「根性という言葉がはやり出してから日本のスポーツはを弱くなった」と岡野俊一郎氏は言ったそうである。
なるほどと思う。
「勘定」という言葉はわかりやすいが、「根性」はわかりにくい。
わかりにくくても、わかった振りをしなければ恥ずかしいと思わせるようなところが「根性」にはある。
わかりにくい言葉も、言うだけは簡単。
だが使いやすくても効き目は少ない。少ないどころか、逆効果ということもある。
むかしは「こんじょわる」という使い方しかしなかったこの言葉が、どうして威張り出したのか。
目に見えないことは、望まれてその言葉が生まれる。
だれでもが普通にもっていることは、望みの姿で現れることはないから、わざわざ言葉にする必要もない。
I love you. の連発は、憎みあうほうが多いからとも思ったが、海の向こうは違うのか。
ともかく、根性なしが多いから根性が叫ばれる。
安全でないことが多いから安全が叫ばれる。
安心でないことが多いから安心が叫ばれる。