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フランスの歴史と文学

サイト更新

2005-11-23 10:23:43 | ニュース
Pedigree―シムノンからモディアノへ

サイトを始めた頃、シムノンの小説から何冊か再読して、要約+短評をやりました。非メグレの作品はネタバレを気にしなくてもいいのが多いし、古典的単純明快さを備えたシムノンの小説はとにかく早く「コンテンツ」を揃えるには最適でした。一人の作家にしぼらない「よろず屋」として何を書くか、シムノンを選んだのにはそういう実際的理由もありました。
たとえば『ベルの死』La mort de Belleを外したのは、よりミステリに近い作で、核心にふれず評するのがむずかしいと感じたからだと思います。
もっともこの作品が邦訳された時に解説で都筑道夫氏が危惧された、「こんな探偵小説ってあるものか、これじゃ尻きれトンボじゃないか」に類した抗議が、まさに版元に寄せられたと「メグレ警視のパリ」の写原さんから伺いました。
『小さな聖者』Le petit saintは簡単に要約できない本で、これはずいぶん後回しになりました。
Pedigreeも今回ようやくまとまったものが書けて、ほっとしています。中断を挿んだためモディアノと対にしたことが疑問になり、ゼロから書き直す気力もないし、結局延々と時間がかかってしまいました。