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《読書》桂文我『落語「通」入門』集英社新書

2006-11-26 07:02:40 | 読書

●〔92〕桂文我『落語「通」入門』集英社新書 2006
(2006.11.19読了)〈2006254〉

○内容紹介
寛永といえば五代将軍・綱吉の時代。元祖噺家の露の五郎兵衛が登場いたします。以来、上方と江戸で落語家たちが妍を競い、名人、奇才がぞくぞくと誕生するのであります。時代は江戸から明治へ、そして大正、昭和へと受け継がれてきた噺家たちの足跡をたどり、「通」になるための薀蓄も満載の本であります。案内は当代上方落語の人気者、桂文我。散逸していた史料を丹念に集め、自ら初めて書いた「落語家による落語の本」。どうぞ本のすみずみまで存分にお楽しみください。

 落語の歴史について、コンパクトにわかりやすくまとめられた本だったと思います。著者が学者や評論家ではなく落語家ということで、「いろいろ説はあるけど、結局はこういうことじゃないかと自分は思います」というスタンスで書かれていました。それがわかりやすさにつながっていると思います。
 ただ、私自身が江戸や明治の落語の歴史に特に興味があるわけではないので、勉強にはなったが、それほど面白いとは思わなかったというのが正直な感想です。もっと最近の上方の落語家について書いてほしかったです。

○本書執筆の動機
師匠(引用者註:桂枝雀)から常々「最近は米朝師匠(枝雀の師匠)のように、落語の資料を集めながら、落語の歴史も熟知した上で本を著せるようなタイプの噺家がいないから、米朝師匠の万分の一でもいいから、そのジャンルを押さえなさい」という言葉を受け、少しずつ演芸関係の資料を集めながら、落語の周りの事柄も調べさせていただきました。(p.226)

○三遊亭圓生について
 また、この上の欲もあったようで、
「人間国宝や芸術院会員になって、三遊亭圓朝を襲名することが夢なんですよ」
と知人に語っていたそうで(圓朝襲名については異論のある向きもあり)、無論、もう少し長生きすれば噺家の人間国宝第一号は、間違いなく三遊亭圓生だったと思われます。(p.202)