発見記録

フランスの歴史と文学

市長さんの三色綬

2007-03-29 17:03:17 | インポート

Echarpetricolore_1 図は「ボナパルト、エジプトのベイ(オスマン帝国時代の地方長官)に三色綬を与える」 (国立民衆芸術・伝統美術館 Le Musée national des arts et. traditions populaires) Source : Base Joconde

きっかけは、リベラシオンの記事 N'est pas le ?candidat des maires? qui veut... 26 mars 2007 だった。大統領候補の一人ジェラール・シヴァルディ氏が「市町村長の候補」le candidat des mairesを名乗っているのは事実と違うとして、AMF(全国市町村長会)が訴えを起こした。AMFは特定の候補を支持しない。誤解を招くからやめてくれ。
シヴァルディ氏は石工親方で、マイヤックMaihac(地図)村長。元社会党、無所属、トロッキスト系PT(労働者党)の支援を得る。欧州統合に反対、全国で36.000のコミューンと公共企業、政教分離を守れ!をスローガンとする。(evene.fr のBiographie de Gérard Schivardi
さて「リベ」の写真で氏が肩から掛けている三色のあれは一体何というのか。
écharpe tricolore (代議士・市町村長の)三色綬 (Le Dico 白水社)
式典など特別の機会に掛けるものらしい。市町村長のは金の房、助役用のは銀の房で値段も違う。(mâts.drapeaux.PLV

掛け方にも決まりがある。エクサン=プロヴァンス市会議員リュシアン=アレクサンドル・カストロノヴォ氏(PRG 左翼急進党)のブログ(30 janvier 2007 De quoi écharper le maire)は、写真の市長は綬を?le bleu au col?(青が襟に接するように)でなく、赤が上になるように掛けている、これは間違いだという。

他の二人の女性議員の掛け方が正しい。しかし議員がこれを掛けるのは、市長が不在で代理を務める場合に限られる。彼女たちもルール違反をしている。市会議員が車のフロントガラスに三色のステッカーcocardeを貼っているが、これも国民議会の議員にしか認められていないという。

マリーズ・ジョワサン=マジニ市長はUMP所属、国民議会議員との兼職。サイトhttp://marysejoissains.com/

もともと「旗竿から青、白、赤の順」?bleu, blanc, rouge, à partir de la hampe?が決まりだから、青が上に来るほうが「論理的」だと言われればなるほどと思う。しかし国民議会議員の場合は逆に赤が上らしい。100年以上続く伝統だと、これはタルン選出の議員フィリップ・フォリオ氏(UDF)が書いている(Port de l'écharpe tricolore)。市長兼国民議会議員の場合、?c'est le mandat national qui prévaut.?(国民からの委任が優先される)、市民よりも国民の委任を受けた者として、この向きにするわけだ。

カスロトノヴォ氏のブログに戻りよく見ると、下に「細かいことを言いすぎるのはすごく体に悪い」trop de pointillisme nuit gravement à la santé と題したマリク・メルサリ氏(ヴィトロール市助役 共産党)のコメント。兼職のジョワサン=マジーニ市長の三色綬には、何ら問題がないという。
しかし、とカスロトノヴォ氏の反論、問題の写真は結婚式を撮ったものだ。彼女は市長、officier d'état civil(戸籍管理責任者)としてあの場に臨んでいるのである。なるほど。


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