毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「故中村哲さんの言葉『日本人はますます性急で短気になっている』」No.2714

2019-12-06 13:23:07 | 平和

nakamuratetsu03

 

中村哲医師がアフガニスタンで銃で撃たれ、亡くなってしまいました。

ある時お話を聞く機会を棒に振ってしまい、

今さら過去を悔やむのですが、その時の私は

(中村哲さんが銃弾に倒れることはない、哲さんは生き続ける)と

根拠なく無意識に、自分の希望を思い込みにすり替えていたのです。

お会いできるチャンスは、いつか必ずあるだろう、と。

 

喪失感に打ちひしがれながら故人に思いを馳せ、

足跡を辿り、その方の大きさ、深さに触れて

自分の残された時間の過ごし方をぼおっと想う……。

チャッチャと理に叶った行動ができない私はこの繰り返しばかりです。

 

ネットでSEALDs(註★)メンバーと対話する中村哲さんの

本質を捉えた言葉が溢れる印象深い記事を読みました。

長いので、少しだけ抜粋してご紹介します。

全文は是非下記サイトでご覧ください。

http://sealdspost.com/archives/5388/2

(抜粋は記事の途中から途中までです)

インスタントになるほど分からなくなる

SEALDs:お話を聞いてて思ったのですが、中村さんは、相手に合わせるというか、あくまで現地の環境や文化を尊重した上で付き合って内側から見ようとするということをとても大切にされています。そういう知恵は、どこで得られたのでしょうか。

中村:それは自分も分かりません。少し話がそれますが、気になることがある。

日本人は、ますます性急で気が短くなっている。

これも他者の理解を阻んでいる理由の一つではないかと感じています。

最近の通信・交通手段の発達に支えられ、どこでも、いつでも、さっと行ける。

より早く、より大量に輸送できる。昔は、そうでもなかった。

私が最初に山岳会に参加した時は、

福岡からパキスタンのカラチまで船か飛行機かでした。

船で行けば、一か月以上かかる。

そこから陸揚げして、山のふもとに着くまでにまた一か月かかる。

登山活動は、三か月か四か月。

だから全部で最低半年ぐらい掛けて、登山に行ったんです。

しかし、今のトレッキングツアーは、「ヒマラヤ一週間コース」だとかになっている。(笑)

そうやってインスタントになればなるほど、現地理解が浅くなりやすい。

分かったつもりの分だけ、分からないよりも害が大きい。

幸いというべきか、僕の場合は、

社会全体がテンポの遅い時代からの関わりだったので、

現地事情にじっくり触れやすかったと思います。

(途中割愛)

我々の仕事は「平和運動」ではない

SEALDs:中村哲さんの活動を聞くと、そこに生きる人々やその次の世代がしっかりと生きていける状況を作れば、そこに平和が訪れるのだと強く思います。ただ、今日本でアフガニスタンと聞いた時に、一般的に思い浮かぶのは悲しいことに、「テロリスト」といったような言葉です。しかし、なぜ「テロリスト」になってしまう人が出て来てしまうのか?という視点は欠けてしまっている気がします。

中村:自分の命まで捨てるとは、よっぽど思い詰めた人達ですから、

やはり、その人たちがどうしてそうなったかを見ないと、

僕は片手落ちだと思います。

SEALDs:そこで生きられる状況や、自分の土地を耕し食べていけるという仕事があれば攻撃に向かうのではないという方向が見えてくるんじゃないかと思わされます。

中村:三度の食事が得られること、

自分の故郷で家族仲良く暮らせること、

この二つを叶えてやれば、戦はなくなると言います。

私ではなくて、アフガニスタンの人々の言葉です。

十人が十人、口をそろえて。

SEALDs:なるほど。それを可能にすることこそが本当の「人道支援」なんだと思います。「安全保障」と言った時に、武力によって、もめごとが飛び火する前に叩き潰しておこうという発想に至りがちですが、本来の「安全保障」のあり方は、彼らは彼らで生きていけるようにする。私たちは、私たちで生きていけるようにする。そういうことなのではないかと、中村さんの活動を見ていて、思います。

中村:全くその通りです。

そういった上からの乱暴な目線が、この頃ますます強くなっている。

以前からその傾向はありましたけれども、今ほどひどくなかった。

「所かわれば品かわる。世の中広い。」くらいで済んでいました。

現地の生活スタイルまで全部を変えないと、

その人たちが幸せになれないというような傲慢さは、今より薄かった。

山岳会でインドやパキスタンの僻地に行くと、

全然自分と違う文化を持った人々がいます。

「世界は広い」という感想だけあり、

政治宗教を語るのはタブーで、「郷に入っては郷に従え」というのが流儀でした。

それぐらいで済んでいたわけですよ。

女の人が顔を見せない習慣にしても、

「なんか理由があるのだろう」

「美人が多いせいで、男たちが妬くんじゃないか」とかね。(笑)

ところが最近は、

「被り物を取らないと彼女らは幸せにならない」と断定し、

無理にやめさせようとする。

「本人たちが嫌がるから、お節介はやめて下さい」

と言いたくなります。

SEALDs:今は自分と異なる他者を排除しよう、同化させようという方向が強くなって、「安全保障」とか言った言葉で使われてしまってると思うんですが、そうではない方向性もきっとあるはずで、それを中村さんやペシャワール会の方々が実践されていると思います。

中村:私たちの仕事は「平和運動」ではありません。

もっと日常の差し迫ったものです。

医療の続きで、いわば救命活動です。

しかし、結果として平和に通じるものはあると思います。

 

質問者の写真中村哲 医師
1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒。84年から、パキスタンのペシャワール、アフガニスタン北東部を中心に診療を続け、2001年からは干ばつに見舞われたアフガン国内で井戸と水路の堀削と復旧、食糧支援なども行う。PMS(ペシャワール会医療サービス総院長)。著書に『医は国境を越えて』『医者 井戸を掘る』『辺境で見る 辺境から見る』(石風社)ほか。

ー「ペシャワール会 中村哲医師に聞く。ともに生きるための憲法と人道支援」よりhttp://sealdspost.com/archives/5388/2

 (註★)SEALDs(シールズ、Students Emergency Action for Liberal Democracy - s):自由と民主主義のための学生緊急行動。日本の10代~20代の学生を中心にした若者の団体。2014年~2015年にかけて特定秘密保護法や安保関連法が国会で強行採決されるのに反対し、国会前抗議行動の中心の一翼を担った。元シールズメンバーの奥田愛基さんに関する記事はこちら→https://www.huffingtonpost.jp/entry/okuda-aki_jp_5c5d68a0e4b0974f75b24a13

 


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