にわとりのにわ a hen's little garden

歌うたい時々クラリネット吹きの日高由貴のblog。
ちいさなこころのにわの風景をすこしずつ書きとめていきたいです。

マディソン滞在記45

2013年06月30日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月29日(土)雨


最近、近くにいいカフェを見つけました。
広々としていて、ドリンク1杯で長い時間いても店員さんに嫌な顔をされない。
しかも、ドリンクは2ドル前後(200円弱)で、美味しい。

きのうは本と辞書を持ち込んで、4時間ぐらい勉強していましたが、
もっと長居しているひともたくさんいました。

りんごマークのパソコンをにらみながら、調べ物をしている大学生。
なにかの打ち合わせをしながら談笑しているひとたち。
とても素敵な年配のカップル。
かわいい男の子と、お母さんの二人連れ。

コーヒーと紅茶、マフィンが焼ける甘い匂い。

こちらにきて、ちょうど半分が過ぎました。
貴重な時間、残りの日々も大切に過ごしたいと思います。



マディソン滞在記44

2013年06月29日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月28日(金)曇り


リチャードさんがベースを勉強するこどもたちを対象に毎年開催しておられる、”Bass Conference”というワークショップの準備ミーティングを見学させていただきました。

来年の4月18日と19日の2日間、マディソンで開催されます。
Photo Gallery

こどものときに、先生や周りの大人に否定的な評価をされると、「自分はだめだ」と思ってしまうことが多いように思いますが、ほんとうに素晴らしい芸術家、教育者にであうことができたら、人間としての生き方にも大きな影響があるのではないかと思います。

それは、その後芸術の勉強を続ける続けないということや、職業として選ぶかとどうかとは関係のないことで、周りの評価は評価として受けとめ、それに流されないという意味での生き方の問題のようにも思います。

わたし自身は、ほんとうに音楽が好きだと思えるようになったのは20歳を過ぎてからでした。

なんのために音楽をやるのか悩んでいた時に、生野理花さんという音楽療法士のかたの『音楽療法士のしごと』という本がひとつの答えを見せてくれました。

「癒し」という言葉をかんたんに使うことにはすこし抵抗があるのですが、この本は狭い意味での「音楽療法」の実践書ではなく、生野さんのライフヒストリーでもあり、他者とのかかわりについて、芸術や教育について、いろいろ考えさせてくれる本です。



マディソン滞在記43

2013年06月28日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月27日(木)晴れ

頑固なひとをさして、coconut(ココナッツ)というのだそうです。
日本で言う「石頭」と同じような意味でしょうか。

わたしもたぶんココナッツチームだ(笑)

写真は、近所のアイスクリームやさんの看板。
まだ食べたことがないので、一度行ってみたいと思っています。

マディソン滞在記42

2013年06月27日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月26日(水)晴れ

スーパーで買った”Catfish"を調理しました。
Catfishって聞いたことあるけどなんだったっけと思いながら(高校のときの英語の先生すみません)、見た目は白身のお魚の切り身みたいだったのでとりあえず買って帰ったのですが、帰宅して調べてびっくり。

なんとナマズでした。
知ってたらたぶん買う勇気はなかったでしょう(笑)

こちらではよくフライにして食べるみたいです。

とりあえず白ワインをふりかけて臭みを消して、塩こしょうしてフライパンで蒸し焼きにしてみたのですが、レモンとお醤油をかけたら美味しかったです。
それでもまだすこし癖がのこっている感じだったので、ハーブやカレー粉を使ったり、しばらくタレにつけこんでもいいかも。

味や食感は、ほっけみたいで、水分と脂質が多く、しっとりしていました。

おっかなびっくり食べたので、写真撮り忘れました・・・。

Catfish






マディソン滞在記40

2013年06月25日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月24日(月)曇りのち雨

スーパーで見つけて買ってみた、こども向けのハーブティー。
喉にいいと書いてあり、パッケージがかわいかったので買ってみたのですが、
ほんとうにけっこう効きました。

こちらにいると、低い声でお腹からはっきりと話す女性が多いような印象を受けます。

わたしはどちらかというと普段の話し声がふわふわしているので、
自分の話し声はあまり好きではないのですが(歌っているときのほうがまだ気持ちが楽です)、
よくリチャードさんに

「そんな声じゃ共演者にはねとばされるよ。
もっとドスの聴いた声で話しなさい」

とからかわれ、

「ほらこんなふうに」

とルイ・アームストロングのような声で話すことを命じられたり、
サラ・ヴォ―ンの顔の動きをそっくり真似することを命じられたりします。
(車の中や、レストランの中など、いつでもどこでもやるように命じられるので、はずかしいし、けっこう大変です・・・笑)


"Feel coonfidence(自信を持ちなさい)"

というのが、リチャードさんがよくわたしにおっしゃる言葉で、
音楽だけでなく、生き方の部分で学ぶことが多いです。

「他人が何を考えているか、あなたをどう見ているかを気にするのをやめなさい。
他の人が知りたいのは、あなたが誰なのか、どんな人間なのか、ということであって、
それを知っているのは君しかいないんだからね。怖がらずに全部出しなさい。」

とも言われました。

食事のあとや、ちょっとした時間の合間に、
どちらがより大きな声や変な声を出せるか、
どちらが大きなビブラートをかけて相手を威嚇できるかを競争したり、
変な顔をして、先に笑ったほうが負け、というにらめっこみたいなゲームをしたり、
遊び感覚で色々教えて下さることが多いです。

さりげなく周りに気を遣ってくださる方なのですが、
いつも冗談を言っていて、深刻になろうとしても思わず笑ってしまいます。

楽しみながら、というのがきっと一番大切なんですね。



Carmen Lundy's workshop report

2013年06月24日 | 2013 Carmen Lundy's workshop report
Carmen Lundyさんのワークショップレポートです。

ワークショップの内容は、Carmenさんのオリジナル3曲のなかから、1つ好きな曲を選び、アレンジして歌ってアドバイスをいただくというものでした。

課題曲はこちらで聴くことができます。

◆In Love Again◆

まずはじめの参加者の方が、Carmenさんの”In love again"という曲を歌われました。
とても上手な方でしたが、緊張もあってか、まだすこしリズムに乗り切れていない感じでした。

Carmenさんは、「とてもいいですね。それではもうすこしゆっくり歌ってみてください」とおっしゃり、かなりテンポを落として、参加者がもう一度歌われました。

オリジナルは軽快な感じの曲ですが、テンポを変えると、ぐっとブルージーな雰囲気になり、参加者のかたの、艶のある大人っぽい声がよく生かされていました。

そして、そのあとでもう一度最初のテンポで歌うように指示され、参加者の方が歌われると、はじめに歌ったときとは比べ物にならないくらい、グルーヴ感が出てきました。


◆Walking Code Blue◆

それから、ギターとヴォーカルのDUOで参加されていた方が、”Walking Code Blue”という曲を歌われました。

すでにプロとして活動されている方たちで、表情のつけ方も、表現力も素晴らしかったです。

この方たちに対しては、「ステージは全部あなたのものです。もっと自由に動いて、パフォーマンスしてください。」とアドバイスされました。

2回目に、ヴォーカルのかたがステージを歩き回りながら、歌詞に応じて身体を動かしながら歌われると、視覚的な要素が加わり、最初よりもさらにのびのびと、表現が豊かになっているのがわかりました。

Carmenさんのパフォーマンスを見ていて強く感じたことですが、歌が素晴らしいのはもちろんのこと、「どう見せるか」というヴィジュアル的な表現の巧みさが際立っておられました。

マイクをスタンドに固定して歌うのか、手に持って歌うのか、歩きながら歌うのか、歌詞の内容によって、客席のどこを見るのか、そういったことが、すべて効果を考えた上で、緻密に計算されているように思いました。

もしかすると、その場の気分に応じて自由に動いておられるのかもしれませんが、そうなるまでに、相当な研究と訓練があるのだろうなと感じました(もちろん、天賦の才能もあると思いますし、わたしが勝手に感じただけなので事実とは違うかもしれません)。

顔の造作の綺麗さや、スタイルのよさ、豪華な衣装が大事だという意味ではなく、衣装の色彩や照明の使い方、身体の動き、表情という意味でのヴィジュアル表現はステージで演奏する以上はとても重要な要素だと思っています。

目を閉じて聴いていても音楽が素晴らしいのはもちろんですが、Carmenさんのステージを見ていると、ダンサーのような身体のしなやかな動きや表情の豊かさから伝わってくるものも多かったです。

表現のしかたはひとそれぞれで、たとえばじっと動かずに歌うというのも方法のひとつだと思います。
ステージ上での所作はたぶん一生追求していかないといけないと思いますが、素晴らしい表現の一例を見ることができて、とても勉強になりました。


◆Old Friend

”Old Friend”という曲を歌った若い参加者のかたに対しては、

「あなたはよく響く、美しい声をしていて、素晴らしい楽器を持っていますね。
ぜひこれからもそれを磨いていってください。」と褒められたあとで、

「誰か、あなたにとって大切な人はいますか。
つまり、あなたにとって、この歌のOld Friendにあたる人のことです。
その人が誰なのか、わたしたちに言う必要はありません。ただ、その人のことを想いながら、この歌を歌ってください」とおっしゃいました。

そのあと、同じ方が二回目に歌われたのですが、一回目は朗々と歌いあげるようだった歌が、聴く人の心にそっと寄り添うように変化していました。

Carmenさんが、

「いい(OK)ミュージシャンと素晴らしい(good)ミュージシャンをわけるのは、
どれだけ周りの音を聴いているかということです。
共演者のひとが何をしているのか、聴いてください。
そして、一緒に音楽を作る、という気持ちで歌ってください。」

とおっしゃり、その参加者のかたにエリス・レジーナ(Elis Regina:ブラジルの歌手)を聴いて勉強するよう、薦められました。


◆ ◆ ◆ ◆

ワークショップの一番最後に、参加者全員でステージにあがり、”In love again”の曲のなかでスキャットをまわしました。

Carmenさんのワークショップで感じたことは、Carmenさんは音楽に対してたくさんのアプローチを持っていて、参加者に対してさまざまな観点からアドバイスをされているということでした。

ある人には技術的なアドバイスを、また別の人には演奏するときの気持ちの持ち方のアドバイスを、というふうに、技術に偏るわけでもなく、精神論に偏るわけでもない、というバランスのよさが素晴らしいと思いました。

これは以前に受けたCathyさんや、Sheilaさんのワークショップでも感じたことですし、現在日本で受けているレッスンや、ボイストレーニングの先生にも感じることです。

優れたパフォーマーであると同時に素晴らしい教育者であることは可能である、とこうした方たちを見ていると実感します。

そして、そういった方たちの言葉は、同じ方向を見て、「一緒に学ぶ」というところから発せられているように感じます。



マディソン滞在記38

2013年06月23日 | 2013 マディソン滞在記
2013年6月22日(土)曇り

朝は10時から1時まで瞑想に行き、夜はCarmenさんのライブでした。

Carmenさんが前日のワークショップでおっしゃっていたのが、

「毎日、すこしずつでいいから、自分自身のために練習する時間を確保すること。
毎日自分のために練習する時間をとる、と自分に約束して、それを守ること。
そうすれば、長い時間が経った時に、いろいろなことが必ずできるようになります。」

という言葉でした。

忙しくなると、やらなければならないことに追われて、なかなか純粋に自分のための練習時間を確保するのが難しいと感じますが、ほんとうにすこしでいいから、毎日続けることが大切だとおっしゃっていました。

Carmenさんは、ちいさいころから教会で歌って育ち、大学に入るまでジャズはほとんど聴いたことがなかったのだそうです。
ビリー・ホリデイもサラ・ヴォーンもまったく聴いたことがなかったとおっしゃっていました。

周囲の薦めで、マイアミ大学の音楽科に進学したものの、当時はヴォーカル科がなく、ジャズヴォーカルを勉強できる環境はなかったので、作曲とクラッシックの声楽を専攻したけれど、最初はどちらもまったくわからなくて、ほんとうに大変だったということでした。

お兄さんで、ベース奏者のCurtis Lundyさんが、歌手のBetty Carterさんのバンドに参加していたので、よくリハーサルを見学していて、Bettyさんがバンドリーダーとしてどのようにバンドをまとめているのかを見て、いろいろなことを学んだのだそうです。

きのうのワークショップに17歳の初心者の女の子が参加していたのですが、

「わたしは17歳のとき、ジャズについて何一つ知らなかったのよ。だからあなたのほうがわたしよりずっと進んでいるわ。」

とおっしゃっていました。

「毎週一曲、自分と約束して、新しい曲を覚えてくださいね。わたしは来年もここに来るつもりですから、そのときにはレパートリーが増えて、きっとたくさん歌えるようになっているはずですよ。楽しみにしていますね。」ともアドバイスされていました。

ヴォーカリストには、ピアノかギターのハーモニー楽器を勉強すること、できればそれ以外の楽器も学ぶこと、曲の形式や、コードや理論について、楽器奏者のひとたちと同じように勉強することを、また、楽器奏者のひとに対しては、自分が演奏する曲の歌詞を勉強すること、歌詞を音色で表現するように練習することをアドバイスしてくださいました。

優れた教育者のかたはみんなそうだと感じますが、Carmenさんも、ほかのひとの長所を見つけることがほんとうに上手で、コメントを聴かせていただくだけでとても勉強になりました。

たった一言のコメントで、参加者の演奏が大きく変化するのに感動しました。

CarmenさんのDVDを買ったので、今日はじっくり観て勉強する予定です。