毎日、夜寝る前に本を読みます。本はたくさん持っているのですが、今読みたい本はそんなにたくさんありません。
それで、時々本を買います。でも、そうすると、結構本代がかかるため、持っている本の中で読みたい本を探します。昔読んだ本ですから、あまり覚えていないものばかり、その中で面白そうだと思ったものを読んでいます。
今回も持っている本の中から、また読んでみようかなと思って選んだものです。「モンテ・クリスト伯」岩波文庫7冊です。
読んだはずなのに、覚えていなくて、こんなに長い本だとは思いませんでした。ご存じの方はたくさんいらっしゃるでしょうが、復讐の物語です。
若く凛々しい船長のエドモン・ダンテスが、航海から帰ったときから物語は始まります。恋人のメルセデスと結婚して、新しい人生を始めようとしていました。
ダンテスの幸運をねたむ二人の男フェルナンとダングラールが、ダンテスを陥れる手紙を書き、それを糺すべき検事のヴィルフォールが、自分の身の安全のためにダンテスに罪をきせてシャトー・ディフへと送ってしまいます。
ダンテスは、無実の罪で海の中の牢獄に14年閉じ込められてしまいます。自分では、何の罪かもわからず、絶望の牢獄生活でしたが、脱獄を計るファリア神父と出会います。
神父の知性や教養に出会ったダンテスは、学問や言語、貴族としてのたしなみまで神父に習い、第二の父として愛するようになります。神父は病気のため死に、ダンテスは遺体になり替わり、脱獄に成功します。
神父から、財宝の隠し場所を教えてもらったダンテスは、その財宝と知性や教養でエドモン・ダンテスではなくモンテ・クリスト伯爵として、パリの社交界にデビューし、自分を陥れた人々への復讐を始めます。
ダンテスをただ一人助けようとした船主のモレルへの恩を返し、陥れた人々への復讐は成功しますが、ダンテスは、明るい心ではなく、多くの巻き込まれた人々の苦しみと共に苦しみます。
最後に王女エデとの新しい愛に気づき旅立ちますから、それだけは救いでしょう。
ダンテスは、無実の罪でひどい牢獄生活をし、復讐は当然のことのようにも思われますが、読んでいるうちに少しずつ、復讐をすることは本当に当然のことなのかと思い始めます。
人は暴力で人を貶めることはできないと思うのですが、暴力に暴力で対することは仕方ないのでしょうか。戦争などはそういうことなのでしょうから。
モンテ・クリスト伯爵は、教養もあり、おおらかに人々を魅了し、人ではなく神のようだと思われるような人なのです。それは、人は人を罰することはできないけれども、神として真実のためならということなのでしょうか。
物語としてはとても魅力的なのですが、復讐ということが成り立つものなのかどうか、考えてしまいました。
モンテ・クリスト伯爵は、とても魅力的な人で、こんなに財宝があり、知性や教養もあり、おおらかに人としての優しさもあれば、魅了されてしまいます。それに、センスのあるハンサムな人なのですから。
作家はアレクサンドル・デュマ、このお話は実話を参照して膨らませたものだそうです。
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