^Д^)プギャーwwwwww
「常識だろ。ま、いかにも飛ばされそうなタイプだね。どうせ職場でも浮いているんでしょ?」
というか刑事と役人相手にずっと瑞人のターン!
「お父さんは大変お気の毒でした。実はそのことで君の話を聞きたくてね」ふむ・・・・・・ふむ。
「気の毒? 本気? 正直言って、親父が死んでくれてほっとしてる。刑事さんたち、聞き込みくらいしてるんだろうから、俺が言っている意味はわかるだろ」
本日の小児愚痴外来は終了しましたー。
「初動の遅れは叩かれるぞ。フォローする気なんてさらさらないくせに」加納警視正イケメン!
白鳥はぶつぶつ言う。加納は続ける。
「読みが外れれば、叩かれて当然だ。ま、一人の少年の未来と引き換えなんだから、大人がこれくらいのリスクを背負うのは当然だろう」
・・・・・・て、瑞人が『容疑者』だってー?
22章かくして、白鳥は殺人事件の捜査に巻き込まれるのでありましたm9(^Д^)
デジタル・ムービー・アナリシス(DMA)
12月21日木曜日 午後1時 本館1F・不定愁訴外来
「これだから、霞ヶ関の連中は・・・・・・」
白鳥はそう言って、黙り込む。田口は加納の流麗な言葉に酔う。白鳥に口先で指図できる人間がこの世の中に存在するなんて、想像すらしなかった。まさしくBravo!だ。
「白鳥絡みで問題が起こったら俺が全責任を負う。その時は二人で遍路にでも行こうぜ、タマ」持つべきものはトモダチだなー(棒)
「イヤです。私を道連れにするなら、責任をとってないってことじゃないですか」
「ぎゃあぎゃあうるさいヤツだな。ま、俺たちの麗しき友情を信用しろ」
協力するからには事件の情報が必要すな。
「加納の話を総合すると、この犯人は、恨み深い牧村氏を殺した後、逃げもせずに解剖実習までする熱心な医学生。おまけに掃除機のゴミを持ち帰る律義者。バカなのかな、コイツは。僕なら絶対後片付けはしないよ。放っておけば、警察が片づけてくれるに決まってるもの」白鳥サンによるわかりやすいまとめ!
で、第一候補は瑞人なんだけど、さすがに単独犯は無い。
そこで加納が疑いを持っているのが・・・・・・
「なるほど、それで、加納は無謀にも、親父嫌いの坊やと白衣の天使がバラバラ殺人を共謀したという、へんてこりんな仮説に、クビを賭けたわけだ」事件の数日前、瑞人の件で被害者と会っていた小夜ちゃんが怪しいってさ。
たぶん加納警視正は疲れてるんだと思う。
(加納説が外れて加納がクビになることを期待しつつ)協力関係成立。
ちなみに白鳥サンの『加納評』は、
「僕は加納を嫌ってないよ。苦手なだけ。加納は組織第一主義でね。その行き着く先はファシズムなのさ。だから、個人の自由と享楽を最大限に尊重する僕とは人生哲学上、相容れない存在なんだ」だそうで。
ついでに、加納が玉村に語った「白鳥評」は、
「トータルでは負けなかったな。だが、白鳥にはここぞという大一番でよくやられた。アイツは誰よりも論理的なクセに、いざとなると論理なんて平気ですっ飛ばす大バカ野郎なんだ」だそうで。
・・・・・・お前ら仲良しじゃねーかw
『加納説』で捜査できるタイムリミットは3日間。
白鳥の参戦で、事件はどう動くのか?