この本を読み始めてから、3か月ほど経ちました。ハードカバーで592ページのこの本は、本当に読み応えのある本でした。
以前読んだことがあるはずなのに、何もかも忘れてしまっていて、今回その物語の大きさにびっくりしてしまいました。
ジョン・ランプリエールは、実在の人物で、「ランプリエールの辞書」は、実際に存在する本です。ギリシア・ローマ神話や古典文学の人名や地名などを書いた辞書なのだそうです。
その古典世界の魅力にあふれた辞書と、現実の世界の事件を重ね合わせて、ミステリーと歴史と若者の恋などを描いた奇想天外な物語です。
時代は、フランス革命のころ、ランプリエールが恋する女性の水浴姿を見たことで、彼の父親が殺されたことから始まります。その遺産相続のためにロンドンに行き、様々な人々に出会い、殺人事件に遭遇します。
そして、東インド会社、新教徒の弾圧から起こった無残なラ・ロシェルの終焉、それを見過ごしたカバラの面々など、それらのこととランプリエール家とのかかわりを知り、ジョンはその犯罪を糾弾し、そして、恋するジュリエットと二人で、カバラから逃れるのです。
二人は逃げおおせ、悪人は滅ぼされ、若者の未来がほんのりと描かれて、小説は終わります。
最初はなかなか分かりにくい小説でしたが、少しずつ真相に迫っていくと、歴史の中で、人々が動かされ、踏みにじられていく様子が分かり、その中でも、一人一人は、自分の幸せを見つけていくのだと思わせます。
ギリシア・ローマ神話の古典的な世界、フランス革命のころの街中の動き、カトリックのフランスが新教徒を弾圧し、その結果のラ・ロシェルの無残な終焉、ジュリエットの出生の秘密など、面白さは満載で、厚くて長い本の世界を満喫しました。
作者は、ローレンス・ノーフォーク、イギリスの作家です。
私は、それほどの読書はしていませんが、Beautiful-sunset さんは良い本に巡り合っておられるようで 羨ましいですね。