脳のミステリー

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日本社会にはびこる独特な事件

2008-10-11 17:34:15 | Weblog
1960年頃、黒沢明監督の「悪い奴ほどよく眠る」という映画を見た記憶が強烈に残っている。今でもそのまま通用しそうな、利権を巡る汚職事件を背景にした復讐劇だった。
汚職事件に絡んで自殺した男の息子による父親を死に追いやった政官財の有力者たちへの復讐劇を通して、日本社会に根深くはびこる腐敗の構造の中でのうのうと甘い汁を吸い続ける巨悪に挑んだ社会派サスペンス・ドラマの力作だった。
最近の日本社会にはびこる事件は日常茶飯事という感じで一寸脳裏をかすめて記憶さえ薄れてしまう、だが、とても庶民が捨て置けない事件の多さに目を見張る。
親子・親族殺傷事件とか振り込め詐欺事件などがある。振り込め詐欺という言葉を聞くようになって何年が経つだろう。
何で簡単にそんな事件に巻き込まれるのか理解できない。今度は 日本郵便のエスパック詐欺ですって・・・ 悪い奴ほどよく考える!

今、巷で話題になっているのは「ゲートウェイ21」事件だそうだ。
中々考えた社名だと思う。ゲートウェイは 空港のゲートから考えたのだろうか?
gateway to success 成功への道 という事だったのだろうか?
だが、一歩間違えるとgateway drug つまり マリファナ等の麻薬中毒に繋がる薬物になる。
もっと皮肉って考えると getaway! 逃亡という事にさえ考えてしまう。
年間8000人が利用 していたというゲートウェイ21倒産のとばっちりをまともに受けたのは契約していた留学予定者1500人という事である。留学中の学生1000人も明日からの滞在が保証されていないという。
だからgateway drugなんてふざけた事を言っているとやり玉にあがる事は間違いないと言えるかも知れない。いや、抗議攻めにあうかも知れない。

ゲートウェイ21社は学生達から集めた留学費用9億5000万円を語学学校や大学に送金するかわりに本当に別の目的に流用したのだろうか。
もし、この金額が留学先に支払われていたら、会社が倒産しても留学予定者は留学ができたし、留学中の方も留学途中で帰国しなくて済んだ筈であると思うのは確かである。
ゲートウェイ21の行為は送金代行者としての義務を怠った計画的詐欺犯罪だと思っているという人もいるらしい。
とにかく、ゲートウェイ21の社長は逃亡はしていないという事だ。
留学したい。しかも簡単にしたい。面倒な手続きはイヤだ。どんな目的でもいいからとにかく留学したい。真面目な留学も無論あるが逃避留学もあるのではないだろうか。
私が留学した時より前は、留学試験という難関を通って晴れて日本を旅立ったか、試験突破の自信はない、でも留学したい。そこで密航という手段も耳にした事がある。船底に潜り込んで海外に入り込み、皿洗いなどをして英語を学んだという話も聞いている。

私の留学は、考えられないほどの幸運の女神に護られて留学の道を開き、晴れて豪州入国のビザを貰った時、目を丸くしながら紺色の革制の大きなパスポートをまざまざと見詰めてものである。
当時の外務大臣椎名悦三郎の名が書き込まれ、「留学の為」という文字が大きく書かれ、有効期限は留学終了までとあった。ビザを発行した豪州大使館領事部からは「しっかり勉強して、帰国後は両国の橋になるように!」と言われた。留学中は始終移民局から呼び出しがあり、勉強の進み具合を報告させられた。晴れて、今度は日本に帰国すると既に自ら試験を受けて内定していた某米国航空会社を辞退までして、豪州大使館に勤務する事にした。留学前にいわれた「両国の橋」という言葉が圧し掛かってきたからである。とは言うものの、私らしく1年半で当時の大使退官にチャッカリ便乗して憧れの航空会社に乗り移ったのだが・・・

自分の自慢話をしたかった訳ではない。
留学を夢見た若者の失望、一生懸命揃えた高額の支度金、これらが泡のように消えるのは許せない!
ただ、今回のゲートウェイ21事件にしろ、始終巷を騒がす振り込め詐欺事件にしろ、チョッと立ち止まってもう少し考えてみればよかったのではないだろうか、と思うのは私だけだろうか。