●〔87〕茂木大輔『くわしっく名曲ガイド』講談社 2006 (2006.11.12読了)
○内容・著者紹介
オケ20年指揮10年、もぎぎがオススメする名曲の数々。本書では、初心者がTPOに合わせて聴ける音楽や、星座・血液型に合わせた作曲家の紹介から出発。自分の好みで選んだ名曲のオススメに続き、もぎぎの職場であるオーケストラの現場にとご案内し、オケや指揮者についてよくあるご質問にもお答えする。後半では、「わかって聴けば感動100倍!」をモットーに、10年来繰り広げている解説コンサートの経験から、交響曲や教会音楽などの長い音楽の楽しみ方・聴き方のヒントになるようなくわしい解説を、「新世界交響曲」や「マタイ受難曲」を一例にして書いている。
第1章 TPO別オススメこんなときに聴く・使うクラシック名曲ガイド
第2章 血液型・星座別「あなたの運命の作曲家はこの人だ!」
第3章 オーケストラと指揮者にくわしっくなる
第4章 お好きな楽器をピンポイント鑑賞する名曲ガイド
第5章 もぎぎの吹いた・振った・好きな曲くわしっくオススメ
第6章 知られざる名曲の宝庫、ハイドン交響曲よりすぐりガイド
第7章 ドヴォルジャーク「新世界」交響曲くわしっくガイド
第8章 バッハ「マタイ受難曲」くわしっくガイド
茂木大輔[モギダイスケ]
1959年、東京生れ。国立音楽大学(器楽学科オーボエ専攻)卒業後、ミュンヘン国立音楽大学大学院へ留学。同大学院修了後、同大講師、シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦楽団第一オーボエ奏者を経て、1990年よりNHK交響楽団首席オーボエ奏者。2001年、日本フィルハーモニー交響楽団を指揮し、指揮者としてもデビュー。活動の幅は作曲、企画、執筆にも広がる。
茂木大輔の著書は愛読してきました。今回も不見転で買って読みました。
第1章~第5章は初心者向けのガイドブックという感じで、語り口は楽しめましたが、内容的にはあまり得るところはありませんでした。。第6章~第8章は読み応えがありました。
第8章では「マタイ受難曲」が解説されていましたが、私自身も大好きな曲でもあるので特に興味深く読むことができました。聴欲を刺激されました。
通常の交響曲やオペラを鑑賞の楽しみにしてこられた方は、教会音楽になじむ機会に恵まれなかったり、たまに聴いてみても、まずはその長さ、「音楽以外」の事情で不自然かつ唐突に変化する曲想(歌詞を知らないとそう聞える)、主力をしめるのが器楽や独唱アリアではなく合唱管弦楽一体のユニットであること、されには音楽としての表現がロマン派交響曲やオペラのように人間的、圧倒的、あるいは表出的、具体的ではなく、どことなく客観的、抽象的、もっといえば「なんとなく模範的、優等生的」になっていることなどに、かなりの戸惑いを感じて敬遠さえるのではないだろうか。意味深そうに歌われる歌詞のほとんどがラテン語かドイツ語であって、さ~っぱりわからない、というのも敬遠のさらなる原因になるだろう。
しかし! これは、モッタイナイ。(中略)
では、どうすれば理解できるの? と聞かれるならば、答えはいたってカンタンである。「歌詞を読みながら、くわしっく聴いてください」ということだ。(pp.214~215)
オーボエに、指揮に、著作にと八面六臂の活躍をしている著者ですが、本の帯によると「のだめカンタービレ」のクラシック音楽監修もしているそうです。
「のだめカンタービレ」とは、今さら言うのもなんですが、クラシック音楽をテーマとした二ノ宮知子作の人気漫画で、最近ではテレビドラマにもなってさらにブレイクしているようですね(私自身は未読、未視聴です)。
私なぞは、クラシック音楽をテーマにした漫画というと、くらもちふさこ「いつもポケットにショパン」を連想してしまう世代です(^_^;)。
しかし、「のだめ」→「こえだめ」を連想してしまうのは私だけでしょうか。
※茂木大輔の家頁