にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

Cathy Segal Garcia's workshop report vol.1

2012年10月31日 | 2012 Cathy's workshop rep
30th, Oct. 2012 19:00~ 定員10名
Cathy Segal Garcia(vocal)
Phillip Strange(piano) at studio Azul


素晴らしい歌手、キャシー・シーガル・ガルシアさんのワークショップに参加してきました。
ワークショップの内容を、キャシーさんの承諾を得てすこしずつ紹介していきたいと思います。
はじめに、参加者の自己紹介(名前だけ)と、キャシーさんのお話があり、そのあと、ひとりひとりについて、実際に歌を聴いてアドバイスをくださいました。

できるだけ忠実に内容をお伝えしたいと思いますが、英語力の問題もありますし、あくまでもわたしの解釈ですので、その点はご了承ください。

キャシーさんのお話は、音楽を演奏する際の、精神のあり方とでもいうべきものについてでした。


一番大切なことだとおっしゃっていたのは、「自分を信じること(Trust yourself)」と、「共演するミュージシャンを尊敬すること(Respect the musicians)」でした。


------たくさんの人が、自分を十分に信じることができていないと感じます。
自分が信じられないから、やる前にとても怖くなりますね。

けれども、やってみなければできるかどうかわからないのです。
だから、やってみるしかありません。


「失敗はチャンス(Mistake is an opportunity.)」という言葉をみなさんも聞いたことがあると思います。

人間だから、当然失敗はする。
失敗をチャンスにかえて、学ぶ。これは人生そのものです。
だから、音楽で、人生を表現できるのです。

失敗したらどうしよう、とみな不安になりますが、失敗しても、それを糧にして次につなげて歌えば、聴く人はその歌から生きる勇気をもらえるでしょう。
ああ、わたしも失敗しても、次につなげればいいんだ、とね。

クラッシック音楽と違って、ジャズでは、毎回違う演奏をすることが許されています。
だからこそ、新しいことを恐れずに、どんどんチャレンジしてみてほしいのです。
わたしは年齢を重ねるにつれて、どんどん物忘れがひどくなっていますが・・・たとえば歌詞ね(笑)、でも失敗をうまくカバーする方法はどんどん上達しているんですよ。

歌手のみなさんは、よく「失敗したらミュージシャンに嫌われるのではないか」と怖がっていますが、実際には失敗したからといって嫌われるわけではありません。

98%のミュージシャンは、あなたが新しいことに挑戦しようとするのを喜び、失敗しても、それをどう展開するのか、楽しみにして、サポートしてくれるはずです。
(でも2%はそうじゃないかもしれませんけどね・・・笑)

ただ、共演するミュージシャンをあなたが尊敬(respect)することはとても大切です。
あなたが相手を尊敬しなければ、相手もあなたを尊敬することはありません。

悪い意味での自信(エゴego)が勝っている人がいますが、こういう人は、共演するミュージシャンに対して敬意を払っておらず、自分のことばかり考えています。
共演するミュージシャンに嫌われるのは、失敗したときではなくて、敬意を払わないときです。


-----それから、自分を信じようとすると、必ず邪魔してくる「声」がいますね。

その声は、なにかをしようとするあなたに対して、「お前はだめだ。」「あーひどいなその声。」「ほらみろ失敗しただろう。」「そんなことできるわけないよ」と耳元でさわぎ、ひっきりなしにあなたを不安に陥れようとします。

それは、誰もが聞いてしまう声なのです。
その声に対して、どう対処するか、その方法はひとりひとりが自分で見つけなくてはなりません。

ひとつの方法として、わたしは、この声を、こんなふうに考えることにしています。

小さなこどもがだだをこねて、仕事をしようとするあなたに、「かまって。かまって。」と腕にすがりついてきます。

あなたを不安にさせる声は、この小さなこどものようなものです。

「いまは仕事があるの。すこしだけ待っていてね。」と、むずかるこどもを優しく諭して、あなたは仕事を続けなくてはいけません。
諭したからといって、こどもはいなくなるわけではありません。

でも、そんなふうに、声に振り回されてしまうのではなく、上手に距離をとってつきあっていくことが大切なのです。

あるいは、スーツケースのなかに、演奏の間しまっておくという考えもありますよ(笑)。

歌っている途中で、「これで合っているのかしら」、「いま曲のどこにいるのかわからない」、と不安になることがあると思いますが、わからなくなれば、わかるところにくるまで待てばいいのです。

音楽は進んでいます。
だから、ストップするのではなく、リラックスして、自分を信じて待っていればいいんですよ。

それから、わたしは、自分の生徒に、自分のようになってほしいとは思いません。
わたしはすべての人に、「あなた」になってほしいのです。


                     ~♪~♪~

このお話のあと、ひとりひとりが自分の好きな曲を歌い、キャシーさんのアドバイスをいただきました。キャシーさんはほんとうに丁寧に指導してくださって、当初7時から9時の二時間の予定だったのですが、終わったのは11時過ぎでした。

でも、楽しくてあっという間でした。

次回は、具体的なアドバイスのご紹介をしたいと思います。

世界を見る眼

2012年10月28日 | 日々のこと
京阪三条駅の近くにある、檀王法林寺さんであった、京都沖縄芸能フェスタに行ってきました。
知り合いの方が出演されていたので見に行ったのですが、素晴らしい演奏でした。

屋台で売られていた、揚げたてのさぁたああんだぎー(沖縄のドーナツみたいなお菓子。昔から大好きです。)と、沖縄そばを食べて、ちいさなさぁたああんだぎーをお土産にもらいました。

お土産を手に、小幡明(おばた めい)さんの個展へ。
9ヶ月間の世界旅行の、旅先で描かれたスケッチや、旅先からご両親に送られたお葉書、写真の数々。
言葉は、「アイ アム ファイン!(わたしは元気です!)」だけ。
一枚一枚の葉書に、丹念に描かれたイラストから、明さんのエネルギーが伝わってきました。

明さんの作品は、可笑しくて怖くてかわいくて綺麗で不思議。
妖怪?みたいないきものや、一風かわった天使たち、不思議な植物や動物が、普通に生きている世界。
作品を見ていると、「うん。こういういきもの、いるかも。」と素直に思える。
大好きな小説家、川上弘美さんの世界とも、どこかでつながっている気がします。

世界は、見る眼によって、どこまでも広く、深く、無限なのだと、思わされました。
創造的なものとは、見る人に、たくさんの「あたりまえ」にがんじがらめにされた窮屈な世界の檻は、ほんとうは、自分のこころのなかにあるのだと、そっと気づかせてくれるものを指すのかもしれない、と思います。

明さんの世界旅行の写真は、明さんのblogで見られます。

いいインスピレーションをもらえた一日でした。