美しい夕焼け

美しい晩年を目指して

元気ではないんですけど・・・

2022-04-14 17:07:20 | 私の病気
去年の秋ごろから、ずっと栗本薫の「グイン・サーガ」を読んでいます。

物語の最初の部分が再版され、それを読んだ後、栗本さんの病気のため途中で終わることになったその最後のころを、今読んでいます。中間の長い部分は品切れで手に入らないので、読むことはできません。電子書籍で手に入るのかなと、思っているのですが。

中間の長い部分を読んでいないのに、最後の部分を読んでいるこの頃も、とても面白く、「グイン・サーガ」に魅了されてしまっています。

栗本さんは、あとがきを書いていらっしゃって、123巻のあとがきに、こういう部分があります。

しかし会う人ごとに「病気とは思えないくらい元気だ」とか「大手術したとは思えないですね、やつれてなくて」といわれるたびになんとなく複雑な気持ちになります。それは、元気なのがいいには決まっているし、やつれたくなんかないんですけれど、なんとなく、「病気だなんて、うそついたんじゃないの、なんでもなさそうじゃない」といわれているみたいな気がしてね。病人の気持ちというのはなかなかに傷つきやすいものですので、-中略―こと私に関するかぎりは「元気そうですね」といわれるとなんとなく複雑な気持ちになる、というのは事実のようです。

この部分を読んだとき、ああそうだよねーとうなづいていました。

54才の時、乳がんになり、抗がん剤治療をして、手術を受けました。そのあと、放射線治療を受けました。その時は、死にたくないと思い、死ぬことが本当に怖かったです。

夜になって、一人になると(家族が寝てしまって)涙がぽろぽろこぼれてきます。自分の人生をずっと考えていました。でも、人の前では、いつも明るくふるまっていました。

主治医が、「あなたは明るいので、病気にいいですよ」といわれたときは、「先生、私も夜になると泣くんですよ」と明るく言ったことを思い出します。

今は、年も取り、病気にもなり、体が薬漬けで思うように動けません。自分の体が、自分の思うように動かせないのは、本当に情けないです。病気になる前のように、体が自分の意識に登らないことが当たり前だったことが不思議なほどです。

そのうえ、気持ちも不自由になります。体だけでなく、気持ちも動かないというのは、本当につらいことです。

それでも、人に会うと、「元気そうね」といわれます。「体が動かせないのに、食べる量は変わらないので、太ってしまったから元気そうにみえるのでしょう。あまり元気ではないのだけれど」と返します。

病気だからと言って、病気のような顔をしたくないし、病気のようなスタイルもしたくないので、できるだけ、お化粧して、姿勢をよくし、足もまがったように見えないように、努力しています。洋服もなるべく華やかにと思ったりしています。

元気そうに見えるようにしているくせに、「元気そうね」といわれることに傷つくなんて、変ですよね。でも、これが病人の複雑な心の動きなのだと思ってください。

病気には負けたくないけれど、でも、病気だから優しくしてほしいのかな?


コメント (4)
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