バネの風

千葉県野田市の「学習教室BANETバネ」の授業内容や、川上犬、ギャラリー輝の事、おもしろい日常を綴ります。

美味だれ考

2013-01-09 09:01:51 | 別所温泉
 別所温泉に「はっちゃん」という美味しい焼き鳥屋があった。
 結婚当初,帰省すると父が連れて行ってくれた。そして出前をとったりした。
 ここで軟骨の味を覚えた。
 タレが絶品。醤油ベースの味付けでニンニクが強い。
 食べ過ぎると翌日胃が痛む。それくらいニンニクが強い。
 
 長野合宿で焼き肉のタレを自作した。
 はっちゃんの焼き鳥のタレを真似してつくった。一般的な材料に加え、ニンニクの他すりおろしたリンゴを大量に入れた、鍋一杯つくった。
 このタレは好評で、参加した保護者からは,肉がおいしかったではなく、「タレがおいしかった」と言われた。

 年月が経ち,はっちゃんは廃業し、あの味を楽しむことはできなくなっていたが、先日「美味(おい)だれ」なる上田産の焼き鳥のタレを発見。焼き鳥屋 鳥幸の味とある。別所温泉のあいそめの湯前のコンビニのレジ横にあった。その濁り具合、沈殿物の様子からして、はっちゃんの味再現の予感。荷物になるから帰りに上田駅で購入することにしたが、肝心の駅周辺ではどこにも売っていない。観光案内所で聞いても、売店でも「何のことだかわからない」と言われる。
 
 その日は、チャーとはっちゃんの焼き鳥を食べる気になっていたので、帰宅後すぐにタレを自作した。
 ちょっと違う。コクが足りない。リンゴが少なかったと思われる。ニンニク多すぎたらしく、少し胃が痛む。

 次の別所行きで例のコンビニで「美味だれ」を即ゲット。
 一ビンにフルーツが三分の二入っているとのこと。確かに原材料として「リンゴ、バナナ,桃、巨峰」とある。長野らしい。バナナは意外。
 焼き上げた鶏肉にかける。野菜にもかける。さすがに美味い!でもちょっと違う。はっちゃんの味ではない。
 
 「美味だれ」というのは、美味しい、好みに応じて後からタレを追いダレする、上田の方言で仲間内で親しみを込めて使う愛称である「おいだれ」の三つを掛けてネーミングしたとのこと。そして、ここが重要。タレの味は店によって異なる。
 だからこれは鳥幸の味で、はっちゃんの味ではない。

 では、はっちゃんの味とどこが違う?そう考えると,たいして違わない気もする。さらに、はっちゃんのタレの味を正確に思い出すことはできないことにも気づく。
 このタレは十分に美味しい。でも少し違う。
 
 父がいるかどうか、そこなんだろうか。



 

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