にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

2012 Sheila's workshop report vol.2

2013年05月11日 | 2012 Sheila's workshop re
"Come rain or come shine"


‐words by Johnny Mercer

Music by Harold Arlen

Sheila:
Come rain come shineですね。
大切なことなのでよく聴いてください。

この楽譜は鉛筆で書かれていますね。
これはとても読みにくいです。
これはあなただけではなく、みんなに言えることなんですよ。
楽譜には、メロディー、コード、歌詞を書くので、
五線のあいだがもう少しあいているほうがいいです。

今日は仕方ないですが、これからは歌詞も書くようにしてくださいね。
そのほうが、一緒に演奏するひとにとってより演奏がしやすいのです。
お互いによくしらないひとと一緒に演奏することもありますから、
できるだけわかりやすい譜面を用意した方が、問題が起こりにくいのです。
このままでも悪いわけではないのですよ。
でも、歌詞も書いた方が、よりよいのです。

それでは、ピアノソロはなしで、歌だけに集中してやりましょう。

もし見たければ今日は譜面を見てもいいですよ。
自分が歌う曲の歌詞を覚えるのはとても大切なことです。
けれども、今日はワークショップなので、歌詞を見てもかまいませんよ。

それでは、いろいろなイントロをデモンストレーションしてみます。
ピーター、アルペジオ[Arpeggio;分散和音]をください。

(ピーターさんがアルペジオを弾き、シ―ラさんがルバート[Rubato;柔軟にテンポをかえる奏法]で歌い始める。)

Sheila:
もしテンポをはずして(Out of time)歌いたいのであれば、楽譜に”Rubato”と書いてください。

歌詞を楽譜に書く必要があるのは、ピアニストやほかの演奏者は、Rubatoで演奏する時、楽譜に書かれた歌詞を手がかりにして演奏するからです。

2小節のイントロ、4小節のイントロなど、イントロについても、楽譜に書いておいたほうがいい場合は書いておいてくださいね。

ではアルペジオをもう一度。

(ピーターさんがアルペジオを弾く。)

次はコードで。

(ピーターさんがコードを弾き、シ―ラさんがテンポをつけて歌い始める。)

もし2小節のイントロなら・・・これは2小節に限らずテンポをつけて歌うときにはいつも言えることですが、
あなたはカウントを出す必要があります。

1,2,3,4・・・・(ピーターさんが弾き始める。)

Sheila:
さあ、これまでアルペジオ、2小節のイントロ、4小節のイントロを演奏しましたね。
大体、バラードの場合は、アルペジオか4小節のイントロが多いです。
アルペジオの場合は、アルペジオのあとで、Rubatoで、あるいはテンポをつけて歌い始めます。

どうかわたしを信じてください。

いまわたしがあなたたちにお話していることは、あなたの人生においてきっと大きな助けになりますよ。
多くのミュージシャンたちが歌手と一緒に演奏するのを嫌がる理由のひとつは、
歌手が、自分がどう歌いたいのかをきちんと共演者に伝えないからです。
あなたは自分がどう歌いたいのかわかっているはずです。
わたしはあなたにそれを一緒に演奏する人にきちんと伝えてほしいのです。

たとえば、4小節のイントロをください、アルペジオをください、というように。

たいてい、8小節のイントロはスイング[Swing](注1)の場合です。

注1)Swing;ジャズ演奏の躍動的なリズムを形容する用語。本来は「揺れる」という意味。
転じて1930年代に社交ダンスと結び付いて人気を得たベニー・グッドマン、グレン・ミラーなどのビッグ・バンド・スタイルを「スウィング・ジャズ」と呼ぶ様になった。更に、バウンスやハネと同じ意味で 使われる事もあり、リズム・マシンなどに見られる音符をバウンスさせる機能を一般 にスウィング機能と呼ばれている。
("音楽用語辞典 http://www.craftone.co.jp/cfa/Dictionary/index.htmlより。)


Sheila:
バラードで8小節のイントロということはほとんどありません。では、8小節でSwingを歌ってみましょう。

(シ―ラさんがスキャット[scat;歌詞ではなく、音をあてて、即興的に歌う唱法]で歌い始める)


それから、ワルツ、ボサノバがありますね。
ワルツやボサノバでは、Vamp(注2)と呼ばれるイントロがあります。


注2)Vamp; 特定のメロディ・ラインが示されず、シンプルなリズム・パターンを主体として構成された部分、及びその演奏を指す。通常2-4小節を単位として繰り返され、メロディを導入するために使われる事が多い。("音楽用語辞典 http://www.craftone.co.jp/cfa/Dictionary/ha.html より)

Sheila:
Vampのあいだ、あなたは好きなことをしていいんですよ。

もし共演者がVampを演奏してくれている間にだれか知り合いがきたら、そのひととずっとおしゃべりしていたっていいのです(笑)

(ピーターさんがVampをしばらく演奏し、シ―ラさんがMy favorite thingsを歌い始める。)

それから、わたしが嫌なのは、歌手がこういうことをするときです。

(シ―ラさんがピアノの近くに行き、一音鳴らす。)

こういうの、見たことありませんか?
歌手がピアノをぽーんと一音だけ鳴らして、ステージに行くの。
これってないでしょう?

(「そんなことするひといるのかい?」とピーターさんが驚いたように言い、シ―ラさんが「いるわよ!」と答える。)

そんなことをせずに、ちゃんとピアニストに、アルペジオを弾いてください、とか、コードを弾いてください、というようにお願いした方がいいわ。

それから、エンディングにもいろいろあります。
最後の1小節、2小節をゆっくりにする方法や、最後の何小節かを繰り返す(Turn Around)方法もあります。


わたしは、いつも必ずエンディングを楽譜に書いています。
イントロは変えることもあるから、書かないこともあるけれど、
エンディングは危険だから必ず書くの。


(ピーターさんが弾き、シ―ラさんがいくつかのエンディングを実演してみせる。)

Sheila:
さあ、これでイントロとエンディングがわかりましたね。

それでは、ピアニストに、どういうふうに歌いたいかを簡潔に伝えてください。
「曲について伝える」ということが、今日わたしがみなさんに教えたいことです。


参加者が前にでて、ピーターさんに伝える。
「4小節のイントロで、バラードで、最後の4小節をくりかえして(tag ending)終わります。お願いします。」

どう歌いたいかを簡潔に伝えた後で、カウントを出してくださいね。

(参加者が1コーラス歌う。)

いいわ。
それじゃあ、歌詞について見ていきましょうね。
ところどころ、イントネーションが違うところがあったので、イントネーションの練習をしてくださいね。
あなたの英語は素晴らしいわ。
ただ、途中すこし歌詞が違っているところがあったので、歌詞を読んでみてください。

(参加者が歌詞を読む)

あら、さっき歌った歌詞と違うような気がするわよ(笑)
続きを読んでみて。

それでは、happy together, unhappy togetherという箇所を言ってみて。

(参加者がいい、シ―ラさんはunhappyのイントネーションを訂正する。

それからピーターさんに指示して、ブルースにあわせて、unhappyを何度も歌わせる。)

いいわよ。
これ(ブルースに合わせて同じ単語を歌いながら練習する)はわたしが考え出した練習法なの。
さっきは歌詞を見てなかったから歌詞をまちがえたのかもしれないわね。
イントネーションの練習をしておいてね。
でもあなたのフィーリングはとても素晴らしいわ。
とってもlovelyだったわよ。

(一同拍手)

Vol.3に続きます♪

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