にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

In the wee small hours of the morning

2014年01月26日 | 日々のこと





尊敬するピアニスト、Phillip StrangeさんのIn the Wee Small Hours Of The Morning.

夜明け前に誰かを想うひとに語りかける、切ない曲。

透徹した美しい音と世界観に、いつも感動します。

フィリップさんとは、2月20日(木)、4月16日(水)に祇園のCANDYさんで共演させていただく予定です。

とても楽しみにしています。

くわしくはスケジュールをご覧下さい。


ジャズの天使

2014年01月22日 | 日々のこと


Near Billie Holiday's apartment.-NY.Harlem. Feb.2011.

ここ数日、ずっとある歌を聴いていて、あまりの深みと尊さに思わず涙が出そうになっています。

18歳のときに初めてジャズに出逢って、わけもわからないまま歌い始めたころ。

たくさんの、憧れてやまない歌手たちの歌声は、
「上手い/下手」という物差しをはるかに超えて、たった一声で空気を変えてしまうほど揺るぎない力を持ち、そのひとの人生が深く刻まれているように思えました。

自分の声が浅はかで薄っぺらく思えて、表現したいことには程遠くて、いつになればすこしでも近づけるのか、まったく見えなくて、悩んで悩んで苦しんでいたとき。

引っ込み思案で、臆病で、いつも自信がなくて、ほかの人の才能や華やかさを羨んでばかりいる自分の性格そのものが、ジャズヴォーカルというものとはかけ離れたものなのかもしれない、と思っていました。

「いまのあなたにはあなたにしか歌えない歌がある。
あなたは色気がないと悩むけれど、
わたしからすれば、10代のなにも知らないあなたの無垢な歌ほど色気のあるものはないのよ。もうそんな歌はいまのわたしには歌いたくても歌えないのよ。
いましか歌えない歌を大切にしなさい。」

と言ってくださったのは、当時教わっていた先生でした。

つい最近、ある場所で14年ぶりに再会した先生は、あいかわらず凛として美しく、憧れの方のままでした。

3年前、アルバイト先のホテルに、偶然Sheila Jordanさんという伝説的なジャズ歌手が泊まりにこられ、そのときに、死ぬまでに一度はいきたいと思っていたニューヨークに行くのは「いまだ」と思い、一週間お休みをいただいて、一番航空券の安い2月に、シーラさんに会いにニューヨークに行きました。

シーラさんにそのときのお話をすると、「Jazz Angel(ジャズの天使)の仕業ね」とおっしゃっていましたが、いままでにであった先輩たち、先生、素晴らしいミュージシャンの方々、友達、みんなとの出逢いは、ほんとうにJazz Angelの贈り物かもしれない、と思います。

再会

2014年01月07日 | 日々のこと

たまたまはいったあるお店で、大学時代の恩師にばったり遭遇しました。

直接の指導教官ではなかったけれど、受講していた教育哲学の講義で、目をきらきらさせながら、はずかしそうに早口で話されていた姿を思い出します。

「大学院時代、一度失いかけた学問への情熱を、実習にいった幼稚園で園児たちと遊ぶ中で取り戻した」とご著書のあとがきに書いておられました。

当時、内容は難しくて半分ぐらいしか分からなかったけれど、「ああこの先生はほんとうに学問が好きなんだな」ということを感じていて、先生の授業を聴くのが好きでした。

遅々とした歩みを続けるわたしに、「ある種の不器用さは、才能でもあるから、がんばって」と励ましてくださったのを思い出します。

10年以上ぶりにお会いしましたが、覚えていてくださり、
ひさしぶりに見る先生の目は、やっぱりあのころのまま、きらきらしていらっしゃいました。

嬉しい再会でした。