ここ何週か、ヒラマサ狙いでトップばかり投げている。
なので釣れない。
保険でまだ薄暗い時間にはスズキを狙ったりもしているが、それも釣れない。
何時間も重たいルアーを投げ続ける。そんなエクササイズをやりに海へ行っている。
そんな中、先週。
釣り場で見知らぬおっちゃんと出会った。年齢は70何歳とか言っていた。
あるポイントに行ったら、そのおっちゃんが先に釣ってて、
遠目で見てて あまり釣りの経験は無いんだろうなぁと、投げ方を見て感じた。
竿を振り切る直前に、リールの付け根側を持つ方の手を放して、竿尻側の手だけになり、さらにスピニングリールがクルッと上側に来るという、なんとも不思議な投げ方をしていた。
僕はおっちゃんの左側10mほど離れた位置に釣座をとる。
てっきりぶっ込み釣りでもしているのかと思ったら、ジグを投げてた。
そして足元にはサゴシが転がっていた。
「サゴシ釣れたんですね」と、ちょっと初心者を称えるような気分で(上から目線で)話しかけると
「シーバスか?」と返ってきた。(え?スズキじゃなくてシーバスって言うんや。と思った)
「ヒラマサです」と答えると「まだ水温高いやろ」と。
そこから会話が弾む。
おっちゃんは、ジグからミノーへとルアーを替えた。
投げ方はアレだが、ミノーをトゥイッチ入れながら操っている。
そしてフクラギをヒットさせた。
さほど喜ぶでもなく淡々と針を外す。
「シーバスなら夜がいいぞ」「先週は90が1本と80が3本釣れたぞ」と、
僕はハイハイと受け流し聞く。
するとおっちゃんはガラケーを取り出し、パカッと開き、写真を見せてくれた。
マジだった。
「もう何十年もやってるで、シーバスなら4桁いっとるわ」と。
その時ふと思い出した、今でもハッキリと覚えているあの光景。
子供のころ、武生釣り具というお店があって、
僕はそこにちょくちょく遊びに行ってた。ルアーなんてほとんどラパラしか売ってなかった時代だ。そして、シーバスはスズキだった時代だ。
ある日 そのお店に居たら、常連さんのオトナの人が、釣れたスズキを「釣れたぞ~」と持ち込んで来た。
玉川の漁港で、ラパラのジョイント。
初めてルアーで釣られたスズキを見た僕は思った。この人凄い!と。
ルアーでスズキなんて夢みたいで、死ぬまでに1匹は釣ってみたいと猛烈に思った。
あのオトナの人は、多分この辺ではルアーでスズキ釣る先駆者だ。
年代的に言って このおっちゃんは、その先駆者のうちのひとりなんではなかろうか。と勝手に想像してしまった。
10時ごろ、おっちゃんは道具を仕舞い始めた。
「別に魚釣ろうとおもって来たわけやないんや」
「1年ぐらい待ってやっと来た新しいリールの試し投げがしたかっただけなんや」
その手にはピカピカのツインパワーが握られていた。
「おっちゃん、それ僕のリールより高いやつやで」というと
「ほんなもん安もんでいいんや」「ほなお先~」と帰っていった。
なかなかカッコイイおっちゃんやった。
でもなぁ・・・なんで投げ方そうなったん?(笑)