再会

本日は家内とお参りに出かけた。
我が家の恒例の行事で、熊手を買うのも毎年欠かさない。

車を停めて歩き始めたら高校の時の同級生とバッタリ。
昨年の正月に会い、丁度卒業後30周年となる来年平成21年の再開を誓って別れて以来だ。
事前準備の話などをしてその場を後にしたが、彼と会うと必ず彼の父のことを思い出す。

学校の帰りによく彼の家に遊びに行き、目一杯遊んだ。
帰りの列車が気になる頃になると彼の親父さんが突如現れる。

「乗ってけ、遠慮するな」
無愛想にそう言って車の後部シートを顎で指す。

「あ、すみません」
恐縮しながら乗せてもらうと、駅に着くまでの間彼の父はこう言った。

「いざと言う時、親や兄弟よりも力になってくれるのは友達や、友達は大事にせないかんぞ」
「本当に友達のことを思うんやったら優しいだけじゃいかんぞ、そいつのためを思って強く反対するのも友達や」

低くやさしい声で、教えるように僕や別の友達に話してくれた。
他にもいろいろといい話をしてくれたのだが、残念ながら憶えていない。

この親父さんとのひとときが、いつしか彼の家に行く楽しみのひとつとなった。
もうずいぶん前に亡くなったと聞き寂しい思いをしたが、この車中の話を昨年彼にした時、

「そんなこと言っとったんか」
目を丸くして驚いた彼の顔は嬉しそうだった。

今日の一句　「友達の父に人生教えられ」