・・・・・・あわぞうの覗き穴・・・・・・

気が向いたときに、覗いてご覧ください。
何が見えるかは、覗く方々のお眼め次第です。

忘れる

2012年03月22日 | つぶやきの壺焼

 落し物は忘れ物とは少し違うが、親戚のような間柄で、忘れることの一族に含まれている。

つい落としてしまったのだ、忘れたのではないと言い張る人は、落したとき、落し物が誕生したとき、それを持っていることを忘れていた瞬間があったことに気づいていないのだ。

忘れることは、ほかのことを考えているからで、すべてが罪悪でもなく欠陥でもない。
「忘れたと気のつくうちは大丈夫」
もう一度同じように忘れたいか、忘れたくないか。それで忘れることの値打ちが分かれる。


早朝の熱海の街には、塵ひとつ落ちていなかった。
落し物だけが、はっきりわかるように、歩道に置いてあった。
どこかに動かしたりぶら下げたりしてしまうと、落とし主が探しに来たとき気づかずに通り過ぎてしまうからか。

思いやりはあっても余計なことはしない、街の人の心が、朝の空気を清々しくしていた。