しわくちゃの500円札

先日知人と話しをしていたら、お財布ケータイの話になり、最近の若い子は便利に使っているという話を聞いた。便利な世の中になったものだ。
なんでも、最初にお金を入金しておき、そこからケータイを通じて引いていくらしい。
ところが、お金を入れるのは彼ら彼女らの親達だそうだ。つまり入金する人と出金する人が違うらしい。

以前、ラジオで聞いたさだまさしさんの話を思い出した。
さださんが東京で1人暮らしをしていた頃、お金がなくて親にお金を送ってもらうことが度々あったらしい。
ある時、送ってくれた小包の中に、その頃学生だった弟からの封筒を見つけた。
その中には、何度も小さく折られたあとがついている、しわくちゃの500円札が入っていた。
「きっと弟は何かの為に、小さく折ってしまっておいた大切な500円札なんだ…」そう思って涙が溢れた。
1枚のお札に家の様子が見て取れた。弟の顔が浮かんだ。自分の不甲斐なさに嫌気が差した。
大切なものを1枚の500円札が運んだ。

お財布ケータイ。便利には違いないが…