おくのほそ道

漫画「ジパング」にハマったが故に興味は海上自衛隊へ!護衛艦を見るための旅行、漫画やサッカーなど、趣味をメインに語ります

古処誠二 著 『アンノウン』

2007-01-02 | 本・雑誌
harakoさんのブログで紹介されていた、『アンノウン』という小説を読みました。
航空自衛隊の、基地監視隊隊長室の電話から発見された盗聴器をめぐるミステリーです。

私が最近読んだ本といえば、半藤一利氏の太平洋戦争ものとか…
まぁ、そんな偏ったノンフィクション系が多いものですから(^^;)小説というものを読むのは久し振りです。
なのに「自衛隊」という文字に誘われて、つい書店で即買いしてしまいました。
本の厚さもちょうどよく(約1cm)通勤帰りに座ってじっくり読もう!と思いまして…。

ストーリーの内容は、harakoさんのブログを参照していただくとわかりやすいと思います。
隊長室に盗聴器を仕掛けた犯人(状況から、内部犯であることは明らか)を探し出すために府中から派遣されてきた防衛部調査班の朝香二尉と、その補佐役として抜擢された野上三曹が、事件を解決するために奔走する話なのですが…。

ミステリーというジャンルには先入観がありました。
(派手な仕掛けや大げさな謎解きがつきもの、という…これって安っぽいテレビドラマの影響でしょうか)
が、この小説は、自衛隊の1基地内という閉鎖された空間で起こる出来事を追う内容で、状況証拠を固めながら謎を解き明かしていくというもの。

だからといって、堅い社会派ドラマになっているのかといえば全くそんなことはなく…
主人公である自衛官2人のユーモラスなやり取りが絶妙なのです。
 朝香二尉:無類のコーヒー好きで防大卒の幹部自衛官27歳
 野上三曹:監視隊勤務で、たまたま曹への昇任試験に合格してしまった22歳

特に朝香二尉の、飄々としたキャラクターには好感が持てました。
自衛官として存在の意味を見出せないままでいた野上三曹も、彼に出会ったことにより、意識に変化が起こったようです。
自衛隊が抱える問題とそこに所属する自衛官が抱える苦悩が、この物語の根底には流れているのですが、ストーリーに暗い影を落とすことなく、コミカルで前向きな描かれ方をしているのが良かった。

自衛隊好きには間違いなくお勧めできる作品です。
肩肘張らずに読める内容ですしね!


以下は個人的な感想ですが…

まず、作品の舞台になった掛川近辺の航空自衛隊の基地ってどこだろう?って思ったんですよ。
(浜松しか知らなかったので…)
規模は小さくても、こんな風に24時間体制で国を守るために監視している人たちがいるんだなぁ、と実感できました。

野上三曹の過去に関しては、かなり疑問が生じました。
事件を起こして高校中退、という経歴の持ち主なのですが、実際に入隊する際には身辺調査なども徹底的にされるそうで、警察のお世話になったことがある人間は自衛隊には入れないと聞いたことがあったので。
…実際、この小説の最後の方で、まさにその疑問を逆手に取ったような設定&説明がされていて、物語的にはOKのようなのですが、現実はどうなんだろう?

巻末の解説を書かれているのは、“不祥・宮嶋”でお馴染みのカメラマン・宮嶋茂樹氏なのですが、ここに書かれていることがいちいち尤もなので、私的には拍手喝采を送りたいと思いました。
(世界の紛争地で写真を撮ってきた宮嶋氏だから、説得力があります)

それから最後に、
もしこの作品が映像化されたら…!

 朝香二尉:谷原章介
 野上三曹:玉木宏

というharakoさん推薦の2人を頭に入れて読み始めたのですが、谷原章介はまぁハマるとしても(中距離が得意という感じではないけどね~^^;)、野上三曹は玉木宏じゃちょっと綺麗すぎ?
もう少し、普通っぽい若手いないかな…。
松山ケンイチとか…。
…う~ん、なんだか限られた狭い範囲の作品しか見てないのがミエミエなので、このへんでやめときます!


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