Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

夏のダンス・ウィーク(10)

2023年08月19日 06時30分00秒 | Weblog
 「社会の秩序に求められ生きるアルブレヒトと、本能のままに生きるジゼル。二人は交わることのない異なる世界に生きていた。・・・
 アルブレヒトは、・・・パートナーのバチルドがいながらも、本能の欲に任せてジゼルに接近し、二人は想いを通わせ合う。二人の出逢いはお互いの魂の成長にとって必然だったが、その幸せは長くは続かなかった。
ジゼルに想いを寄せるヒラリオンにより露呈されたアルブレヒトの裏切りは、ジゼルを苦しめ悲劇を招く。追いやられたアルブレヒトは・・・。

 7月末に始まったダンス・ウィークは「ジゼル」が最後。
 1幕がコンテンポラリー、2幕が古典というミックスで、もちろん注目は1幕である。
 上に引用した説明のとおり、ロマンティック・バレエの定番中の定番である「ジゼル」に”新解釈”が施されている。
 とはいっても、非常に分かりやすい二項対立の構造で、ストーリーは、「社会/人倫」の世界に生きてきたアルブレヒトと、「自然/本能」のままに生きてきたジゼルの二人が、相互に惹かれ合うところから始まる。
 (振付家によって敢えて幼い感じの服を着ている)ジゼルにとって、アルブレヒトが「二股をかける」ことも、それが本能が命じる行為である限り問題ない。
 なので、(「社会/人倫」を代表する)ヒラリオンによってバチルドとの関係が暴露された後も、優しく微笑みながらアルブレヒトを許そうとする。
 ところが、「社会/人倫」に絡めとられたアルブレヒトは、罪悪感(あるいは強度の抑圧)のため、体が凍り付いたようになり、ジゼルの呼びかけに答える力を失う。
 これを見たジゼルは、衝撃の余り、突如、「『身体』の自動的な力」の根源とも言うべき心臓の動きを停止してしまう。
 結局のところ、アルブレヒトは、彼女の理解を超えた、別の世界に住む人間であることが判明したからである。
 ・・・という感じで、私などは、極めて自然で論理的な解釈だと感心するのである。
 こういう風に、大和シティー・バレエの公演は、常に新鮮な刺激を与えてくれるので、中毒になってしまう。
 次の「宗達」が楽しみである。


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