Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

敵味方思考

2021年02月16日 06時39分52秒 | Weblog
誰のために法は生まれた
 「・・・それから、これと競争が関係する。信用のシステムが壊れると、ただ何か物を握っていることしか信用できなくなる。資源獲得を目指して争う。」(p128)
 「・・・(クレオンは)いや、利益思考まで利益思考に冒される。これはどろどろの敵味方思考に陥ることと関係しているのではないか。敵味方思考は究極の集団思考だ。・・・」(p223)

 先週、「ウィズ/ポストコロナ時代の雇用と働き方」というテーマで、経営法曹と労働弁護士によるオンラインセミナーがあったので受講した。
 その中で、司会の女性弁護士(有名な経営法曹)から出た次の言葉に、思わず「ハッ」と声が出そうになった。

 「もう、『みんなで一緒に貧しくなりましょう』という路線では絶対にダメです。・・・やはり、社員に最低年収300万円を保証できるようなビジネスを確保しなければならない。・・・そのためにはもっと『競争力を向上』させなければならない・・・
 
 前段については頷けるけれども、後段の「競争力向上」という路線には問題がある。
 上で引用した木庭先生の指摘のとおり、「競争力向上」という発想の根底には「敵味方思考」があるのだが、これは究極の「集団思考」であり、信用崩壊を生み出したり、ひいては実力行使の契機ともなりうる危険な思考である。
 要するに、「競争」に参入することは結局信用崩壊をブーストすることにほかならず、もっと「貧しく」なりかねないと思うのである。
 さすがに、そろそろ「敵味方思考」から卒業する必要があるのではないだろうか?
 そういえば、日米貿易摩擦のころ、アメリカが日本に「内需拡大」をしつこいほど求め続けたのは、日本の「敵味方思考」(究極の「集団思考」)を修正させる意図もあったのではないかと思う。
 残念ながら、80年代以降日本は余り成長していないようで、相変わらず「競争力向上」に邁進しそうな勢いである。
 問題は日本だけではない。
 やっかいなのは、「競争状態の認識」が実際に「競争状態」を生じさせてしまうということである。
 つまり、一人でも「社会(世界)は競争だ!」という認識を抱くアクターがいると、社会(世界)全体に競争状態が拡大してしまうのである。
 このことは、例えば、海洋資源を巡る国際状況を見ればよく分かると思う。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 反社認定(5) | トップ | 単身赴任ハラスメント »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Weblog」カテゴリの最新記事