デスノス、犯罪、連想でヴィオレット・ノジエールViolette Nozière(1915-1966)が思い浮かぶ。
18歳の時、ガス自殺に見せかけ両親の殺害を謀る。父親は死亡、母は命を取りとめた。ブルトンは彼女に捧げる詩(人文書院版集成 4)を書いた。シュルレアリストたちの詩や絵を集めたViolette Nozière(Ed.Nicolas Flamel, Bruxelles, 1933)まである。
裁判の終わりに母親が慈悲を願ったにも関わらず、ヴィオレットは死刑を宣告される。しかしフランスでは1887年のJeanne Thomas〔不詳、夫と共に自らの母を殺害〕以来、女性が実際にギロチンにかけられる例はなかった(トマは死刑台でヒステリー状態に陥って倒れ、執行人は髪を掴んで引っ張らなければならなかったという)。
1934年クリスマス、ルブラン大統領の恩赦でヴィオレットの刑は無期懲役に減じられる。
The French Have a Way... With Murder By Edward S. Sullivan (Police Detective magazine Vol. 7, No. 4, August 1953)
http://www.trussel.com/maig/noziere.htm
ヴィオレットの画像はと検索すると、シャブロル監督の映画Violette Nozière(1978)絡みが多い。
イザベル・ユペールは同監督の『主婦マリーがしたこと』Une affaire des femmes(1988)でも主演している。
「主婦マリー」のモデル、Marie-Louise Giraudは1903年生まれ。「労働・家族・祖国」がスローガンのヴィシー政権時代、違法であった堕胎を数多く行ない、密告を受ける。死刑は1943年7月30日に執行された。
フランスで女性が死刑になった最後の例として有名だが、実際にはその後もLucienne Fournier(1947年12月11日)Germaine Laloy(1949年4月21日)が死刑に処された。(Le Monde記事 L'affaire Marie-Louise Giraud " Assassin de la patrie "
04.09.88 )
犯罪実話"The French Have a Way... With Murder"は検索で見つけたが、スティーヴ・トラッセル氏のサイトにある。それも道理で、ヴィオレットを尋問するのがメグレ警視のモデル(の一人)とも目されるギヨーム刑事 Inspector Marcel Guillaumeなのだ。
Paris-Matchの記事「蘇ったメグレ」Maigret réssuscitéの写真で、マグリットの紳士のような山高帽、口髭の人物。この記事は昨年、マルセル・ギヨームの回想をまとめた"Mes Grandes Enquêtes criminelles. Mémoires"の出版を機に書かれた。