Mooの雑記帳

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7月12日(土) 久しぶりの観劇「グレイ・クリスマス」

2020-07-12 00:24:28 | 日記

昼頃から松本での子ども塾。このところ、連日2,3人の子どもたちが増えてきて、大盛況となっています。ところがスタッフがそれに追いついていない。責任者のKさん曰く「宣伝していなんですけどねえ」。信濃毎日新聞や市民タイムスの記事をみて、問い合わせればわかることですから、それはそれでいいのですが、丁寧に面倒をみてあげられなくなるのが何とももどかしい。
別の日に特別カリキュラムを組む必要があるかもしれませんね。9月くらいまでは、遅れの回復のために。それ以降は受験生の対策のために。

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松本から戻って、今度はすぐに大町へ。北アルプス市民劇場の例会で劇団民芸の「グレイ・クリスマス」の観賞です。
前回の例会は新型コロナで中止となり、本当に久しぶりの舞台。観客席はひとつおきに座るのでゆったりとして前も見やすく、いつもこうならいいのにとさえ思えてきました。

敗戦直後、占領軍に母屋を接収され、となりの離れに住まざるを得なくなった旧伯爵家が舞台。公式の「あらすじ」はこうです。

<敗戦の年のクリスマス。進駐軍の将校クラブに母屋を接収され、離れに追いやられた五條伯爵家。天皇は人間になり、華族制度は廃止。路頭に迷って自殺を図る生活力のない当主の五條、戦犯裁判にかけられる弟、ヒロポン中毒の息子らの中で女たちはたくましく、後妻の華子と弟の妻・慶子は、将校クラブのホステスを引きうけた。不穏な動きを見せる闇屋の権堂や、日系二世の軍人ジョージ・イトウが出入りする離れではにぎやかな宴が始まっている。
ジョージの説くデモクラシーの理想に胸をときめかし、愛をふくらませてゆく華子。娘・雅子(神保有輝美)は、なぜか権堂に魅かれてゆく。やがてアメリカの占領政策がかわり、朝鮮戦争がはじまる。特需景気で旧勢力が息をふきかえし、五條の弟は政界に復帰、息子は警察予備隊に。そして翌年、戦死したジョージから、思い出のオルゴールが華子のもとに届くのだった……。>

会話の途中にモノローグで挟み込まれる「日本国憲法」の前文や条項が、壊れていく伯爵家の人間関係と占領軍の方針転換の狭間で、新鮮な美しさで迫ってくるのが不思議なほど。日本国憲法ってこんなにも輝いているものかと思わせる演出は、さすがです。

「物語を縦横無尽に牽引する闇屋の権堂役(在日朝鮮人)」は、さしずめ映画「エビータ」のアントニオ・バンデラス演じるチェを思い起こさせます。ただ、皮肉たっぷりの目で物語を進行するチェとは違って、自ら物語を牽引しつつ家族の崩壊に手を貸すという複雑な役どころ。在日という設定が戦後の影の部分をいやが上にも私たちの前に引きずり出してくる。感動するというより、ずしんと腹にこたえる舞台でした。

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