ヴァージニア・ハミルトンの「ジュニア・ブラウンの惑星」を読みました。
世の中の仕組みの中で、生きていきにくい人たちの物語です。児童文学ですが、とても力強いメッセージがあります。
バディー・クラークは、ニューヨークの大都会の中で、一人で生きている黒人の少年です。一人ぼっちの子供たちの面倒を見ながら、友人ジュニア・ブラウンの病んだ心や体をいたわり、彼の居場所を作ろうとしています。
ジュニア・ブラウンの母親もピアノ教師もみな心を病んでいて、ジュニア・ブラウンはそのせいで過食して、異常に太った少年です。
見捨てられた子供たち、そして、社会を見捨てようとするジュニア・ブラウン、それを助けようとするバディー・クラークと、それを見守るプールさんたちが、無人ビルの中に作った小さな空間が「ジュニア・ブラウンの惑星」です。
ひとりぼっちで生きてきたバディー・クラークは、そこで、「たがいのために生きることを学ばなくてはならない。だからいっしょにいるんだ。」とみんなに言います。
社会の中で生きにくい人たちが、それでも人とつながれれば、生きていけるのだと力強く伝えています。
私は、生きるのが難しくて、そのうえ、人ともつながりにくいということを考えると、なかなか生きていくのは大変だと思いますが。
でも、バディー・クラークの孤独のわくから顔を出した力強いこころいきに感動します。そして、大男のバディーと巨漢のジュニア・ブラウンの姿を想像し、行き場のない子供たちの姿も思い、プールさんのような大人がいることにも、心が動かされました。
バディーは、黒人であることをいつも意識して、差別に対して憤りを持っています。
黒人が差別されていることは今も変わらず、アメリカの警官の黒人差別に対する憤りがアメリカ全土だけでなく、世界に広がっています。
日本でも、デモがあったとニュースで言っていました。黒人と日本人のハーフの女性が、通りすがりに「なぜ黒人がいるのか」というようなことを言われたと、言っていました。
黒人差別ばかりではなく、人種差別はずっと続いていると思います。そればかりではなく、障碍者や高齢者への差別もあります。
人は、生まれた時から命が終わるまで、その存在を尊重されなければならないと痛切に思います。
「ジュニア・ブラウンの惑星」を読んで、とても面白かったので、またヴァージニア・ハミルトンの作品を読みたいと思っています。
なつかしい名前を見て昔々読んだ『わたしは女王を見たのか』を思い出しました。70年代半ばから80年代始め、英米やドイツなどの児童文学が次々に翻訳されて、うちの子供たちも小学校時代に随分読みました。彼らの要求に従って6年間、近所にあった県立と市立2つの図書館に通って借りるのは私の仕事でしたが、そうしてやったことがよかったのか悪かったのかわかりません(涙)。
今思えば、子供にはけっこう難しい内容だったと思うのですが、当時は二人とも夢中で読んでいました。ごめんなさい。変なコメントで、返事の書きようもないですね。m(_ _)m
子供のころに読んだ本は、私の場合は、内容の理解ができているかどうかわかりませんが、場面や言葉などを覚えていて、とても印象深いです。お宅の子供さんたちは、夢中で読まれたそうなので、理解されていたのでしょう。
私は、ヴァージニア・ハミルトンを最近になって知ったので、あまりたくさんの本を買うことができませんでした。とてもよい作家ですね。
お返事ありがとうございます。
私の、ネガティヴな要素が混じったコメントを、いつもふんわり受け止めて下さって感謝です。
今日からまた寒くなるようです。どうぞお気をつけてお過ごし下さい。