発見記録

フランスの歴史と文学

牝牛のアレさん "la Vache Allais"

2005-12-06 10:31:32 | インポート
10月28日がアルフォンス・アレの没後百年に当たったせいかこの秋には、Laffontの叢書Bouquinsで二巻の作品集が出、Patrice Delbourg Comme disait Alphonse Allaisという本も(ささやかだが)話題になった。
evene.frのこの本の紹介文でアレについて
...il reste à ce jour le plus pillé des écrivains français, au point qu'on l'a surnommé "la Vache Allais"
(今日でもアレはもっとも無断借用を受けやすいフランス作家である、「牝牛のアレ」とあだ名されたほどに。「しぼり取られ」る乳牛vache à laitにかけた。ただvacheは「意地悪な」の意味もある)

無断借用には当らないと思うが、牝牛のアレさんはネタとして存分に利用させていただいた。あらためて感謝を記します。

2908957949牛=ノルマンディーなのかもしれない、そういえばオクターヴ・ミルボーのこの地方を舞台にしたContes de la chaumière (Le Serpent à plumes )表紙にも牛の絵が描かれていた。
ノルマンディ牛 関心空間を見ると「牛つながり」に加わりたい気がするが、ここは他のブログとは違う方式らしい。


またデルブール氏はLire, septembre 2005のインタビューで”Parmi ses gags les plus inouïs, je songe à celui-ci.”(アレのギャグには極めつけの途方もないのがありますが、中でも私が思うのはこれです)と前置きし、
Une nuit, dans une gare, Allais cherche à retirer une confiserie d'un distributeur. Et ça marche. Il est trois heures du matin. Qu'à cela ne tienne, il fait réveiller le chef de gare, lequel apparaît en pyjama et bonnet de nuit. ?Monsieur, lui dit Allais, dans ce pays où tellement de choses ne fonctionnent pas, en voici une [désignant le distributeur] qui donne entière satisfaction, et je tenais à vous en féliciter!?
ある夜、とある駅で、アレは自販機で甘いお菓子(コンフィズリ)(*1)を買おうとする。そして自販機は動く。午前三時である。かまわず駅長を起こさせる、駅長はパジャマとナイトキャップで現れた。「いやどうも」とアレは言う、「まともに機能しないものばかりのこの国で、[自販機を指し]ここに100%動くものがある。賞賛の気持ちをぜひお伝えしたかったのです」
 Distributeur(自販機)の誕生はいつ頃だろう、どうも変だが深く考えない。

(*1)Panaderia 焼き菓子とコンフィズリー試食会 などの例から察するに、訳する必要がなくなってきたのかもしれない。




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2 コメント

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楽しい話題はお菓子の味わいがします。 (写原祐二)
2005-12-07 13:49:24
楽しい話題はお菓子の味わいがします。
数十年前にパリの地下鉄駅内に置かれていた自販機でお金を入れても何も出ず、お金も戻らないという経験を何度かした人間は僕だけではないと思います。distributeur=mefier という連想が今でも出てきます。日本の自販機は世界一のスグレモノだと思います。

ところで、僕にはやはりこのネタは余りに戦後的過ぎる感じがします。まずアレが主語で出てくるのも変だ?担がれているかも知れませんよ。
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私はフランスを文字情報でしか知らないので不安で... (松本)
2005-12-07 21:37:54
私はフランスを文字情報でしか知らないので不安でしたが、自販機について実情を伺って安心しました。
新聞記事を探しても子供の肥満防止に学校から飲み物・スナック菓子の自販機をなくそうhttp://www.lemonde.fr/web/recherche_breve/1,13-0,37-913646,0.html
とか、その程度の話しか見つかりませんでした。

アレのgagsという言い方をすると、現実のアレがやったことなのか、コントの中の話なのかが曖昧になりますね。
写原さんが訳された
「パーフェクト・ドリンク」
http://www.geocities.jp/ecrifranoubli/Allais/perfect.html
のようなCaptain Cap物も、つい最近までキャプは虚構の人物だと思い込んでいました。実人生とお話が渾然となってしまうところがありますね。

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