スカルラーベがおそれながらと名乗り出る。(お待ちください。今度こそ私にも機会をお与えください)筋骨隆々とした体躯がふるえている。
(お前もか?)プルートゥが応じる。(魔女たちの力を考えればアストロラーベが加勢しても必ず勝てるとは限らぬ。よし、短気を直す修行をしてまいれ。ただし、お主らがマクミラとミスティラを助けられるのは人間界時間で三ヶ月とする)
スカルラーベは、なんとしても人間界に行かねばと感じていた。「愛」の名の下に決定がなされた以上、己が眷属にかけられた呪いをとくためにも。
ある日、ローラとスカルラーベは思念を交わした。
何人にも弱みを見せないどころか、この偉丈夫に弱みがあるなどとは信じるものさえいないスカルラーベが泣き笑いをしていた。
(クッ、クッ、クッ・・・・・・)
通りすがったローラはただごとでないと感じた。(将軍よ(註、スカルラーベは冥界親衛隊の将軍)、いかなることじゃ? )
マクミラとミスティラ姉妹には冷たくとも、アストロラーベとスカルラーベ兄弟を溺愛するローラは見逃さなかった。
(これは、とんだところを)
(何か誰にも言えぬ悩みでも・・・・・・)
(悩みではござらぬ。ただ、我が身の呪いを考えるとおかしかっただけで)スカルラーベは、苦笑いを浮かべた。
(もしやローラ様なら、我ら兄弟姉妹の呪いのわけをご存じか)
(呪い?)
(わらい話としてお聞きくださいますか。我らは「愛」に呪われてはおりませぬか?)
ローラが一瞬間青ざめた。(なぜ、そのように考える?)
(軍師殿(註、アストロラーベは冥界親衛隊の軍師)は、神界中の女に愛されながら唯一愛することを拒む美の女神にちなむ名を持つ相手を思い続ける。このスカルラーベ、女なら誰でもよいと思っているのにすべての女が御免と思う。マクミラは、誰よりも美しく生まれながら誰も愛さず自分が氷結地獄に送り込んだ悪鬼ども以外は誰からも愛されぬ。ミスティラは、誰からも愛されるものを持ちながら愛に縁がない。四者四様、愛に関しては見事に不幸ではござらぬか)
(スカルラーベよ、呪いは・・・・・・呪いは、母のせいじゃ)
(な、なんと!?)
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