まだプルートゥ様への未練は断ち切れなかったが、人間界から来たとは思えぬオーラになぜか惹きつけられた。大将軍殿と思念を交わすようになって、秘密はアポロノミカンのせいとわかった。「串刺し公」と呼ばれたほどの情け容赦もない戦歴は、本来、無間地獄に落ちるほどの罪状にもかかわらず、同時に人民のために一片の私心も持たずに治世を行った大将軍殿はミノスにも審判不可能であったのじゃ。
閻魔帳には、“ドラクール”ことヴラド・ツェペシュは冥界にて魔族たちと戦うべしと書かれていた。その時は、まさか将来、我と婚姻の議を執り行うことや親衛隊の大将軍にまで出世すると予測したものは誰もおらなんだ。
だが、話はそれだけではなかった。
プルートゥ様が略奪婚によってペルセポネと契りをむすんだ時、我はすでにお主たち兄弟の卵を産んでいたのじゃ! サラマンダーの卵は、数十年から数百年の時を経てかえることが多い。大将軍殿と婚姻の議をむすんでから生まれたお主たちを、まさか大将軍殿以外の子であると疑うものは誰もおらなんだ。
アストロラーベは、まるで恋いこがれ愛したころのプルートゥ様の魅力的なところだけを取り出したような美丈夫の神に生まれついた。
スカルラーベよ・・・・・・お主は、まるで兄とは似ても似つかぬ姿に、がさつだが強靱な神に生まれついた。
だが、プラスとマイナスの磁力のようにプルートゥ様の面影を持つお主たちを・・・・・・裏切られたはずの相手の面影を持つお主たちを我は溺愛したのじゃ。
そうと知りながら、大将軍殿は何も言わずまるで本当の息子のようにお主たちをきびしく、だが愛情を持って育ててくれた。
大将軍殿とは、数千年にわたって冥界にやって来た悪魔ども退治をおこなった。最初は二人で。その内にお主たち兄弟と。最後には、我はより才にめぐまれたマクミラに道をゆずった。
そうじゃ。
マクミラとミスティラの父だけが大将軍殿なのじゃ。
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