笹子トンネルの崩落事故は、換気ダクトの破損落下によるものとわかった。
いかにもお粗末な同じ構造のトンネルが、全国に49箇所もあると聞いて驚いた。
おそらく標準設計のような形でどんどん造られていったものだろう。
こういうことがあると、責任の追及に注目が集まりがちだが、それよりも、今後の大事故再発防止に向けて、この構造と付随装置をどう改めていくのかに、メディアは目を光らせて欲しい。
すべてを専門家にまかせっきりでは、言い訳の利く範囲でしか改良を考えないから、およそ半世紀の後には、また何か困ったことが起こるに違いない。
高速道路のトンネルは、原発と違ってゼロにはできないから、部外の素人からではあっても、特に次のことに留意してほしいと注文をつけておきたいと思う。
1.ダクトのフレームの構造を、単純な吊り下げ方式でなく、応力が分散するよう骨組設計を改め、支持点を増やすこと。
2.天井板になるところは、重いコンクリート平板でなく、FRPなど軽量強固な材料にし、車両通行による洞内気圧増加への対抗策は、コンクリートの重量によらない方法とすること。
3.一箇所の破損から連鎖破壊を起こさない構造にすること。
4.トンネル内の不規則な気圧変化に耐えることを確かめる方法を確立すること。
5.トンネル内外の、常時の微振動および地震や大型車通行による急激な振動に耐えることを確かめる方法を確立すること。
6.破損は急激に広範囲に起きるものではないから、構造に変位が始まったらそれを感知し、通行禁止など緊急対策をたてられるよなシステムを構築すること。
7.ダクト内は、結合部を間近に目視、触手のできる構造にし、点検路を整備すること。
8.定期点検は短周期の普通点検と、長周期の精密点検の二本立てとし、入念に行うこと。
9.点検記録には随時、写真、動画を挿入し、点検実施者以外の者がそれを検閲できるようにしておくこと。
命をとられるよりも、無料化は当分お預けでよいではないか。
「動く大地」の鉄道トンネル―世紀の難関「丹那」「鍋立山」を掘り抜いた魂 (交通新聞社新書) | |
峯崎 淳 | |
交通新聞社 |
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